NISA(ニーサ)やつみたてNISAは、いつからいつまで利用可能なのでしょうか。期間限定の税制優遇制度であるNISAの制度終了の時期と、非課税期間について解説します。また、期間の数え方の注意点も説明しますので、自身の資産形成に効率的にNISAを活用していきましょう。
NISA(ニーサ)の制度はいつからいつまで?
NISA(ニーサ)とは、投資の利益にかかる20.315%(*1)の税金が免除される税制優遇制度です。NISA(ニーサ)はいつからいつまで利用できるのでしょうか。投資家にとって大きなメリットがある制度ですが、利用可能期間が限られています。
(*1:所得税15.315%と、住民税5%です。)
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NISA(ニーサ)はいつから?
NISA(ニーサ)制度に関する様々な「いつから」を解説します。制度がいつから始まったのかや、翌年の非課税枠がいつから適用されるか、いつから取引できるのか等を解説します。
これからNISA口座を開設して投資を行うか検討している方に役立つ情報ですので、きちんと確認しておきましょう。
NISA(ニーサ)制度はいつから?
NISA(ニーサ)は、2014年1月から始まった税制優遇制度です。当初は「NISA制度」として1種類だけでしたが、その後利用可能な投資家や資産形成の目的に合わせて「つみたてNISA」「ジュニアNISA」が追加され、全部で3種類に分けられました。では、それぞれのNISA制度はいつから始まり、いつまで利用できるのでしょうか。
利用可能期間の12月末までは、それぞれのNISA口座を利用して、非課税適用を受けながら資産運用を行えます。
翌年分の非課税枠はいつから?
年間の非課税枠が定められているNISA(ニーサ)では、資産の受け渡し日を基準に、翌年の非課税枠として数えられます。
例えば、2019年の非課税枠を使用した取引として認定されるには、2019年の日時に資産が受け渡された取引以降となります。
いつから口座開設可能?
NISA(ニーサ)口座の開設には、投資家の年齢基準があり、NISA制度の種類ごとに規定されています。
一般NISAとつみたてNISAでは、20歳以上の日本国内在住者であれば誰でも口座開設が可能です。ジュニアNISAの場合は、口座の名義人が0〜19歳の日本国内在住者であることと、さらに二等親以内の親族の運用管理者が必要になります。
参考:ジュニアNISAの概要(金融庁公式サイト)
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/junior/overview/index.html
口座開設後いつから取引可能?
NISA(ニーサ)口座開設申込後、税務署審査に通過すると口座開設が完了し、取引を開始できます。
NISA口座は全ての金融機関と3種類あるNISA制度全てを含めて1人1口座しか開設できません。税務署審査は、NISA口座の二重開設を防ぐ目的で行われ、NISA口座を開設する前に通過しなければならない審査です。
NISA口座開設を申し込んだあと、税務署審査通過の旨が金融機関から通知されて、口座開設が完了し、取引を開始できます。
NISA(ニーサ)の非課税期間は?
NISA(ニーサ)の非課税期間を解説します。NISAでは、制度施行期間だけでなくNISA口座を利用して非課税メリットを享受できる、「非課税期間」が定められています。
非課税期間はNISAの種類ごとに規定され、期間の数え方にも特徴があります。いつまでNISA口座から非課税適用を受けて資産運用益を受け取れるのか、きちんと理解して自身の非課税期間を確認しましょう。
NISA(ニーサ)はいつまで続く?非課税期間終了時の対応と最新情報
https://sensis.jp/149
非課税となる期間
NISA(ニーサ)の非課税期間は、3種類それぞれの制度の特徴に合わせて異なります。
長期投資を目的に施行されたつみたてNISAは、20年という非常に長い期間に渡って非課税適用を受けて投資の利益を得られます。では、この非課税期間はいつから数えられるのでしょうか。
非課税期間の数え方
NISA(ニーサ)の非課税期間は、NISA口座開設後に初めて金融商品を購入した時点の年から5年後の年末までとなります。そのため、例えば2014年1月に初めてNISA口座から投資を行った投資家と、同年12月に始めて買い付けを行った投資家は、両者も2018年の12月末に非課税期間の終了を迎えることとなります。
つまり、非課税期間はNISA口座から投資を始めた日から数えられないため、同じ年からNISAを利用開始した場合でも一年間のギャップが生まれる可能性があり、「最大で」と表記されます。
約定日か受渡日か
非課税期間開始の判断基準である「投資開始日」は、売買決済を行う「受渡日」を基準にして判断されます。例えば、ネット証券会社の最大手であるSBI証券では、2018年のNISA非課税枠がいつから利用できるか、について以下のように解答しています。
受渡日は商品によって異なりますので、お取引の前に必ずご確認ください。
引用:2018年分のNISA口座の非課税枠はいつから使えますか?(SBI証券株式会社公式サイト)
基本的に、売買注文が確定した約定日から実際に決済する受渡日までは少なくとも三日はかかります。(*1)そのため、この2種類の日付どちらを基準として投資の開始を判断するかによって、タイミングによっては翌年分の非課税枠を使用した投資となるケースもあり、非常に重要なポイントとなる可能性があります。
(*1:株式、投資信託のどちらの場合でも4営業日かかるケースがほとんどです。)
参考:株式の約定日と受渡日とは何ですか?(SBI証券株式会社公式サイト)
NISA(ニーサ)の非課税期間が終了したら?
NISA(ニーサ)の非課税期間が終了した際に、投資家が選択できる対応を3種類説明します。
- 売却
- 課税口座へ移管
- ロールオーバー
3種類の選択肢それぞれにメリット・デメリットがあり、非課税期間終了時のNISA口座内の資産状況によって、最適な選択肢が異なります。それぞれの対応を取るべき状況をお教えしますので、非課税期間終了時、もしくは制度終了時に適切な判断を下せるよう、きちんと理解しておきましょう。
1.売却
非課税期間内にNISA(ニーサ)口座で保有している資産を全て売却する方法です。非課税期間内にNISA口座内の資産を売却できると、課税されずに売却益を受け取れます。
非課税期間終了前に保有資産がプラスとなっていて、今後はNISAの非課税メリットを活用して投資を行わない方に最適な対応です。売却によって得られるお金は指定した金融機関の口座へ振り込まれます。
2.課税口座へ移管
非課税期間終了に伴って、NISA(ニーサ)口座から通常証券口座へ資産を移管することです。非課税期間終了時までに手続きを行わなかった場合にも、自動的に課税口座へ移管されます。
移管は、移管時の資産額で行われるため、非課税期間終了時に含み損(*1)となっている場合は注意が必要になります。
例)NISA口座で100万円の資産を購入したケース
移管時の時価で資産が課税口座へ移管されるため、これ以降、資産は80万円で購入されたものとして扱われます。
80万円の資産から10万円の利益が発生したとして20.315%(*2)の税金がかります。
このケースでは、当初100万円で購入した資産を90万円で売却したので実際には10万円の損失となりますが、課税口座への移管をきっかけに利益が生じたとして課税されます。損失に加えて税金が引かれる事態に陥らないよう、非課税期間終了時の保有資産の状況と、今後の値動きも考慮した上で対応を選択することが大切です。
(*1:売却前の保有資産が損失となっている状態です。)
(*3:所得税15.315%、住民税5%です。所得税には 復興特別所得税が含まれています。)
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3.ロールオーバー
非課税期間を延長する方法です。非課税期間終了時に新たにNISA口座を開設し、そちらに保有資産を移すことで、さらに5年間、非課税の恩恵を享受できます。
例えば、2014年にNISA口座で投資を始め、2018年12月末に非課税期間が終了する場合にロールオーバーを行うと、2019年からの5年間(2023年まで)は、新しいNISA口座で非課税適用を受けながら資産を運用できます。
ロールオーバーは、保有資産額に関わらず非課税期間終了時の保有資産を全て新しいNISA口座に移すことが可能(*1)で、移行によって保有資産額は変化しません。さらに、投資開始時期によっては最大10年間(*2)の非課税期間となる可能性があり、投資家にとって非常に魅力的な対応と言えます。
しかし、つみたてNISAでは行えず、ロールオーバーした資産額分、新たなNISA口座の翌年の非課税枠を消費してしまうというデメリットがあります。
(*1:平成29年の税制改正によってロールオーバー可能な資産額の上限が撤廃されました。)
(*2:当初の非課税期間5年間+新しいNISA口座の非課税期間5年間=最大10年間)
参照:非課税期間終了における手続きのお知らせ(日本証券業協会)
参考:非課税期間終了時のご注意(日本証券業協会公式サイト)
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NISA(ニーサ)口座の開設方法
ここからは、NISA(ニーサ)口座の開設方法をお伝えします。制度期間や非課税期間が設定されているNISAですが、投資の利益を非課税で受け取れる非常にメリットの大きい制度です。
メリットを自身の効率的な資産形成に活かしていきましょう。
口座開設の手順
まずはNISA(ニーサ)口座開設の手順を説明します。基本的にどの金融機関でNISA口座を開設する際も以下の手順に沿って手続きを行い、口座開設を完了できます。
口座開設前に手順を確認して、実際の口座開設の際に慌てないよう、準備しておきましょう。
証券口座開設が必須
NISA(ニーサ)口座を開設するには、NISA口座を開設する金融機関に通常証券口座や通常預金口座などの通常口座を開設している必要があります。
NISA口座開設前に既に通常口座を保有している場合には新規開設は不要ですが、開設していない場合は通常口座を開設してからNISA口座の開設手続きを行う必要があります。ただし、金融機関によっては、NISA口座の開設と同時に通常口座の申込が可能な場合があるため、事前に情報を確認しておきましょう。
必要書類の返送
NISA(ニーサ)口座を開設する金融機関に、必要書類を提出しましょう。NISA口座開設の申込書は、口座開設を行いたい金融機関に請求して手に入れられます。NISA口座の開設には、基本的に以下2種類の書類が必要になります。
- NISA申請書
- 本人確認書類
本人確認書類は、マイナンバーカード、もしくはマイナンバー通知カードを用意する必要があり、どちらを用意できるかによって他の必要書類が異なります。自身がNISA口座を開設したい金融機関の情報を確認して、該当する書類を用意しましょう。
必要書類が用意できたら、必要事項を記入して金融機関へ送付してNISA口座の開設を申し込みましょう。
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審査
金融機関へNISA(ニーサ)口座開設のための書類を提出したら、金融機関から税務署へNISA口座開設の審査に出されます。税務署審査は、NISA口座の二重開設を防ぐ目的で行われるため、既にNISA口座を保有していない限り、審査に通過できます。
NISA口座開設の税務署審査について。どれくらいの期間がかかる?
NISA(ニーサ)口座開設
税務署審査に通過すると、税務署から金融機関へ通知が行き、金融機関から投資家のもとへお知らせされて、NISA口座の開設が完了します。
税務署審査通過の通知は、金融機関ごとに方法が異なりますので、金融機関の情報を確認しておきましょう。
NISA(ニーサ)口座開設までの期間
NISA(ニーサ)口座開設までには、およそ3〜4週間の期間を予定しておきましょう。税務署審査には1〜2週間ほどかかると言われ、必要書類の用意や提出等を含めると3〜4週間ほどかかります。NISA口座開設手続きは時間的な余裕を持って行いましょう。
おすすめのNISA(ニーサ)口座
NISA(ニーサ)口座を開設する際におすすめな金融機関をご紹介します。NISA口座は、金融機関ごとに様々な特徴があり、投資スタイルごとに最適な金融機関が異なります。自身の行いたい投資スタイルと口座の特徴を確認して、最適な金融機関でNISA口座を開設しましょう。
NISA(ニーサ)・つみたてNISA口座を比較。おすすめ金融機関と選び方のポイント
SBI証券
ネット証券会社の最大手、SBI証券のNISA(ニーサ)口座では、業界最高水準の手数料の安さと、豊富な取扱数の中から最適な投資先を自由に選択できます。SBI証券のNISA口座は、3,780本の国内株式と、2,580本の投資信託の中から投資先を自由に選択できます。さらに、つみたてNISAでは150本の取扱数を誇ります。また、海外9カ国の株式へ投資可能な点も、SBI証券のNISA口座の魅力と言えます。
国内株式の売買手数料は無料で、販売手数料が無料なノーロードファンドが1,300本近く取り扱われているため、コストを抑えた投資を行えます。IPO投資や、投資相談サービスも提供されており、投資初心者には嬉しいポイントです。
楽天証券
楽天証券グループの証券会社のNISA(ニーサ)口座では、SBI証券と同レベルの手数料と取扱商品数を誇ります。国内株式は3,720本、投資信託は2,580本に対応しており、つみたてNISA口座では150本の取扱本数を誇ります。
国内株式の売買手数料が無料で、海外ETFの買い付け手数料がキャンペーン適用によって無料になります。しかし、IPO投資を行うことができないため、高確率で利益を上げて非課税メリットを活用したい方には不向きです。
松井証券
100年以上続く老舗の証券会社です。松井証券のNISA(ニーサ)口座は、手数料の安さが非常に魅力です。
国内外の株式の売買手数料はもちろん、キャンペーンによって取扱投資信託の買い付け手数料が全て無料になります。投資信託はファンドによって買い付け手数料が異なりますが、松井証券では全ての投資信託の買い付け手数料が無料になるため、非常に大きなメリットと言えます。
しかし、取扱投資信託は707本、国外株式は5本しか取扱がないため、国内株式や松井証券で取り扱われている投資信託以外に投資したい場合には取扱本数の少なさがデメリットとなります。
マネックス証券
米国株・中国株投資に強いマネックス証券のNISA(ニーサ)口座では、他証券会社と比べて圧倒的な海外株式の取扱数の多さを誇ります。
マネックス証券では、米国株と中国株をあわせて5,000本以上の海外株式の取扱があります。NISA口座から海外株式へ投資できる金融機関の中で最多の取扱数となっており、非課税メリットの適用を受けながら米国株もしくは中国株へ投資したい方にはぴったりの証券会社と言えます。
また、海外株式の買い付け手数料がキャンペーンによって実質無料となっている点も魅力です。
カブドットコム証券
三菱UFJ銀行のネット証券会社である、カブドットコム証券のNISA(ニーサ)口座では、上場している国内株式全てに投資できますが、海外株式へは投資できません。投資信託はつみたてNISAでは149本の取扱がありますが、一般NISAでは1,103本の取扱数となっており、他ネット証券会社と比べると少ないと言えます。
また、国内株式の取引には約定代金ごとに手数料が発生するため、取引回数が多い方にはデメリットとなります。
NISA(ニーサ)制度・非課税の期間を理解し、イメージ通りの運用ができるようにしておきましょう
NISA(ニーサ)制度がいつからいつまで利用可能なのかと、非課税期間を解説しました。非課税期間はNISA口座で初めて投資を行い、実際に金融良品が受け渡された日を基準に数えられます。また、年単位で数えられるため、約定日と受渡日によっては非課税期間が一年間ずれる可能性があります。
制度終了期間と非課税期間についてきちんと理解して自身の資産形成にNISAを効果的に活用していきましょう。