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NISA(ニーサ)口座は変更可能?金融機関変更のデメリットと手続きを解説

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NISA(ニーサ)口座での資産運用を始めて行っていくなかで、金融機関ごとに異なる特徴を持つことから自身の投資スタイル等に合わせて口座の金融機関を変更したい投資家も少なくないのではないでしょうか。そこで、今回はNISA口座変更について金融機関変更のメリットとデメリット、手続きの際の注意点と解約の方法を解説します。さらに、一般NISAから積立NISAへのNISAの種類変更についてもお伝えします。自身の投資の状況に応じて最適な判断ができるようにきちんと理解しておきましょう。

NISA口座の変更を行うひとの画像

NISA(ニーサ)口座の変更(金融機関変更)の概要

NISA口座は全ての金融機関を含めてひとり1個しか開設することができません。この開設時には開設する金融機関を投資家が自由に選択することができますが、金融機関によってNISA口座から投資可能な商品や売買取引の度にかかる手数料なども異なるため、資産運用を行っていくなかで途中で金融機関を変更したくなる投資家の方も少なくないのではないでしょうか。そこでここからは、NISA口座の金融機関変更について説明していきます。

NISA口座は変更可能

NISA口座は、利用期間内であればどのタイミングであっても金融機関を変更することが可能です。(*1)この変更は1年単位での変更で、1年に1度のみ可能です。

(*1:2014年の所得税法等の一部を改正する法律」によって、2015年から金融機関変更が可能になりました。)

参照:NISA制度一部改正のお知らせ[三井住友銀行]

口座変更の意義、メリット

2015年からNISA口座の金融機関変更が可能となりましたが、既にNISA口座を保有して資産運用を行っているにも関わらず、金融機関の変更を行う必要はあるのでしょうか。手続きの手間を考慮してもなお、金融機関変更によって投資家にメリットがあるのでしょうか。NISA口座の金融機関変更によって投資家が得られるメリットをご紹介します。

手数料削減

同じNISA口座であっても、金融機関によって売買手数料の価格は異なります。売り・買いを行うごとにかかる手数料は、1度の価格が少なくても取引回数が増えることで結果的に大きくなってしまいます。せっかくNISAを活用して非課税メリットを受けることで投資コストを下げても、手数料でお金を持っていかれてしまっていては元も子もありません。自身の投資において取引頻度が高い金融商品の手数料が他金融機関の方が安い場合や、金融商品によっては手数料が無料となる証券会社もあり、そういった金融機関へ口座変更することで投資家の手元に残るお金が増えるというメリットがあります。

自身の投資スタイルに合わせて様々な金融機関の手数料を比較して金融機関を変更することで、お得な資産運用を行うことができます。

取扱い商品の拡大

手数料だけでなく、NISA口座から投資することのできる金融商品も金融機関によって大きく異なります。例えば、銀行のNISA口座では株式の買付けを行うことができません。(*1)銀行でNISA口座を保有している場合に、非課税適用を受けながら株式投資を行いたくなったときには証券会社へ金融機関を変更することで株式投資が可能になります。既に証券会社のNISA口座を保有している場合でも証券会社によって投資可能な取扱い商品や数が異なるため、金融機関を変更することで投資の幅を広げることができるメリットが生じる可能性があります。

(*1:NISA口座に限らず、株式は証券口座でのみ取引が可能です。)

Webサイトやツールの使いやすさ

情報戦と言われる投資において、日常のスピード感ある情報収集は非常に重要なポイントのひとつです。各金融機関はそれぞれで独自の情報配信サービスを提供していることが多く、金融機関変更によって従来よりもツールの利便性が向上する可能性があります。また、証券口座の管理や実際に取引を行う際に利用するWebサイトの使いやすさに関しても同様に使いやすくなるメリットも潜んでいます。

口座変更のデメリット

ここまでNISA口座の金融機関変更に伴って投資家が享受し得るメリットを解説しましたが、一方で変更によって投資家が被るデメリットはあるのでしょうか。具体的に2点お伝えしますので、金融機関変更に悩んでいる方はデメリットもしっかり理解してから金融機関変更を行うかどうか判断していきましょう。

ロールオーバーができない

NISAの非課税期間終了時、投資家は現在のNISA口座で保有している資産への対応を幾つかの選択肢(*1)から選ぶことができますが、そのなかの選択肢のひとつに「ロールオーバー」(*2)があります。非課税期間の延長措置であるロールオーバーは、非課税期間を最大で10年間(*3)とすることのできる投資家にとって非常に魅力ある対応ですが、金融機関を1度でも変更してしまうと行うことができません。ロールオーバー自体がNISA口座開設時と同じ金融機関の間でしか行うことができないため、非課税期間終了時には自動的に他の選択肢から対応することになります。

(*1:ロールオーバー・売却・課税口座へ移管の3種類があります。)
(*2:非課税期間終了時に新たなNISA口座を開設することで非課税期間を延長する仕組みです。)
(*3:最初の非課税期間最大5年間+新たなNISA口座の非課税期間5年間=最大10年間)

参考:NISAのポイント[金融庁公式サイト]

変更前の口座で買った商品は移行できない

NISA口座の金融機関変更を行う場合に、変更前NISA口座で保有していた資産を新たなNISA口座へ移管することができません。変更前のNISA口座にてそのまま資産を保有し続けることになります。例えば、2018年にNISA口座aから株式Aを購入し途中で金融機関を変更した場合、NISA口座aにて2023年まで非課税適用を受けながら資産Aを保有し続けることになります。手続きの手間などを考慮すると、市場の値動きもあるため投資家にとって大きなデメリットとなってしまいます。

参考:金融機関の変更[日本証券業協会公式サイト]

口座変更の手続き

NISA口座の金融機関変更の概要とメリットやデメリットを見てきましたが、デメリットも考慮したうえで実際に変更を行いたい場合にはどのような手続きが必要なのでしょうか。ここからはNISA口座における金融機関変更手続きを解説します。SBI証券やマネックス証券、楽天証券など金融機関は様々ありますが、大体の手順は基本的に同じです。

  1. 金融商品取引業者等変更届出書を作成
  2. 非課税管理勘定廃止通知書を発送

大まかな手続きは2段階のみで、比較的簡単に完了することができます。これから変更手続きを行う投資家の方は参考にしてみてください。

1.金融商品取引業者等変更届出書を作成

現在NISA口座を保有している金融機関から「金融商品取引業者等変更届」を取り寄せ、必要事項を記入して提出します。

2.非課税管理勘定廃止通知書を発送

変更したい金融機関から必要書類を送付してもらい、「非課税管理勘定廃止通知書」や本人確認書類、マイナンバー確認書類等を記入・作成して返送します。年単位でNISA口座の金融機関を変更する場合は「勘定廃止通知書」を、変更前NISA口座を廃止した後にNISA口座を再開設する場合は「非課税口座廃止通知書」が必要となり、提出書類が異なりますので、自身のNISA口座の状態を理解してしっかり確認しておきましょう。

変更したい金融機関の審査後、税務署審査も行われ、両審査の確認が完了したところで投資家に口座開設完了通知がなされます。投資家は上述の2工程を行うだけで手続きが終わり簡単に行うことができますが、税務署審査(*1)等に時間がかかる事が多いため、手続きは時間的余裕をもって行うことが大切です。

(*1:税務署審査だけでおよそ1〜2週間ほどかかると言われます。)

参考:金融機関変更によるNISA口座開設[SBI証券公式サイト]
参考:NISA口座開設[楽天証券公式サイト]

口座変更の注意点

NISA口座の金融機関変更を行う際に、注意すべき点はあるのでしょうか。変更手続きを行う前に知っておきたい注意点をご紹介しますので、きちんと理解して手続きの際に慌てることが無いように備えておきましょう。

変更前口座の取引残高

NISA口座の金融機関変更は、変更前のNISA口座を開設したまま新たな金融機関にNISA口座を開設することになります。そのため、変更前のNISA口座の取引残高を変更後のNISA口座へ資産を移管することはできず、変更前のNISA口座でそのまま保有することになります。変更後のNISA口座へ従来の保有資産を移管するには、変更前のNISA口座から通常証券口座へ払出しした後に変更後口座へ移管する方法を採ることになるため、注意が必要です。

参考:金融機関変更(ご留意事項)[マネックス証券公式サイト]

変更申請期限

NISA口座の金融機関変更手続きは、手続き完了までの期限が定められています。

また、金融機関の変更を希望されるお客様は、変更しようとする年の9月30日までに税務署でNISA口座開設のお手続きが完了している必要がございます。

引用:NISA口座開設[楽天証券公式サイト]

例えば、2018年に金融機関変更後のNISA口座を使用したい場合には、「2017年10月1日から2018年9月30日まで」に手続きを完了させておく必要があります。

変更を行いたい年の非課税枠

NISA口座の金融機関変更の際に最も注意したい点として、変更を行いたい年の1月1日以降に変更前NISA口座の非課税枠を1度でも使用してしまうとその年には金融機関変更を行うことができなくなってしまいます。(*1)1年の途中で金融機関を変更しようとする場合には自身のNISA口座の状態をしっかり確認し、必要であれば積立を中止することや分配金コースの選択変更などの手続きを早めに行っておくことが大切です。

(*1:分配金再投資コースを選択していた場合には、自動的に非課税枠が消費されてしまいます。)

参考:金融機関の変更[日本証券業協会公式サイト]

積立NISAも同様

一般NISA口座の金融機関変更について説明してきましたが、積立NISAでも金融機関変更の際には同様のメリットやデメリット、注意点が生じます。金融機関変更の際の手間や時間をできるだけ簡単に短くするためにも、きちんと理解しておきましょう。

NISA口座と積立NISA口座の変更

3種類あるNISA制度のうち、同種類のNISA口座における金融機関の変更について解説してきましたが、ここからは一般NISAから積立NISAへの変更という、NISAの種類変更について説明します。また、NISAは種類変更と同時に口座の金融機関変更も行うことが可能です。

  1. 同一金融機関内での種類変更の場合
  2. 他金融機関へ変更し、なおかつ種類変更を行う場合

この2パターンで必要書類や手続きが異なりますので、各ケースについて説明します。また、種類変更の場合も金融機関変更と同様に変更したい年に既に非課税枠を使用して投資を行っていた場合は、その年に種類変更を行うことができず、各金融機関で種類変更手続きの期限も定められていますので手続き開始前にきちんと確認しておくことが大切です。手続きの時間も考慮して余裕をもって手続きを行っていきましょう。

1.同じ金融機関内

保有している一般NISA口座を金融機関を変えずに積立NISA口座へ変更するケースです。種類変更を行う際には金融機関へマイナンバーを登録しておく必要があります。証券口座開設の際にはマイナンバー提示が必須事項(*1)ですが、この提示が義務化される前に証券口座を開設していた場合には金融機関にマイナンバー未登録である可能性があります。マイナンバー登録が完了している場合と未登録の場合で手続きが異なります。

  • マイナンバー登録済:積立NISAへの変更届を取り寄せて記入、返送する
  • マイナンバー未登録:変更届に加えて「マイナンバーカード」や「通知カード」などのマイナンバーの分かる書類を提出
  • (*1:2016年1月1日より義務化されました。)

    参考:マイナンバー提供のお願い[日本証券業協会公式サイト]

    2.別の金融機関

    現在保有しているNISA口座の種類・金融機関ともに変更する場合です。この場合には変更したい金融機関へマイナンバーの提示が必須なため、一般NISA口座でのマイナンバー登録によって手続きが変わることはありません。一般NISAの金融機関から「金融機関変更届出書」を取り寄せて記入、返送し「勘定廃止通知書」を受け取った後、積立NISA口座を開設したい金融機関から「積立NISA口座開設届出書」を取り寄せ、「勘定廃止の証明書」とマイナンバーのわかる書類を提出します。

    参考:NISAの開設方法のご案内[楽天証券公式サイト]

    解約は簡単

    NISAで口座解約を行う際には口座内の保有資産を0円にする必要があり、売却や移管(*1)を行うことで完了することができます。この際に投資信託を積立にて運用していた場合には積立設定を解除しなければならず、確認が必要です。口座残高を0円にしたあとで「口座解約依頼書」を作成し金融機関へ提出することで解約手続きが完了します。

    (*1:保有資産を他証券口座に移行する手続きのことです。)

    参考:口座解約手続きについて[楽天証券公式サイト]

    NISA(ニーサ)口座変更のメリット、デメリット、注意点を理解し、必要に応じて手続きを進めましょう

    NISA口座の金融機関を変更することで投資幅の広がりや手数料が安くなるなど、非課税メリットをさらに上手く活用して資産運用を行うことができる可能性があります。変更によるメリットは自身の投資スタイルや保有資産の状況、利用NISAの種類など様々な要因で異なります。しかし、非課税期間の延長措置であるロールオーバーを行うことができず、非課税期間終了時にNISA口座の資産が負担となる可能性があるなど、それに伴って生じるデメリットもあります。金融機関の変更手続きを行うことができるNISA口座の条件や変更手続きの期限とその時間もかかることから、種類・金融機関変更ともにメリット・デメリットを考慮したうえで事前に情報を確認しておくことが大切です。

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