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NISA(ニーサ)は何の略語?積立NISAとNISAのデメリットも解説

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2014年から始まった税制優遇制度の「NISA」は、制度の略語でニーサと呼ばれています。今回はこの「NISA(ニーサ)」についてその語源や制度内容の参考となったイギリスのISA(アイサ)との関連・違いなどを解説します。さらに、NISA制度の概要と一般NISA・積立NISA・ジュニアNISAの違いについてもお伝えしますので、NISAについてしっかり理解して自身の資産運用に役立てていきましょう。

略語であるNISAの元となったイギリス官庁の画像

NISA(ニーサ)は何の略?

2014年から施行された税制優遇制度の略語として親しまれている「NISA(ニーサ)」は、一体何の略語なのでしょうか。NISAの語源について詳しくみていきましょう。

NISAとは?初心者でも分かるNISA解説。種類と運用時の注意点

NISA(ニーサ)とは

NISAとは、わかりやすく言うとNISA口座から行った投資の利益が非課税となる制度です。NISA制度自体は2014年1月1日から開始されましたが、それ以前には投資の利益に対して同様に非課税メリットのある制度として「軽減税率」というものがありました。NISAの非課税メリットは、本来所得にかかる所得税20.315%(*1)が一切課税されなくなる点ですが、従来の軽減税率では所得税率が10%に下がり課税される仕組みでした。この軽減税率が2013年12月31日にて終了し、新たにNISA制度が開始されたことで投資家は従来よりも非課税メリットが大きくなりました。

NISAが2014年に施行された2年後、2016年には未成年を対象とした「ジュニアNISA」、2018年からは長期・積立・分散投資を目的に「つみたてNISA」が開始され、現在は3種類のNISAがあります。

(*1:所得税15.315%、住民税5%。この所得税には「復興特別所得税」として0.315%が含まれています。)

語源はイギリスのISA(アイサ)

NISAは、イギリスの「ISA(アイサ)」制度を参考にして作成され、ISA制度の日本版として愛称を募集したことで、頭に「Nippon」を付けた「NISA(ニーサ)」となりました。「ISA」は「Individual Savings Account」の略で日本語では「個人貯蓄口座」を表し、イギリスで1999年から国民の貯蓄率の向上を目的に導入されました。

参照:「英国における個人の中長期的・自助努力による資産形成のための投資優遇税制等の実態調査」報告書(日本証券業協会平成28年6月)
参考:Individual Savings Accounts(Gov.Uk/イギリス政府公式サイト)

ISA(アイサ)とNISA(ニーサ)の大きな違い

ISAを参考に作成されたNISAですが、様々な点でISAとの相違があり、最大の相違点として、NISAの非課税期間があります。NISAでは一定期間内に行われた投資の利益が非課税適用を受けることができ、この一定期間のことを「非課税期間」と言います。非課税期間はNISAの種類ごとに異なりますが、一般NISA・ジュニアNISAでは5年間、積立NISAでは20年間と規定されています。

一方でISAには非課税適用を受けることができる投資期間には制限がありません。恒久的にNISA口座を利用して資産運用を行うことができ、投資家にとってのメリットが大きくなっています。

参考:NISAの概要(金融庁公式サイト)

NISA(ニーサ)の特徴

イギリスのISAを元に作成された制作、「NISA」について語源やISAとの違いを比較しました。ここからは、さらにNISAについて深く理解するために、NISA制度のメリットとデメリットを解説します。

NISA(ニーサ)のメリット

まずはNISA利用によって投資家が得られるメリットを2点ご紹介します。通常証券口座と比較してどういったメリットがあるのか、きちんと理解して資産運用の際にNISAを利用するかどうか判断していきましょう。

利益が非課税

NISAを利用する最大のメリットとして、「資産運用益が非課税」となる点が挙げられます。通常証券口座にて行った投資の利益には20.315%(*1)が課税されますが、NISAを利用することで非課税となり利益が全て投資家の手元に残ることになります。例えば、10万円の利益を上げた場合、通常証券口座では20,315円が税金として引かれますが、NISAであれば10万円をそのまま投資家が得ることができます。

利益額が上がれば上がるほどお得になるこのメリットは、投資家にとって非常に大きな利益となるため、NISA利用がおすすめされる最大のポイントです。

(*1:所得税15.315%、住民税5%。この所得税には「復興特別所得税」として0.315%が含まれています。)

確定申告が不要

確定申告とは、年末にある1年の所得額を算出することで納税額を確定し、投資家自身が納税する手続きのことです。正確な所得税を納税するための手続きになるため、そもそも納税が不要なNISAでは確定申告を行う必要がありません。

参考:確定申告が必要な方(国税庁公式サイト)

NISA(ニーサ)のデメリット

資産運用益が非課税となる大きなメリットがあるにも関わらず、NISAをあえて使用しない投資家も少なくありません。これは何故なのでしょうか。NISAを利用することで投資家が被るデメリットをお伝えしますので、NISA利用前にきちんと理解してリスクを理解しておきましょう。

NISA口座のデメリットとは?注意点と5年後の対応について

損益通算ができない

損益通算とは、複数の証券口座にてある1年に生じた利益と損失を合算して利益と損失を確定させる制度のことです。損益通算を行うことで、その年に発生した損失を相殺することができますが、NISAでは行うことができません。これは、一般NISAだけでなく、積立NISA・ジュニアNISAについても同様に行うことができません。

繰越控除ができない

NISAでは、年末に損失の繰越控除を行うことができません。繰越控除とは、ある1年にNISA口座から生じた損失を翌年に持ち越すことで、翌年以降の投資の利益から支払うことが可能となる制度です。

上述の損益通算に加えて、繰越控除も行うことができないNISAでは、資産運用の際に損失が発生した際の投資家に対して救済措置を講じることができず、損失をそのまま投資家が負担しなければならないというデメリットがあります。

参考:NISAのデメリット(金融庁公式サイト)

3種のNISA(ニーサ)の比較

2014年から開始されたNISAは、資産形成の目的や投資スタイル、対象投資家などの違いから現在では3種類あります。

  • 一般NISA
  • つみたてNISA
  • ジュニアNISA
  • この3種類について、それぞれの投資上限額や非課税期間などの7項目から違いを解説します。自身の投資スタイルに合わせて最適なNISAを選択し、効率的な資産運用を行っていけるよう、きちんと理解しましょう。

    NISA(ニーサ)口座の種類を解説。つみたてNISAとジュニアNISAとは?

    年間投資上限額

    NISAは、一定金額内で行われた投資から生じた利益について非課税適用が受けられます。この一定金額は投資上限額として年単位で設定され、NISA3種類それぞれで金額が異なります。

  • 一般NISA:120万円
  • つみたてNISA:40万円
  • ジュニアNISA:80万円
  • 一般NISAに対して長期的な分散投資を目的とする積立NISAでは年間の投資上限が40万円と非常に少なくなっています。

    投資期間

    NISA制度の投資期間には2種類あり、ひとつはNISAの制度自体の施行期間、2点目は非課税適用を受けることができる期間です。前者は「投資可能期間」(*1)、後者は「非課税期間」と言われます。投資可能期間は、NISA制度自体が期間限定で施行されているものであるために投資家に関わらず利用の可否が変わる期間です。両者について各種類の期間をみていきましょう。

    [投資可能期間]

  • 一般NISA:2023年まで
  • つみたてNISA:2037年まで
  • ジュニアNISA:2023年まで
  • [非課税期間]

  • 一般NISA:最大で5年間
  • つみたてNISA:最大で20年間
  • ジュニアNISA:最大で5年間
  • 非課税期間は、長期的な投資を目的とした積立NISAが20年と非常に長くなっています。一般NISAの非課税期間は5年間ですが、非課税期間終了時に条件を満たしていることで「ロールオーバー」(*2)という非課税期間の延長措置を講じることができます。

    (*1:「運用可能期間」とも言われます。)
    (*2:非課税期間終了時に新たにNISA口座を開設し、その非課税期間を適用することで非課税期間を最大10年間とすることが可能です。)

    NISAのロールオーバーとは?概要やデメリットと上限撤廃のメリットを解説

    対象年齢

    NISAにおける対象年齢とは、NISA口座を開設・利用することが可能な投資家の年齢を表しています。この対象年齢についてもNISA各種類で異なっています。

  • 一般NISA:満20歳以上の日本在住者
  • つみたてNISA:満20歳以上の日本在住者
  • ジュニアNISA:0〜19歳の日本在住者
  • ジュニアNISAでは未成年の投資家を対象とし、NISA口座を開設する年の1月1日時点における年齢を基準にして数えられます。

    投資対象

    投資対象とは、NISA口座から資産購入、運用を行うことができる対象の金融商品のことです。

  • 一般NISA:株式・投資信託等の配当金・分配金、譲渡益
  • つみたてNISA:一定の投資信託の分配金や譲渡益
  • ジュニアNISA:株式・投資信託等の配当金・分配金、譲渡益
  • 積立NISAでは投資対象が金融庁によって限定され、厳しい基準をクリアした投資信託のみが対象となります。この基準については、投資信託の契約期間や分配頻度などについて定められ、現時点で投資可能な投資信託は162本となっています。(*1)

    (*1:2018年11月9日現在。)
    参照:つみたてNISA対象商品届出一覧(金融庁)
    参考:つみたてNISAの対象商品の要件 平成29年6月(金融庁)

    途中引き出し

    NISAの非課税期間内に、NISA口座にて保有している資産をお金として引き出すことを途中引き出し(*1)と言います。この途中引き出しについては、ジュニアNISAの場合に制限が課されています。

  • 一般NISA:いつでも可能
  • つみたてNISA:いつでも可能
  • ジュニアNISA:口座開設者が18歳となるまで制限あり
  • ジュニアNISA口座内の保有資産については災害等の特例以外は原則18歳まで(*2)払出しを行うことができません。どうしても引き出したい場合にはジュニアNISAを活用して過去に非課税にて得た利益に課税されてジュニアNISA口座は廃止されます。

    (*1:「払出し」とも言われます。)
    (*2:3月31日に18歳となる年の前年12月31日までです。)

    金融機関変更

    NISA口座は、非課税期間内に金融機関を変更することができます。現時点で使用しているNISA口座の金融機関では投資することができない商品に投資可能となる場合や、自身の投資スタイルによって金融機関を変更したほうが手数料が安くなるなどの場合に有効です。しかし、この金融機関変更も上述の途中引き出しと同様にジュニアNISAでは行うことができません。

  • 一般NISA:いつでも可能(*1)
  • つみたてNISA:いつでも可能
  • ジュニアNISA:不可能
  • 一般NISAと積立NISAでは非課税期間内にいつでも金融機関の変更が可能です。しかし、一般NISA利用時に金融機関変更を1度でも行うと、非課税期間終了時に非課税期間の延長措置である「ロールオーバー」(*2)を行うことができないという大きなデメリットがあります。また、ジュニアNISAでは金融機関変更を行うことができず、どうしても行いたい場合には現在保有しているNISA口座を一旦廃止してから新規NISA口座を開設する必要があります。

    (*1:1年に1回まで可能です。)
    (*2:非課税期間終了時に新たなNISA口座を開設し、そちらの非課税期間を適用してさらに5年間非課税のメリットを享受することができる仕組みです。)

    参考:ジュニアNISAのデメリット(金融庁公式サイト)

    口座管理者

    0〜19歳の未成年を対象としたジュニアNISAでは、NISA口座を利用して実際に運用を行う際のNISA口座の管理者が規定されています。口座管理者は「運用管理者」とも言われ、ジュニアNISA口座名義人の二親等以内の親族(*1)であれば名義人に代わってNISA口座にて資産運用を行うことができます。

    (*1:名義人の兄弟姉妹、祖父母、孫などが該当します。)

    参考:ジュニアNISAの運用管理者(金融庁公式サイト)

    NISA(ニーサ)の意味、概要、3種のNISAの違いを理解し、必要に応じて更に勉強していきましょう

    NISA(ニーサ)の略語とその語源であるイギリスのISA(アイサ)について解説し、NISA制度3種類それぞれの特徴や違いを説明しました。ISA制度を参考に作成されたNISAですが、ISAには非課税期間の制限がなく、恒久的に非課税メリットを活用して投資を行うことが可能であるという相違点があります。NISA口座にて損失が生じた場合に投資家の負担が大きくなる可能性があるなどデメリットがありますが、賢く使用することで非課税適用を効果的に活用することができます。

    また、3種類あるNISA口座は資産形成の目的や形成にかけられる時間、NISA口座を利用したい投資家の年齢などから特徴が異なり、自身の投資スタイルに合わせて利用するNISA口座を選択することでお得に資産運用を行うことができますので、各種類の特徴をきちんと理解しておきましょう。

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