NISA(ニーサ)の種類について解説します。NISA口座には、「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3種類がありますが、どのような違いや特徴、デメリットがあるのでしょうか。これからNISA利用を開始する投資家が、NISAの種類を選ぶ際のポイントとなる情報が盛りだくさんです。自身の投資スタイルや資産形成の目的によって最適なNISAの種類は異なりますので、それぞれの性格をきちんと理解してNISA口座にて運用を開始しましょう。
NISA(ニーサ)の種類とその特徴は?
NISA(ニーサ)制度は利用する投資家や資産運用の目的、投資スタイルに合わせて種類が分かれています。自身の年齢や資産形成の目的に応じて最適なNISAを選択することで、効果的な資産運用に役立てることができます。ここからは、NISAそれぞれの種類の概要と特徴を解説しますので、どのNISAでNISA口座を開設するかどうか悩んでいる方は各NISAを比較し、NISA種類選びの参考にしてみてください。
そもそもNISA(ニーサ)とは
投資について調べている際に「NISA(ニーサ)」という単語を目にすることは少なくないと思います。このNISAとは、2014年から開始された投資の利益が非課税となる税制優遇制度です。投資家にとって資産運用益が非課税となる非常に魅力的なNISAは、利用する投資家の年齢や資産形成の目的に合わせて3種類のNISAから最適なものを選ぶことができます。
NISAは、3種類それぞれで特徴や性格が異なります。以下から4項目に分けて解説しますので、きちんと確認しておきましょう。
NISAとは?初心者でも分かるNISA解説。種類と運用時の注意点
3種のNISA(ニーサ)の違い
イギリスのISA制度を参考に作成されたNISAは、2014年に施行された一般NISA、長期・積立・分散投資を目的とした積立NISA、2016年から開始された未成年者を対象としたジュニアNISAの3種類に分かれています。
3種類とも資産運用益が非課税となる税制優遇制度ですが、制度開始年や対象となる投資家が異なっています。ここからはNISAの特徴を表す4点から3種類それぞれの性格を説明します。
年間投資上限額
NISAでは、一定期間内に一定金額内で行った投資の利益が非課税対象となります。この一定金額は、1年間に上限額が設定されており、この上限額のことを「年間投資上限額」と言います。
長期的な分散投資を目的とした積立NISAでは、一般NISAやジュニアNISAに比べて年間投資上限額が40万円と少なくなっています。
投資期間
NISA利用時の投資可能期間には2点あります。これは、期間限定で施行されている(*1)NISA制度自体の利用可能期間と、投資家がNISAの非課税適用を受けることが可能な期間の2点で、前者を「投資可能期間」(*1)、後者を「非課税期間」として3種類それぞれの期間をご紹介します。
[投資可能期間]
[非課税期間]
一般NISAとジュニアNISAでは制度開始時期が異なりますが、NISA口座を利用して新規投資を行うことができるのは2023年までと同じです。非課税期間についても一般NISAとジュニアNISAでは大きな違いはありません。
しかし、2018年から始まった積立NISAはそもそもの非課税期間が20年と長期間であるため、投資可能期間も必然的に他2種類と大きく異なっています。
(*1:「運用可能期間」とも言われます。)
対象年齢
NISAの対象年齢とは、各NISA制度を利用することができる投資家の年齢を指します。当初、一般NISAのみが施行されていた時点では満20歳以上の日本在住者のみが利用可能でしたが、現在は種類が増えたことで多くの投資家の利用が可能となっています。
上述の年齢は、NISA口座を開設する年の1月1日時点の年齢を基準にして数えられます。
投資対象
各種類のNISA口座を利用して投資することができる金融商品のことです。「非課税対象」と言われ、NISA口座の投資対象に該当することで投資の利益を非課税にて得ることができます。
投資対象についても投資上限額や非課税期間と同様に、一般NISAとジュニアNISAでは違いはありません。しかし、積立NISAでは金融庁が規定した基準を満たす、一定の投資信託のみに投資可能となっています。投資信託の契約期間や分配頻度などについて厳しい基準があり、現時点で投資可能な投資信託は162本となっています。(*1)
(*1:2018年11月8日現在。)
参照:つみたてNISA対象商品届出一覧(金融庁)
参照:つみたてNISAの対象商品の要件 平成29年6月(金融庁)
途中引き出し
NISA口座にて資産運用を行う非課税期間内に、NISA口座からお金を出金することを「引き出し」と言います。(*1)NISA口座からの資産引き出しについては、NISAの種類によって制限が課されています。途中引き出しが行えないと非課税期間内に保有資産を自由に使うことができなくなり、非常に不便となります。きちんと確認しておきましょう。
ジュニアNISA口座内の保有資産については基本的に18歳まで払出しを行うことができません。これは、3月31日に18歳となる年の前年12月31日まで、災害等の特例以外は原則行うことができません。
(*1:「払出し」とも言います。)
金融機関変更
一般NISAと積立NISAでは、非課税期間内にNISA口座の金融機関変更を行うことができます。いざ資産運用を始めたけれど、投資したい金融商品の取扱いが現NISA口座の金融機関ではなかった場合や、さらに投資コストを安くしたい場合に金融機関を変更することで投資家のメリットとなるケースがあります。
ジュニアNISAでは金融機関変更を行うことができません、どうしても変更したい場合には、開設・保有しているジュニアNISA口座を廃止した後に別の金融機関で新たにジュニアNISA口座を開設することで変更することが可能です。
口座管理者
一般NISAと積立NISAでは、口座開設者自身が口座を管理することになります。未成年の投資家を対象とするジュニアNISAでは、「運用管理者」として未成年である口座名義人の二親等(*1)以内の親族が代わりに資産運用を行うことができます。運用管理者として認可される基準は金融機関によって異なるため、自身がジュニアNISA口座を開設したい場合にはしっかり確認してから申込を行うことが大切です。
(*1:祖父母や兄弟姉妹などの2世代を隔てた親族のことです。)
NISA(ニーサ)のメリット
NISA3種類の特徴と種類による違いを見てきました。ここからは、税制優遇制度であるNISA(一般NISA)を利用することで投資家が得られるメリットを解説します。以下2点は利用するNISAの種類に関わらず享受することができるメリットですので、NISA制度の利用を考えている方は参考にしてみてください。
120万円までの投資は非課税
NISAは資産の運用益が非課税となる税制優遇制度で、上述の非課税枠120万円以内で行った投資の利益が非課税対象となります。通常証券口座から生じた利益には20.315%(*1)が課税されますが、NISA口座ではこの税金が一切かかりません。例えば、通常証券口座にて10万円の利益をあげた場合には20,315円が税金として引かれ、79,685円が投資家の手元の残ることになりますが、NISAを利用することで10万円の利益をそのまま得ることが可能になります。
(*1:所得税15.315%、住民税5%。この所得税には「復興特別所得税」として0.315%が含まれています。)
NISAの非課税枠とは?注意点と期間内に上手に使い切る方法を解説
確定申告が不要
確定申告とは、ある1年の所得額を計算し所得税額を算出、納税を投資家自身が行う一連の手続きのことです。課税対象となる収入金額を出し、税額を確定して支払うためのシステムであるため、そもそも税金の支払いがないNISAでは行う必要がありません。年末の手続きの手間がなくなり、投資家にとっては非常に便利です。
NISA(ニーサ)のデメリット
NISA制度は運用益が非課税となる大きなメリットがあるにも関わらず、故意的に利用しない投資家も少なくありません。利用しない理由にも該当する、NISA制度利用によるデメリットを4点お伝えします。
損益通算ができない
損益通算とは、投資家が複数証券口座を保有していた場合に全証券口座の利益と損失を合算して利損を判明、損失を相殺することができる制度ですが、NISA口座では行うことができません。ある1年にNISA口座から生じた損失は投資家自身が負担することになります。
期間は最長5年間
ここで言う期間とは、NISA口座から行った投資の利益が非課税適用を受けることのできる非課税期間のことで、NISAでは最大5年間とされています。長期投資にて確実に資産形成を行いたい投資家にとっては5年の非課税期間は短く、デメリットとなってしまいます。
ちなみに、NISA非課税期間の数え方は、NISA口座開設後に初めて投資を行った時点の年から5年間となります。初めての購入時期がある年の1月でも12月でも、同年内であればそこから5年後の12月31日までが非課税期間となります。資産購入時期に最大で約1年のギャップが生じる可能性があるため、「最大で」という表現がされます。
口座開設時期が決まっている
口座開設時期とは、NISA制度自体を利用することが可能な期間のことです。NISAは2014年の施行時に、2023年までの期間限定の税制優遇制度として始まりました。そのため、投資家は2023年のNISA口座開設分までしか利用することができず、その後は非課税メリットを活用しての資産運用を行うことができません。
また、NISA口座の開設手続きは税務署審査等を含めておよそ1〜2週間かかるため、ある年の年末に近い時期に申込を行うと翌年以降の口座開設と見なされてしまう可能性があり、余裕をもって開設手続きを行うことが大切です。
デイトレには向かない
「デイトレ」とは、デイトレードの略で、1日(day)のなかで複数回に渡って取引(trade)を行って利益を上げる投資方法のことです。NISAとデイトレは、NISA非課税枠の特徴から相性が悪く、非課税枠の利点を最大限活用するには向いていません。
NISA非課税枠は、ある1年で1度しか使用することができません。例えば、NISA口座から80万円の資産を購入した場合、同年内にその資産を売却しても売却分の非課税枠が復活することはありません。そのため、1日に何度も売買取引を繰り返すデイトレは、1日で非課税枠を大量消費することとなり、NISA非課税枠を効率的に使用しているとは言えません。デイトレを行いたい投資家にとってはNISAの非課税枠が足かせとなってしまいます。
積立NISA(ニーサ)のメリット
ここまでNISA(一般NISA)のメリットとデメリットを解説しました。ここからは、積立NISAを利用して資産運用を行うメリットを説明します。一般NISAに対して、長期・積立・分散投資を目的とした制度で、制度自体の性格や特徴が異なっていることで投資家はどのようなメリットを得ることが可能なのでしょうか。積立NISAについても2点、メリットをお伝えします。
少額から投資できる
一般NISA非課税枠の1/3しかない積立NISAでは、多くの金融機関において一般NISAに比べて低い最低投資可能額が設定されています。例えば、日本最大手ネット証券会社のSBI証券や、同様の大手ネット証券会社楽天証券では100円からの積立投資が可能となっており、投資のハードルが低いメリットがあります。まとまった投資資金が用意できない投資家でも、100円から積立投資を行うことができるため、幅広い投資家が利用することができます。
参考:「いくらから始められる?」(SBI証券公式サイト)
参考:100円から積立可能「投信積立」(楽天証券公式サイト)
初心者でも投資商品を選びやすい
他2種類と異なり、積立NISAでは非課税期間が20年間と長期間であることに加えて、投資対象が金融庁によって限定されているという特徴があります。投資対象とは、積立NISA口座の非課税適用が受けられる運用益を生じる可能性のある金融商品のことです。積立NISAでは金融庁によって投資可能な金融商品が限定され、基本的に継続的かつ安定的な価格推移をしている投資信託のみが投資可能となっています。金融庁の厳しい規定をクリアした限られたもののなかから選ぶことになるため、一般NISAでの銘柄選びに比べて投資初心者でも悩むことがなく、安定した銘柄へ投資することができます。
参照:つみたてNISA対象商品届出一覧(金融庁)
参照:つみたてNISAの対象商品の要件 平成29年6月(金融庁)
積立NISA(ニーサ)のデメリット
毎月100円から積立投資が可能で、なおかつ金融庁が既に精査した安心できる銘柄に投資することが可能な積立NISAですが、反対にどのようなデメリットがあるのでしょうか。以下から積立NISAのデメリットを4点ご紹介します。
損益通算できない
積立NISAでも一般NISA同様に「損益通算」を行うことができません。そのため、非課税期間内のある1年で生じた損失は、そのまま投資家のマイナスとなってしまいます。
繰越控除ができない
非課税期間内のある1年で発生した損失を翌年に繰り越すことで、翌年の運用益と相殺することが可能となる「損失の繰越控除」は、積立NISAでは行うことができません。
投資対象商品のラインナップ
投資対象のラインナップについては限定されていることがメリットとなる一方で、幅広い金融商品へ投資を行いたい投資家にとってはデメリットとなります。一般NISAでは投資信託以外に債権や株式も運用することができ、投資対象の種類が豊富ですが、積立NISAでは一定基準をクリアした投資信託に限られれしまうため、幅広く投資を行いたい投資家にはデメリットです。
資産減少で運用期間が終了
これは、積立NISAの20年間の非課税期間終了時に積立NISA口座内の保有資産が含み損(*1)となっていた場合です。積立NISAでは非課税期間の延長措置である「ロールオーバー」を行うことができないため、注意が必要です。これは例えば、積立NISA口座にて30万円の株式Aを購入し、非課税期間終了時に10万円に値下がりしていた場合です。(*2)
積立NISAでは、売却もしくは課税口座(*3)へ移管の2択から保有資産への対応を選ぶことができます。課税口座へ移管する場合には、移管時の資産額で移行されるため、売却、移管どちらの場合でも保有資産が含み損となっていたときには投資家が損失分を負担することになります。
(*1:売却前の資産が損失の状態にあることです。)
(*2:非課税期間終了時まで株式Aを保有し続けていたと仮定します。)
(*3:通常の証券口座のことです。一般口座もしくは特定口座2種類から選ぶことができます。)
ジュニアNISA(ニーサ)のメリット
一般NISAが施行された2年後の2016年、未成年の投資家を対象にしたジュニアNISAが開始されました。0〜19歳の未成年の名義で口座開設が可能で、運用管理者として両親や祖父母が投資・資産運用を行うことになります。このジュニアNISAを子どものときから口座を保有し、利用することにはどういったメリットがあるのでしょうか。ここからは、ジュニアNISAのメリットを4点ご紹介します。
贈与税の基礎控除内で贈与でき、節税対策
贈与税とは、個人から贈与によって財産を受け取った際に財産にかかる税金のことです。ジュニアNISA口座を両親や祖父母が投資・運用することで、口座名義人の未成年に対して財産贈与したということになります。贈与税は、ある1年(1月1日〜12月31日)の間に貰った財産の合計額が110万円(*1)を超えていた場合にかかりますが、ジュニアNISAでは非課税枠が年間で80万円となっているため、ジュニアNISA口座内で保管されている資産に贈与税がかかることはありません。
(*1:基礎控除額として、110万円が設定されています。)
参考:贈与税がかかる場合(国税庁公式サイト)
教育資金づくり
ジュニアNISAを教育資金づくりを目的とした資産形成に利用することでメリットメリットがあります。子ども1人について高校卒業までにかかるお金は全て公立の場合で約540万円、私立の場合は約1,770万円(*1)となっており、成人までを考えるとさらに大学でのお金も必要になり、教育費を用意しておくことは非常に大切になります。
通常預金口座では預金に対する利子しかリターンが無いのに対し、ジュニアNISA口座を活用することで投資によるリターン元本に加えつつ教育資金づくりを行うことができます。また、口座名義人が18歳になるまでは資産引き出しを行うことができないため(*2)、途中で使ってしまう可能性もなく、確実な資金形成を行うことができます。
(*1:「平成28年度子供の学習費調査の結果(文部科学省)」より。)
(*2:災害等の特例の場合は引き出しが可能です。)
インフレ対応
物価が上昇する「インフレ」が起こった場合に、保有資産がインフレに対応していないと資産購入時と値段は同じでも、市場における資産価値は下がったことになってしまいます。(*1)通常銀行口座への預貯金などではこういったインフレリスクに対応することができない可能性が高いですが、ジュニアNISAでは株式や投資信託といった値動きのある資産を保有することになるため、インフレにも対応することができるメリットがあります。
(*1:100万円の資産購入時から保有時点までの間でインフレ率が2%とすると、インフレ対応によって資産価値が102万円となるはずが、未対応の可能性がある預貯金では年利が0.2%の場合には資産は100.2万円にしかなりません。)
継続管理勘定
継続管理勘定とは、ジュニアNISAの18歳までの払出し制限によって投資可能期間終了時までに資産引き出しを行えない場合(*1)にジュニアNISA口座にて保有している資産を移管することができる制度です。継続管理勘定を行うことで、18歳になるまで非課税の適用を受けながら資産を保有することが可能になります。
例)
口座名義人が非課税期間終了時も制度終了時にも払出し制限に該当し、ジュニアNISA口座内の資産を引き出すことができませんが、継続管理勘定によって名義人が18歳になる2032年まで非課税適用を受けながら資産保有が可能になります。
これは、非課税適用を受けることのできる期間の延長という意味で一般NISAの「ロールオーバー」と似ていますが、継続管理勘定の場合は新規買付けを行うことはできません。
参考:ジュニアNISAのポイント(金融庁公式サイト)
参考:「継続管理勘定」にロールオーバー(三菱UFJモルガン・スタンレー証券公式サイト)
ジュニアNISA(ニーサ)のデメリット
贈与税の節税効果や教育資金をその時々の市場の値動きに応じて効率的に形成することができ、継続管理勘定にて非課税適用期間を延長することも可能という非常にメリットの多いジュニアNISAですが、未成年を対象とする制度であることから他2種類のNISAと少し異なったデメリットがあります。
18歳まで引き出し不可
ジュニアNISA口座で保有している資産の引き出しを、口座名義人が18歳になるまで行うことができません。これは、ジュニアNISAが子どもの中長期的な資産形成を目的にした制度であるが故に、運用管理者である親族でも行うことはできません。資産を自由にやりくりすることができず、非常に不便というデメリットがあります。もしも途中で払出しを行った場合は、過去に非課税適用を受けた利益分まで遡って計算され、課税されます。
ただし、災害などの特例の場合にはジュニアNISA口座から非課税のまま資産を引き出すことができます。特例の場合にも、申請を行い受理された場合のみ非課税のままの資産引き出しが可能なため、手間がかかります。
金融機関の変更不可
ジュニアNISAでは、非課税期間内に口座の金融機関変更を行うことができません。
引用:NISAのデメリット(金融庁公式サイト)
どんな人におすすめ?
NISA3種類のメリットとデメリットを見てきましたが、実際にどのような投資家がそれぞれのNISAを利用すべきなのでしょうか。投資家の投資歴や経験と資産形成の目的に合わせておすすめのNISAをお教えします。
株式投資の知識があり、5年以内で資金を運用したい方
株式投資の知識がある場合は、投資信託にしか投資することのできない積立NISAでは投資幅が狭く、さらに長期的な資産形成を目的としない場合には中期的な非課税期間の一般NISAが最適です。
コツコツつみたてて、5年以上先に必要な資産を作りたい方
少額ずつでも、長期的な資産形成を目的としている場合には積立NISAがおすすめです。毎月100円から積立が可能で、まとまった投資資金が用意できなくても資産運用を行っていくことが可能です。
子供の教育費のためにお金を貯めたい方
上述の通り、子どもの教育費を金融機関口座にて形成したい場合にジュニアNISAを活用することで銀行口座の預貯金よりも大きなリターンを得て資金形成を行うことが可能になります。さらに、ジュニアNISA口座での保有資産は市場の値動きにも対応できるため、インフレリスクが低くなるというメリットがあります。
NISA(ニーサ)運用のための証券口座の種類
NISA口座を開設するには、金融機関にて既に証券口座や投資信託口座を開設している必要があります。株式投資を行う場合には証券会社にて証券口座を開設する必要があることから、ここからは、証券会社でNISA口座を開設する際に開設が必須となる、通常証券口座以下3種類の選び方やそれぞれの特徴を解説していきます。
源泉徴収とは、投資家が利益を受け取る前に事前に所得税が引かれる仕組みのことです。この源泉徴収の有無によってNISAとの相性などが変化するのでしょうか。また、一般口座は特定口座となにが違うのでしょうか。各口座の種類を説明します。
特定口座の源泉徴収なし
「特定口座の源泉徴収なし」とは、投資家が資産運用益を受け取る時点では所得税が引かれておらず、年末に投資家自身が確定申告を行って納税する必要があります。ただし、証券会社が年間の投資の損益額を算出してくれるため、それを元に確定申告を行うことができます。確定申告の手間はかかりますが、年間の投資の利益が20万円以内の場合は納税が不要になるため、源泉徴収なしを選択しておくことで自動的に課税されず安心です。
特定口座の源泉徴収あり
同じ特定口座でも「源泉徴収あり」の場合には確定申告の必要がなくなります。投資家が運用益を受け取る際には既に源泉徴収によって所得税が引かれた状態の利益が支払われることになり、確定申告が不要になります。投資初心者であればこの「特定口座(源泉徴収あり)」を選んでおけば、脱税の心配なく資産運用を行うことができて安心です。
しかし、「源泉徴収あり」によって年末の手間が減るというメリットがある一方で、年間の投資の利益が20万円以下の場合は納税の必要がない(*1)にも関わらず、源泉徴収によって自動的に課税されるというデメリットがあります。
(*1:年間の投資による利益が20万円以内の場合は納税の必要がありません。)
一般口座
一般口座とは、自身の投資による損益額を投資家自身で計算、課税所得・納税金額を算出して納税、までの一連の手続きを全て投資家が行う必要があります。年間の投資を全て記録しておく必要があり、なおかつ年末に手間がかかります。
おすすめの証券会社
ここまで、「NISA(一般NISA)」「積立NISA」「ジュニアNISA」の3種類についてそれぞれの特徴とメリット・デメリットを詳細に解説してきました。自身の投資スタイルや資産形成の目的によって利用すべきNISAは異なり、投資可能な金融商品も違います。さらに、投資可能商品についてはNISA口座を開設する金融機関によっても大きく異なります。そこでここからはNISA口座を開設する際におすすめの証券会社を4社ご紹介します。NISA口座をこれから開設する方は参考にして、自身に最適な証券会社にてNISA制度を活用していけるようにしましょう。
SBI証券
ネット証券会社の最大手、SBI証券です。
・国内株式売買・海外ETF(*1)買付け手数料が無料
・投資信託の取扱本数:2,560本以上(*2)
・IPO株(*3):購入可能(*4)
手数料の安さと取扱本数で業界最高水準を誇り、投資信託については1,260本が購入時の手数料がかからないノーロードファンドとなっています。幅広いニーズにバランスよく対応することができ、多くの投資家に利用されています。
(*1:上場投資信託のことです。)
(*2:2018年11月8日現在。買付手数料無料は1,250本です。)
(*3:新規上場株式のこと。事前の抽選で上場前の購入が可能です。)
(*4:75社以上の銘柄に対応しています。)
楽天証券
SBI証券同様に手数料と取扱本数について高水準を誇り、60万人以上の投資家に利用されている楽天証券です。
・国内株式売買・海外ETF買付け手数料が無料(*1)
・投資信託の取扱本数:2,629本(*2)
・IPO株:購入不可(*3)
トレードのマーケットスピードについての評価が高く、上級者にも人気があります。
また、運用によって得られたポイントで新たな投資信託を購入することもできます。(*4)
(*1:キャッシュバックによって手数料が実質無料となっています。)
(*2:2018年11月8日現在。買付手数料が無料なものは1,334本です。)
(*3:通常証券口座であれば対応しています。)
(*4:楽天ポイントは、買い物やその他サービスでの利用も可能です。)
マネックス証券
ネット証券会社のなかで特に外国株式、米国株式の取引をメインに行う投資家にとってメリットの大きい仕組みになっています。
・国内株式売買手数料・米国/中国株式買付け時取引手数料が無料(*1)
・投資信託の取扱本数:1155本(*2)
・IPO株:購入可能
米国株については3,000本ものなかから自由に投資先を選ぶことができ、中国株式は上海市場のほとんどの銘柄に投資可能です。購入時の手数料がかからないノーロードファンドは726本となっています。
(*1:米国/中国株式については、キャッシュバックによって実質無料です。)
(*2:2018年11月8日現在。プログラムによっては、申込手数料が実質無料になります。)
松井証券
老舗のネット証券会社で、厳選された投資信託のみが取り扱われています。
・インターネット経由の場合は株式売買手数料が無料(*1)
・投資信託の取扱本数:592本(*2)
・IPO株:購入可能
松井証券では投資信託の取扱本数が少ない一方で、592本のうち586本がノーロードファンドとなっており、安心して商品選びを行うことができます。
(*1:電話での買付け注文を行った場合は手数料がかかります。)
(*2:2018年11月8日現在。委託手数料もインターネット経由の場合のみ無料です。)
3種のNISAの違いを理解し、ご自身にあった方法で運用を始めましょう
NISA制度の概要と3種類あるNISAのそれぞれの非課税期間や非課税枠などの違いを詳しく解説しました。積立NISAでは長期的な分散投資を目的に非課税期間が長く設定されている点や、未成年を対象にしたジュニアNISAでは資産の払出しに制限があるなど、種類ごとの特徴に合わせて同じNISAでも性格が大きく異なります。これからNISA口座を開設する投資家は、自身の投資スタイルや資産形成の目的や目標期間などから最適なNISAの種類を選ぶことで最大限効率的に資産運用を行うことができます。それぞれの特徴をきちんと理解して、NISA口座を開設して資産運用を行っていきましょう。