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NISA(ニーサ)恒久化の可能性は?金融庁による2024年以降のNISAに関する判断とは

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NISA(ニーサ)制度の恒久化の可能性について解説します。NISAは期間限定の制度として施行され、3種類それぞれに制度終了時期が設定されています。2018年の税制改正案では、NISA制度の恒久化が申請されましたが、却下されてしまいました。

現況を考慮したうえで具体的な可能性があるのかどうか、様々な視点から考察します。

NISAの恒久化について書かれた書類の画像

NISA(ニーサ)の恒久化の可能性はあるのか?

2014年から施行されたNISA制度は恒久化の可能性はあるのでしょうか。2016年からジュニアNISAが、2018年から積立(つみたて)NISAが開始され、今後のNISA制度の動向に注目が集まっています。

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現状のNISA(ニーサ)の制度終了

3種類あるNISA(ニーサ)制度それぞれの制度終了時期をお教えします。各NISAごとに制度開始時期が異なり、終了時期も違います。きちんと確認してNISA制度を自身の資産運用に活用しましょう。

一般NISA(ニーサ)

一般NISA(ニーサ)の制度終了期間は2023年までとなっており、投資家は制度期間の終了まで、NISA口座を利用して投資を行えます。また、NISAでは5年の非課税期間終了時に、ロールオーバー(*1)を行って非課税期間を延長できます。

(*1:新たなNISA口座を開設し、その口座の非課税期間を使う方法です。)

参考:NISAの概要(金融庁公式サイト)

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つみたてNISA(ニーサ)

つみたてNISA(ニーサ)の制度終了は2037年です。2037年の12月31日までは、非課税適用を受けて資産運用益を受け取れます。

参考:つみたてNISAの概要(金融庁公式サイト)

ジュニアNISA(ニーサ)

ジュニアNISA(ニーサ)の制度終了は2023年です。2023年の制度終了時に口座名義人が20歳を迎えていない場合、20歳(*1)になるまで非課税の適用を受けながら資産保有を継続できます。(*2)

(*1:1月1日時点で20歳となる前年12月31日までの期間。)
(*2:継続管理勘定へのロールオーバーと言われる、継続保有のための勘定方法のことです。ジュニアNISA口座内の資産の売却は可能ですが、買付けはできません。)

参考:ジュニアNISAのポイント(金融庁公式サイト)
参考:NISA(少額投資非課税制度)(マネックス証券公式サイト)

金融庁から恒久化要請

2018年の8月に、金融庁から公式にNISA(ニーサ)の恒久化が要請されました。(*1)

【要望事項】
○NISA制度の恒久化
・家計の安定的な資産形成を継続的に後押しする観点から、NISA制度(一般・ジュニア・つみたて)について、恒久措置とすること。

引用:平成31年度税制改正要望項目(金融庁公式サイト)

税制改正は毎年1月に決定します。現時点のこの内容が決定事項ではありません。

(*1:2017年の税制改正要望案から毎年恒久化が提案されています。)

NISA(ニーサ)の恒久化

NISA(ニーサ)制度の恒久化については、金融庁だけでなく、全国銀行協会(*1)も2018年7月に要請を出しています。

(1)NISAの恒久化および利便性の向上等
・各種NISA(NISA、ジュニアNISA、つみたてNISA)について、非課税期間の恒久化および制度の恒久化(投資可能期間の恒久化)を行うこと。少なくとも非課税期間および投資可能期間を延長すること。

引用:平成31年度税制改正に関する要望(一般社団法人 全国銀行協会公式サイト)

全国銀行協会のNISA恒久化の要請は、国民の長期的な資産形成や日本経済再生の進展などを目的とされました。

(*1:国内で活動する銀行、銀行持株会社および各地の銀行協会を会員として、組織される、一般社団法人です。)

参考:全銀協の組織(全国銀行協会公式サイト)

NISA(ニーサ)の利便性向上

金融庁と全国銀行協会の要望には、NISA(ニーサ)恒久化に加えて、制度の利便性向上が求められています。

○ NISA制度の利便性向上等
・ NISA口座を保有する者が、海外転勤等により一時的に日本を離れている間であっても、引き続きNISA口座を利用できるようにすること。
・ 成年年齢が引き下げられたことを踏まえ、NISA制度の利用開始年齢を引き下げること。 等

引用:平成31年度税制改正要望項目(平成30年8月)(金融庁)

各種NISAについて、お客さまや金融機関の利便性向上および負担軽減の観点から、所要の措置を講じること。

引用:平成31年度税制改正に関する要望(一般社団法人 全国銀行協会公式サイト)

利便性を向上させ、国民全体にNISAを活用した、自分自身での資産形成を促す目的があります。

制度発祥のイギリスの恒久化

NISA(ニーサ)制度は、もともと英国のISA制度(*1)の日本版として作られました。ISA制度は施行時には10年間の期間限定の制度として開始されましたが、導入後7年で広く国民に浸透したことなど(*2)を踏まえ、2008年に恒久化されました。

制度恒久化の決定後、従来より利用者数・ISA口座数が増え、さらに若年層に根付く制度にするために現在も様々な拡充策の導入が検討されています。

(*1:1999年に国民の貯蓄率の向上を目的に導入された、英国の非課税制度です。)
(*2:特に貧困層と若年層へ浸透したことも考慮されました。)
参照:英国ISA実態調査 報告書[平成28年6月](日本証券業協会)
参照:ISAs Guidance(HM Revenue & Customs)

NISA(ニーサ)の恒久化はどうなるのか

NISA(ニーサ)の参考となった、英国のISA制度が途中から恒久化されたことや、金融庁から恒久化要望が公式に出されたため、NISA恒久化の可能性はゼロではありません。しかし、国民総数に対するNISA口座数や稼働率は低いのが現状です。

今後、投資や資産形成に対する知識を増やし、日本国民全体の金融リテラシーが向上したうえで、NISA制度が日本国民の資産形成に効果的と判断される必要があります。

現状は制度延長見送り

2018年12月には、NISA(ニーサ)制度の恒久化は2019年度税制改正大綱に盛り込まず、見送られました。現状は2023年の年末にNISA制度が終了する見込みです。NISA制度の恒久化の要請は、2018年度の税制改正案の中にも記載されており、これで2年連続で恒久化が見送られたこととなります。

金融庁からの4つの要望

金融庁は、NISA(ニーサ)恒久化の要請と同時に、制度の利便性について以下の4要望も提出しました。

  1. 海外転勤時等の継続利用
  2. 成年年齢引下げに伴う対応
  3. ロールオーバー移管依頼書の手続き簡素化
  4. 一般NISAとつみたてNISAの切り替え手続きの簡素化

NISAは、日本国内在住者しか利用できないため、海外転勤等の際には出国までに口座を開設している金融機関に出国届出書等を提出し、非課税口座を廃止しなければなりません。手続きの手間等を考慮して、海外転勤の期間中にもNISA口座を利用できるように要請されました。

民法改正によって2022年4月以降、成人年齢が18歳になるため、NISAの利用開始年齢の引き下げが申請されました。また、より多くの投資家が利用しやすくなるよう、ロールオーバーやつみたてNISAへの切り替えなどの手続きの簡素化が要請されました。

恒久化の如何による対応

NISA(ニーサ)の恒久化は、可能性はあるものの、恒久化しない可能性も少なくありません。以下のNISA口座での対応について、制度が終了した場合と恒久化されたケースそれぞれについて理解しておきましょう。

ロールオーバー

NISA(ニーサ)では、非課税期間の終了時にロールオーバーを行なって、非課税期間をさらに5年間、延長できます。ロールオーバーは、5年の非課税期間が終了した時点で利用可能になるため、2019年以降にNISA口座を開設した場合には、2023年の年末で非課税期間の終了を迎えられず、利用できません。

一方で、NISAの恒久化が決定した場合には、非課税期間の終了時にロールオーバーを行なって2024年以降も継続してNISA口座を利用できます。

売却

NISA(ニーサ)制度が終了する際には、非課税期間内に保有資産を売却しましょう。NISA口座では、非課税期間内であれば売却益を非課税で受け取れます。制度が終了する前に保有資産を売却して、NISAの非課税メリットを最大限活用しましょう。

iDeCo(イデコ)の有効活用

効率的な資産形成のためには、NISA(ニーサ)だけでなく、個人で年金を拠出するiDeCo(イデコ)(*1)も活用できます。

iDeCoは、積立金・運用益が非課税となり、20歳以上60歳未満の方であれば誰でも加入できる制度です。iDeCoの少額から積立投資が可能な点は、特に長期的な資産運用を行いたい投資家にとっては、大きなメリットと言えるでしょう。

一度加入すると、60歳になるまで資産を引き出すことができないなどのデメリット(*2)もありますが、NISAの恒久化が確定していない今、iDeCoを活用しながら資産形成を行うのもひとつの方法です。

(*1:毎月定額を積立て、事前に用意された金融商品に自ら資産運用を行って、60歳以降に年金という形で受け取る仕組みです。)
(*2:制度の加入年齢によって、受取可能な年齢が異なってきます。)

参考:iDeCoの特徴(国民年金基金公式サイト)

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恒久化可能性はあるものの、終了することを想定した運用を進めていきましょう

NISA(ニーサ)制度の恒久化について、金融庁や全国銀行協会から公式要望が出されたものの、制度の恒久化については見送りとなったため、現状では2024年以降のNISA制度については何も分かりません。

英国のISAを参考に、NISA制度が恒久化する可能性はありますが、日本の国民総数に対するNISA口座数や実際の利用率、金融リテラシーの低さから、恒久化されないケースも考えられます。恒久化が確実に決定するまでは制度終了時期を想定して運用を行っていきましょう。

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