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NISAから積立NISAへの切り替えは可能?タイミングとその方法も解説

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NISA口座から積立NISAへ切り替えを行いたい際に知りたい情報をお伝えしていきます。現在開設している一般NISA口座の非課税期間が終了していない場合でも、積立NISAへ切り替えることはできるのでしょうか。切り替え方法やそのタイミングも解説していきます。切り替え手続きを始める前に知っておきたい情報が盛りだくさんですので、きちんと理解してから切り替えを行うようにしましょう。

NISAから積立NISAへ切り替えを行うひとの画像

NISAから積立NISAへの切り替え

2014年から始まったNISA制度に加えて、2018年から積立NISAという制度も新たに施行されました。
一般NISAよりも、長期・分散・積立を目的とした資産形成のための税制優遇制度となっており、自身の投資スタイルによってはこちらに切り替えたい方もいるのではないでしょうか。
一般NISAから積立NISAへの切り替えを行うことのメリット・デメリットに加えて、現在保有している資産への対応や、切り替え手続きを説明していきます。

参考:つみたてNISAとは[金融庁公式サイト]

NISAと積立NISAの併用は不可

NISA口座は、ひとり1つしか保有することができません。
一般NISAと積立NISAの両方の口座を開設することはできません。どちらか1つを選んで開設、保有することになります。

参考:NISAに関するよくある質問[日本証券業協会公式サイト]

積立NISAに変更するメリット

運用益が非課税となるメリットを享受できるという意味で一般NISAと積立NISAでは特に違いはありません。
では、一般NISAにて既に資産を保有している場合でも、積立NISAへわざわざ切り替える必要はあるのでしょうか。
積立NISAへ切り替えることによって投資家が得られるメリットを説明します。

投資期間が長い

積立NISAは、投資期間が20年と非常に長くなっています。
一般NISAのおよそ4倍の期間、運用益を非課税にて得ることが可能になります。

少額から投資できる

積立NISAは、長期的な積立投資を目的とした制度です。
そのため、毎月少額を積み立てて投資を行っていくことが可能です。

積立NISA口座では、証券会社によっては毎月100円から積立が可能となっており(*1)、まとまった投資資金を持っていない方にもハードルが低いのが特徴です。
ちなみに、年間の非課税枠が40万円なので、毎月およそ33,000円を上限として積み立てが可能です。

(*1:SBI証券では、投信積立が毎月100円から可能です。)

参考:少額積立投資について[SBI証券公式サイト]

投資対象が絞られ、初心者向け

積立NISAは、投資可能な商品が金融庁によって限定されています。(*1)
金融庁の条件をクリアした、数少ない投資信託のみが運用が可能となっています。
投資初心者にとって最も悩ましい銘柄選びも、積立NISAを利用することで金融庁によって厳選されたなかから選ぶことができるので、安心です。

(*1:2018年9月現在で161本の投資信託へ投資可能です。)

参照:つみたてNISA対象商品届出一覧[金融庁]
参照:つみたてNISAの対象商品の概要[金融庁]

積立NISAに変更するデメリット

積立NISAへ切り替えることで、長期間に渡って資産運用を安心して行っていけるというメリットがある一方で、デメリットもあります。
デメリットについても一般NISAと比較しながら確認していきましょう。

ロールオーバーができなくなる

一般NISAから積立NISAへ切り替えることで、非課税期間の終了時にロールオーバー(*1)を行うことができなくなります。
積立NISAでは、非課税期間終了時にロールオーバーを行うことができません。(*2)
非課税期間20年の終了時には基本的に課税口座へ移管されることになります。

(*1:非課税期間終了時に新たなNISA口座へ資産を移管することで、非課税期間をさらに5年延長することです。)
(*2:2018年10月28日現在。)

参考:非課税投資枠の取扱い[金融庁公式サイト]

年間投資上限が少なくなる

一般NISAが年間120万円まで投資可能なのに対し、積立NISAでは40万円と非常に少なくなっています。
様々な商品へ投資したい投資家にとっては、40万円の上限はあっという間になくなってしまいます。

参考:つみたてNISAの概要[金融庁公式サイト]

現在のNISA口座はどうする?

一般NISAから積立NISAへ切り替える際に、現在NISA口座にて保有している資産はどうすればよいのでしょうか。
資産の対処方法は3つの選択肢から選ぶことができますが、それぞれの方法の特徴によって注意すべき点があります。
現在の自身の資産状態や、今後の資産の値動きも考慮して、最適な対応をとるようにしましょう。

売却する

保有資産を全て売却する方法です。
一般NISA口座から売却することになるので、売却益に税金はかかりません。
また、売却によって生じるお金は、指定した口座へ振り込まれることになります。

課税口座に移す

一般NISA口座内の資産を全て課税口座へ移管する方法です。
保有資産の価値は、移管時の時価で移管され、その後もその価格が当初の購入価格として扱われます。
そのため、NISA口座で購入した資産の価格が移管時の方が安く、さらに移管時よりも高い金額で売却した場合に注意が必要になります。

例えば、NISA口座にて購入した100万円の資産を80万円で課税口座へ移管した場合です。
移管後に90万円でこの資産を売却したとすると、10万円の利益が発生したと見なされます。(*1)
利益に対しては、20.315%(*1)の税金がかかるため、実際には当初の購入金額に10万円のマイナスがあるにも関わらず、さらに20,315円の税金がとられてしまいます。

含み損(*3)の状態で課税口座へ移管することで、投資家にとって大きな負担となってしまう可能性が潜んでいます。

(*1:売却金90万円ー移管時の資産額80万円=10万円。移管時の資産額が当初の購入価格とされるため。)
(*2:所得税15.315%、住民税5%)
(*3:売却前の資産が損失となっている状態のことです。)

参考:NISAのポイント[金融庁公式サイト]

5年の期限まで運用

3つ目の方法は、一般NISA口座内の資産をそのまま非課税対象の資産として保有しておく方法です。
一般NISA口座にて初めて資産を購入した年から5年間は、その口座内資産の運用益や配当金は非課税となります。
例えば、2017年に一般NISA口座を開設して金融商品Aを購入し、2018年から積立NISAに切り替える場合、金融商品Aについては2021年の12月末までは運用益や配当金が非課税となります。

積立NISAへの切り替えが決定したあとも、一般NISA保有している資産を急いで売却する必要はありません。

既存の投資信託をNISA、積立NISAに切り替えることはできない

既に通常証券口座にて保有している投資信託を、NISAもしくは積立NISA口座へ切り替えることはできません。

証券会社などの口座(特定口座、一般口座)にお預けになっている上場株式や株式投資信託等をNISA口座に移すことはできません。

引用:よくある質問[日本証券業協会公式サイト]

切り替えタイミング

一般NISAから積立NISAへの切り替えは、いつでも好きなタイミングで切り替えることができるのしょうか。
切り替えの申請の期限はあるのでしょうか。
切り替えを実際に行う前に注意すべき点を2つお伝えしますので、自身のNISA口座の状態を確認しておきましょう。

その年に一度でも買い付けすると切り替えはできない

一般NISA口座から1度でも買付けを行っていると、その年の切り替えは行うことができません。
例えば、2018年内にNISA口座から1度株式を購入していた場合、2018年の12月31日まで積立NISAへ切り替えることができません。

9月末が目安時期

積立NISAへの切り替え申し込みは、切り替えたい年の9月末までに書類(*1)を提出しておく必要があります。(*2)
これは、積立NISAから一般NISAへ切り替える場合でも同様です。
また、9月末までに書類提出が完了していても、申請等に時間がかかってしまった場合に翌年の切り替えとされてしまう可能性もあります。時間的に余裕をもって申し込むことが大切です。

(*1:金融商品取引業者等変更届出書のこと。)
(*2:10月1日以降の申し込みの場合、翌年の取扱いから反映されることになります。)

参考:NISA⇔つみたてNISAの変更[マネックス証券公式サイト]

切り替え手続き

自身のNISA・積立NISA口座の状態と、切り替え申し込みの期限について確認したあと、実際に手続きを行っていくことになります。
切り替え手続きは、同じ金融機関で使用NISA制度のみを変更するパターンと、切り替えとともに金融機関も変更するパターンの2つがあります。
この2つは、手続きの手間が異なりますので、自身の状況に合わせてきちんと理解して、必要書類等の漏れがないようにしましょう。

同じ金融機関内の変更

金融機関の変更が無い場合、書類を自身が保有しているNISA口座の金融機関へ送付することで手続きが完了します。
マイナンバーの提出が既に

例)
[楽天証券]
Web上で申込種類(*1)の請求を行い、取り寄せて必要事項を記入して返送することで完了します。
[SBI証券]
Web上での手続きのみ(*1)で完了します。

(*1:Webでログイン後、「変更」をクリックして開設口座の種類を選択することで申し込みが完了します。)

参考:NISA口座 よくある質問[楽天証券公式サイト]
参考:金融機関変更によるNISA口座(NISA/つみたてNISA)開設[SBI証券公式サイト]

別の金融機関への変更

現在のNISA口座と異なる金融機関で切り替えを行う場合、新たにNISA口座を開設する金融機関にも書類を提出する必要がでてきます。

例)
[楽天証券]
1.現在保有しているNISA口座の金融機関から書類(*1)を取り寄せ、楽天証券にて通常証券口座を開設します。
2.通常証券口座のログインサイトからNISAページへ入り、「NISA口座を他社から変更する」を選択する(*2)ことで申込ができます。
3.その後送付されてきた書類に必要事項を記入して返送し、審査(*3)が終了すると、NISA口座の開設が完了します。

[SBI証券]
1.SBI証券へ金融機関変更書類を請求します。
2.必要事項を記入し、必要書類も用意して返送します。(*4)
3.SBI証券での審査後、税務署審査の両方が終了すると、Webサイト上にて投資家へNISA口座開設の旨が通知されます。

(*1:非課税管理勘定廃止通知書、もしくは非課税管理口座廃止通知書と、その他申込書類。住民票の提出は不要です。)
(*2:「NISA つみたてNISA」→「NISA・つみたてNISA口座申込/受付状況」→「NISA口座開設の申込み」の流れです。)
(*3:税務署審査のことです。1〜2週間かかります。)
(*4:非課税口座開設届出書、本人確認書類[マイナンバーの分かる書類]、勘定廃止通知書/非課税口座廃止通知書。)

参考:NISA口座開設 他金融機関のNISA口座から楽天証券への変更[楽天証券公式サイト]
参考:他の金融機関でお持ちのNISA口座をSBI証券で開設[SBI証券公式サイト]

NISAから積立NISAへの変更手続きの注意点を理解し、適切なタイミングで手続きを進めましょう

NISAから積立NISAへ切り替えを行う際には、現在保有している資産への対応や、ロールオーバーが行えなくなるなど、注意点も幾つかあります。
切り替え手続きの際も金融機関によって必要書類が異なるなど、事前にきちんと確認しておくことが大切になります。
また、同じ金融機関での切り替え手続きであっても、マイナンバーの提出を既に済ませている場合とそうでない場合でも細かく違ってきます。
申し込み期限も定められているため、余裕をもって手続きを始め、確実に手続きを完了させましょう。

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