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FXの税金は損失の場合でも課されるか?FXで損失が出た際の税金や確定申告について

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FXの税金は、利益が発生した場合に課されます。つまり、FXの年間の収入で損失が発生した場合には確定申告は不要です。しかし、確定申告で損失を申告すれば、繰越控除などの節税をすることが可能です。利益が発生していない場合でも、できるだけ確定申告を行いましょう。

FXの損失を計算している

FXの課税の仕組み

FXで利益が出た場合、確定申告で申告し、所得税や住民税を支払う必要があります。きちんと納税するために、課税対象や税金の計算方法を理解しましょう。

課税対象

FXの課税対象は、利益です。利益に税率をかけて、税金の金額が求められます。では、FXのどの利益に課税されるのでしょうか?

利益とは

FXの課税対象である利益は、為替差益とスワップポイントの2種類です。為替差益とは通貨の売買益であり、スワップポイントとは通貨間の金利差です。為替差益とスワップポイントで利益が発生した場合に、FXの税金を支払う必要があります。

含み益は?

FXの課税対象は、確定した利益です。つまり、確定していない含み益には税金は課されません。ただし、FX会社によっては含み益も課税対象とする場合があります。一度、利用しているFX会社の課税対象を確認しましょう。

税率と計算方法

FXの税率は、一律20.315%(所得税20%,住民税5%,復興特別所得税0.315%)です。税金は、利益に税率をかけて求めることができます。例えば、60万円の利益があった場合、支払う税金は121,890円(所得税:91,890円 住民税:30,000円)です。

例)
600,000円×20.315%=121,890円

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損失は課税対象外

税金は、利益が出た場合に発生します。つまり、損失が出た場合は、税金は課されません。しかし、損失が発生した場合でも、できるだけ確定申告するようにしましょう。

損失が出たらすべきこと

損失が発生した場合、できるだけ確定申告で申告しましょう。その理由は、損失を申告することで、翌年以降の税金を安く抑えることができるためです。

繰越損失

繰越損失とは、その名の通り損失を繰り越すことです。損失を繰り越すことで、翌年以降の利益から差し引くことができ、結果支払う税金を安く抑えることができます。ただし、繰越損失を利用するためには確定申告で申告する必要があります。申告がなかった損失に関しては、翌年以降に繰り越し、利益から差し引くことができません。

損益通算

損失が発生した場合、繰越損失以外にも節税することができます。それは、損益通算です。損益通算とは、複数の口座の損失と利益を合算することです。例えば、取引所FXでのFXの利益が30万円、店頭FXでのFXの損失が30万円発生した場合、双方の損益を相殺することで節税することができます。

ただし、相殺できる損益は限定されています。例えば、株式投資の損失とFXの利益を相殺することはできません。

注意点

繰越損失や損益通算を利用する際には注意点があります。それは、海外FXを利用している場合です。まず、海外FXでは繰越損失を利用することができません。前年に損失が発生した場合でも、翌年に繰り越すことができないのです。

また、海外FXと国内FXの損益通算もできません。海外FXで損失が発生した場合でも、国内FXの利益と相殺することはできません。なお、海外FX同士の損益通算は可能です。

期待できる節税効果

実際に、繰越損失を利用した場合の税金を計算してみましょう。例えば、90万円の利益が発生し、前年の20万円の損失を繰り越した場合、支払う税金は142,205円(所得税:107,205円 住民税:35,000円)です。繰越損失を利用しなかった場合と比べて、40,630円の節約になります。

例)
繰越損失なし:900,000円×20.315%=182,835円
繰越損失あり:(900,000円-200,000円)×20.315%=142,205円
節税効果:182,835円-142,205円=40,630円

手続方法(確定申告)

FXで発生した税金は、確定申告で申告し、税金を納めます。ただし、職業や利益の金額によっては、確定申告が不要な場合があります。利益を計算し、確定申告が必要かどうかを確認しましょう。

確定申告をすべき人

確定申告をすべきかどうかは、職業や利益によって異なります。以下の職業ごとに、確定申告の条件について解説します。

  1. 自営業・フリーランスの場合
  2. 主婦・学生の場合
  3. 会社員・公務員の場合
  4. 年金生活者の場合

1.自営業・フリーランスの場合

自営業やフリーランスの方は、FXの利益に関わらず、年間38万円以上の収入がある場合には確定申告が必要です。38万円以上の収入がある際は、確定申告で申告しましょう。

2.主婦・学生の場合

主婦や学生の方は、FXの年間の利益が38万円以上の場合に確定申告が必要です。ただし、アルバイトやパートをしている場合は、アルバイト代とFXの利益を合わせて38万円以上の収入がある場合に確定申告をしなければいけません。

3.会社員・公務員の場合

会社員や公務員の方は、年収2,000万円以下でFXの年間の利益が20万円以上の場合に確定申告が必要です。なお、年収2,000万円以上ある方は、FXの年間の利益が20万円を下回っている場合でも確定申告が必要です。

4.年金生活者の場合

年金生活者の方は、年金の収入が400万円以下でFXの年間の利益が20万円以上の場合に確定申告が必要です。ただし、FX以外の収入がある場合は、FXの収入とそのほかの収入を合わせて20万円以上ある場合に確定申告をしなければいけません。

確定申告の流れ

確定申告の手続の流れを解説します。確定申告は、税務署やインターネットなどでできるため、ご自身の状況に合わせて確定申告を行いましょう。

必要書類を用意する

確定申告には、以下の書類が必要です。1〜3の書類は、税務署もしくは国税庁の公式サイトにて受け取ります。年間取引報告書は、利用しているFX会社から郵送もしくはダウンロードで入手できます。

  1. 確定申告書
  2. 申告書第三表
  3. 先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書
  4. 年間取引報告書
  5. 源泉徴収票

必要事項を記入

上述した書類に、記載例にしたがって必要事項を記入します。記入例は、税務署もしくは国税庁の公式サイトにて確認できます。

参考:確定申告書の記載例1(国税庁公式サイト)
   確定申告書の記載例2(国税庁公式サイト)

税務署へ提出

記入した書類は、税務署に提出します。書類は、窓口、郵送、インターネットで提出することができます。なお、郵送で提出する場合、提出日は消印に表示された日付となります。郵送を利用する方は、確定申告の締切日に間に合うようにしましょう。

申告を忘れたら?

もし、損失の申告を忘れた場合、確定申告後にも申告することは可能でしょうか? それは、場合によっては申告ができる可能性があります。まず、税金が発生しておらず確定申告が不要だった方の場合、確定申告後に損失を申告し、繰越損失を利用することは可能です。一方、確定申告を一度行なった場合は、損失申告が認められにくいと言われています。申告を忘れた方は、まずは税務署窓口もしくは税理士の方に相談しましょう。

おさえておきたい節税方法

繰越損失や損益通算のほかに、税金を安くする方法があります。それは、経費を計上する方法です。確定申告で経費を計上することで、利益から経費を差し引くことができます。

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経費

FXの取引で発生した費用は、経費として計上し、利益から差し引くことができます。経費として計上できるものは、以下の通りです。なお、インターネット費やスマホ料金は、FXの取引に使用した分のみ計上することができます。

  • セミナー参加費
  • 銀行の手数料
  • FXの手数料
  • 書籍や参考書などの購入代金
  • インターネット費用
  • スマホ料金  etc...
  • 計算方法

    経費を計上した場合の税金の計算をしてみましょう。例えば、70万円の利益と10万円の経費が発生した場合、支払う税金は121,890円(所得税:91,890円 住民税:30,000円)です。経費を計上しなかった場合と比べて、20,315円の節税になります。

    経費なし:700,000円×20.315%=142,205円
    経費あり:(700,000円-100,000円)×20.315%=121,890円
    節税効果:142,205円-121,890円=20,315円

    損失が出た場合も確定申告を

    今回はFXの税金と確定申告について解説しました。FXでは利益が発生した場合に、所得税などの税金が課されます。そのため、損失が出た場合には課税されず、確定申告をする必要はありません。しかし、損失額を申告することで、繰越控除や損益通算を利用することができます。FXの年間の収益がマイナスであっても、確定申告をすることをおすすめします。

    なお、税金が発生する場合は、確定申告をしなければいけません。脱税が判明した場合、重課税や最悪の場合逮捕される可能性があります。また、FX会社の支払調書の提出義務により、税務署側はトレーダー1人1人のFXの利益を把握しています。申告漏れを通達される前に、きちんと確定申告で申告しましょう。

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