iDeCoに加入する際は、掛金の上限額の確認と適切な掛金額を設定する必要があります。上限額においては、職業ごとに異なります。特に会社員は企業年金によって上限額が変わるため注意しましょう。掛金の設定においては、節税額や目標積立金額を考慮することが大切です。実際にシミュレーションツールを利用して、どの金額が適切なのかを調べましょう。
iDeCo(イデコ)の拠出上限額
iDeCoでは、職業ごとに拠出できる上限額が定められています。この上限額を超えて拠出すると、掛金の還付処置が取られ、手数料も徴収されます。iDeCoに加入する際は、必ず掛金の上限額を確認しましょう。
iDeCo(イデコ)の加入資格と加入できない場合
iDeCoは、原則20歳以上60歳未満であれば加入することができます。しかし、企業年金に加入している会社員の場合は、他の職業の人と異なり、特別な加入資格があります。それは、以下の2点です。
上記2点の加入条件を満たしていない場合は、たとえ加入対象年齢であってもiDeCoに加入することはできません。
iDeCo(イデコ)に加入できない場合
iDeCoに加入できない人は、以下の通りです。
ただし、海外居住者であってもiDeCoに加入できる場合もあります。海外居住者の加入資格については以下の記事にてご確認ください。
iDeCo(イデコ)は海外赴任中も運用できる?海外居住による資格喪失について
職業別iDeCo(イデコ)の拠出上限額
職業別の上限額(月額)は、以下の通りです。ただし、会社員の方は加入している企業年金によって異なります。
職業 | 上限額 | 最低額 |
自営業 | 68,000円 | 5,000円 |
会社員 | 12,000〜23,000円 | 5,000円 |
専業主婦・専業主夫 | 23,000円 | 5,000円 |
公務員 | 12,000円 | 5,000円 |
会社員の場合
会社員の場合は、加入している企業年金ごとに上限額が異なります。
1は、企業型確定拠出年金や確定給付企業年金に加入していない方、2は企業型確定拠出年金のみ加入している方、3は確定給付企業年金のみ、または企業型確定拠出年金と確定給付企業年金を併用している方です。加入している企業年金が多いほど、iDeCoの上限額は引き下げられる仕組みとなっています。
- 23,000円
- 20,000円
- 12,000円
上限額引き上げを検討中
2018年10月、厚生労働省において、企業型を含む確定拠出年金の上限額の引き上げを検討中と報道されました。上限額を引き上げられることで、加入者は所得税を安くできるメリットが生まれます。
iDeCoは掛金全額が所得控除という特徴があります。つまり、掛金が多ければ多いほど所得税を安くすることができます。今回の上限額引き上げが認められれば、iDeCoの節税額も増えることとなります。
上限額を簡単に調べられるシミュレーション
iDeCo公式サイトや各金融機関では、無料のシミュレーションツールを利用することができます。シミュレーションツールは、職業を入力すると自動で上限額が算出されるため、自分で上限額を調べる必要がありません。さらに、シミュレーションでは、節税額や将来の受け取り金額も確認できます。
iDeCo(イデコ)の掛金はいくらにする?
iDeCoの掛金は、5,00円以上上限額以内であれば加入者が自由に決定することができます。掛金額は、ご自身の家計状況や目標積立金額を考慮して決定しましょう。
加入者平均
iDeCo加入者の実際の平均掛金額は、自営業者が27,270円、会社員が14,352円、専業主婦(夫)が16,170円となっています。掛金の上限額に応じて、加入者の平均額も自営業者ほど高くなっていることがわかります。
りそな銀行 平均額はどれぐらい?個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛金額
掛金を決めるポイント
どのように掛金を決定すればいいかわからない場合は、以下のポイントをおさえましょう。
- 大前提は家計を圧迫しない範囲
- 節税額から逆算して決める
- 目標積立金額から逆算して決める
1.大前提は家計を圧迫しない範囲
iDeCoの掛金額は圧迫しない範囲内で拠出することが前提です。なぜなら、iDeCoは公的年金に上乗せする形で加入する年金制度であり、一度拠出した掛金は60歳まで引き出すことができません。万が一、予想外の出費でお金が必要になった場合でも、iDeCoから引き出すことができないのです。もし、iDeCoに加入するのであれば、家計を圧迫しない範囲で拠出しましょう。
2.節税額から逆算して決める
iDeCoの節税額から逆算して決める方法もあります。iDeCoは拠出、運用、受け取りにおいて節税ができる年金制度です。このメリットを最大限に活用するためには、節税額を考慮した掛金額を設定することも大切です。
3.目標積立金額から逆算して決める
iDeCoは、利回りや掛金額が将来の受け取り金額に大きく影響します。60歳以降に受け取りたい目標金額から逆算して掛金を決めましょう。シミュレーションツールを活用すれば、利回りを考慮した受け取り金額を確認することができます。
掛金の変更
すでにiDeCoに加入している方は、加入後に掛金を変更することができます。ただし、インターネット上で手続きすることはできませんので注意しましょう。
必要書類に記入するだけ
掛金を変更する際は、必要書類に記入する必要があります。iDeCo公式サイト、もしくは利用している金融機関から「加入者掛金額変更届」を取り寄せましょう。なお、職業ごとに変更届の種類が異なるため、注意してください。
翌月から変更
掛金の変更手続きした場合、翌月の掛金から反映されます。ただし、締め切り日に間に合わなかった場合は翌々月からの変更です。締め切り日に関しては、金融機関ごとに異なりますが、14〜15日を締め切り日としているところがほとんどです。
変更は年に一度だけ
掛金が変更できるのは年に一度のみです。ただし、職種変更によって上限額が変更された場合、この際に行う掛金変更手続きはカウントされません。
掛金の振り込み方法
iDeCoの掛金振り込み方法は、事業主振込と個人払込の2通りあります。
事業主払込とは、給与天引きで支払う方法です。給与天引きのため、自営業者やフリーランスの方は利用することができません。さらに、事業主払込を選んでいる方は、年末調整の手続きが不要です。
個人払込とは、指定口座から口座振替で支払う方法です。個人払込は全職業の方が利用できます。ただし、会社員や公務員の方は年末調整、それ以外の方は確定申告の手続きが必要です。
iDeCo(イデコ)の事業主払込と個人払込は、結局どっちの方がメリットがある?
iDeCo(イデコ)を個人払込するメリットは?事業主払込とはどう違う?
iDeCo(イデコ)におすすめの金融機関
年々、iDeCoを取り扱う金融機関は増加傾向にあります。数ある金融機関から選ぶ際は、手数料、サポート体制、商品ライナップの3つのポイントをおさえましょう。
SBI証券
SBI証券の特徴は、手数料の安さと商品ラインアップの豊富さです。iDeCoに加入すると、口座管理手数料が月々発生しますが、SBI証券では口座管理手数料が無料です。さらに、60本以上超える商品ラインナップが揃っており、2018年11月より低コストを中心に取り扱うセレクトプランも登場しています。
楽天証券
楽天証券の特徴は、手数料の安さとサポート体制の充実度です。楽天証券でもSBI証券と同じく口座管理手数料が発生しません。サポート体制においては、楽らくサポートと呼ばれる手厚いサポートサービスを利用できます。楽らくサポートとは、オペレーターと同じ画面を共有することができ、アドバイスを受けながらツールや申し込みの操作をすることできます。
イオン銀行
イオン銀行の特徴は、初心者向けのサービスが充実していることです。加入者はSMART FOLIO〈DC〉と呼ばれるロボアドバイザーから、資産運用のアドバイスやおすすめポートフォリオの提案を受けることができます。さらに、全国のイオン店舗では、iDeCoの無料セミナーが随時開催されています。
りそな銀行
りそな銀行の特徴は、サポート体制の充実度です。コールセンターでは、専門のオペレーターが土日も対応しており、りそな銀行の店舗にて、相談窓口やセミナーも開催されています。さらに、加入者は取引状況や運用状況レポートなどの定期レポートを受け取ることができます。
上限を理解して無理のない運用を
今回はiDeCoの上限額について解説しました。iDeCoは、幅広い職業の人が加入することができ、5,000円から拠出できる年金制度です。ただし、職業ごとに掛金の上限額は設けられています。特に会社員の場合は、加入している企業年金によってiDeCoの上限額が変動するので、必ず確認するようにしましょう。
また、上限額だけでなく実際に拠出する掛金額にも注意が必要です。iDeCoに拠出する場合は、家計を圧迫しない範囲内で、目標積立金額や節税額を考慮しましょう。その際、シミュレーションツールを活用することをおすすめします。