iDeCo(イデコ)の口座開設は、職業によって必要な書類や手続き方法が異なります。今回は、iDeCoの正しい口座開設手続き方法について解説します。口座開設するうえで、金融機関選びも重要です。複数の金融機関で手数料や商品ラインナップを比較し、自分に合う金融機関で申し込みをしましょう。

iDeCo(イデコ)の口座開設の流れ
iDeCoは、資産を運用し、給付金を受け取るための口座が必要です。郵送で口座開設する場合は、以下の手順で手続きします。
- 金融機関を選ぶ
- 資料請求をする
- 書類に記入、郵送する
口座開設の手続きが完了すると、掛金が引き落とされます。引き落としが確認できたら、実際に運用を開始します。
金融機関を選ぶ
iDeCoは金融機関によって手数料や取り扱い商品が異なります。しかし、様々な運用商品を試すために、複数の金融機関を利用することはできません。なぜなら、iDeCoの金融機関は1人1つと決められているからです。1つの口座しか持てないため、金融機関を比較してから選びましょう。
どの金融機関がいいかわからないという方は、以下の3つのポイントをおさえましょう。
- 手数料は安いか
- 商品ラインナップは豊富か
- サービスは充実しているか
1.手数料は安いか
iDeCoでは、加入時、運用時、受け取り時に手数料が発生します。金融機関選びでもっとも重要なのは、運用時の手数料です。なぜなら、運用期間中発生し続けるためです。
運用の手数料は、さらに収納手数料、事務委託手数料、口座管理手数料に分けられます。このうちの口座管理手数料は、金融機関によって大きく異なります。金融機関を選ぶ際は、必ず公式サイトなどで口座管理手数料を確認するようにしましょう。
なお、口座管理手数料は運営管理手数料として表記されることもあります。
2.商品ラインナップは豊富か
手数料を確認したら、次は商品ラインナップも比較しましょう。上述したように、iDeCoでは1つの金融機関でしか口座開設できません。商品の品揃えが少ないと選択肢の幅も狭く、運用商品を変更したい場合にも希望する商品を選ぶことができません。
iDeCoの商品は、主に元本確保型と元本変動型の2種類あります。金融機関によって、初心者向けの品揃えが多いところや、一方で投資上級者向けの品揃えが多いところもあります。それぞれの金融機関の商品ラインナップを確認し、自分にあった運用商品を取り扱っているところを選びましょう。
3.サービスは充実しているか
手数料や商品ラインナップのほかに、金融機関によってサービス内容も異なります。例えば、りそな銀行では無料セミナーや動画解説など、iDeCoの知識を学ぶ環境が整っています。各金融機関のサービス内容も確認しておきましょう。
また、サポート体制が整っているかどうかも重要です。特に投資初心者の方は、相談窓口やコールセンターなどすぐに相談できる環境かどうか調べましょう。
資料請求をする
金融機関が決まったら、資料請求をしましょう。資料請求では、申込書と返送用の封筒が郵送されます。なお、資料請求は以下の3通りです。
インターネットでの申し込みは、基本的に24時間受付です。
なお、ネット証券などは店舗がないため、窓口が設けられていません。その代わり、WEB申し込みで口座開設手続きが可能なので、各金融機関の公式サイトで確認しましょう。
書類作成に必要なもの
iDeCoの口座開設に必要なものは職業によって異なります。以下の1と2は全員が必要になりますが、3に関しては会社員と公務員の方のみ必要です。
また、2に関して、海外銀行口座や国民年金基金連合会への口座振替サービスを行なっていない銀行口座ではiDeCoを利用することはできません。
- 基礎年金番号
- 口座情報
- 勤務先の承認
必要書類
iDeCoの申し込みには、個人型年金加入申出書の提出をしなければいけません。こちらの申出書に加えて、職業ごとにも必要書類があります。
会社員、公務員、自営業者、専業主婦(夫)ごとに必要書類について解説します。
会社員の場合
会社員の方が必要な書類は以下の2点です。
- 個人型年金加入申出書
- 事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書
1に関して、登録事業所番号の記入が求められますが、不明の場合は空欄でも構いません。
また、2に関しては勤め先の承認と印が必要です。企業の承認がないとiDeCoに加入することができないため、必ずもらうようにしましょう。
公務員の場合
公務員の方が必要な書類は以下の2点です。
- 個人型年金加入申出書
- 第2号加入者に係る事業主の証明書(共済組合員用)
1に関して、登録事業所番号は必ず記入してください。
また、2に関しては会社員の方と同様に勤め先の承認と印が必要です。人事部もしくは担当部署の指示に従って手続きを行なってください。
自営業・専業主婦(夫)の場合
自営業・専業主婦(夫)の方が必要な書類は以下の1点のみです。
- 個人型年金加入申出書
掛金の納付方法欄には事業主払込と個人払込がありますが、事業主払込は給与天引きで掛金を支払う方法です。自営業・専業主婦(夫)は事業主払込を利用することができないため、個人振込を選んでください。
書類の書き方
個人型年金加入申出書には、以下の7点を記入します。
納付方法に関して、会社員と公務員の方は事業主払込もしくは個人払込から選ぶことができます。それ以外の方は、個人払込を選択してください。
掛金額には毎月の拠出金額を記入します。掛金は上限額が設けられています。以下の表からそれぞれの上限額を確認してください。
| 職業 | 上限額 | 最低額 |
| 自営業 | 68,000円 | 5,000円 |
| 会社員(*1) | 23,000円 | 5,000円 |
| 会社員(*2) | 20,000円 | 5,000円 |
| 会社員(*3) | 12,000円 | 5,000円 |
| 専業主婦・専業主夫 | 23,000円 | 5,000円 |
| 公務員 | 12,000円 | 5,000円 |
(*1:企業型確定拠出年金や確定給付企業年金に加入していない方)
(*2:企業型確定拠出年金のみ加入している方)
(*3:確定給付企業年金のみ、または企業型確定拠出年金と確定給付企業年金を併用している方)
口座開設までの期間
必要書類に記入が完了したら、各金融機関に郵送します。郵送してから口座開設までおよそ1〜2ヶ月程度の期間がかかります。また、各金融機関の加入者数によって口座開設までの期間が前後します。
申し込んでからすぐには運用は開始できないため、余裕を持って申し込むようにしましょう。
転職・退職した場合
転職や退職を機にiDeCoへ加入する場合は、上述した手続きとは異なる方法で加入を行います。
特に、自営業・専業主婦(夫)の方が会社員になる場合は、被保険者の種別が変更になるため注意が必要です。
企業型確定拠出年金のある会社へ
企業型確定拠出年金が整備されている企業に転職する場合、iDeCoに加入していなかった方は上述した手続きでiDeCoの口座開設してください。
すでにiDeCoに加入していた方で、企業型確定拠出年金に変更する場合は、加入者資格喪失届を利用している金融機関に郵送してください。
なお、規約でiDeCoの加入が認められている場合は、iDeCoと企業型確定拠出年金を併用することができます。その際、自営業・専業主婦(夫)の方が会社員や公務員になる場合は、加入者被保険者種別変更届と事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書を提出してください。
企業型確定拠出年金以外の企業年金のある会社へ
企業型確定拠出年金以外の企業年金に加入する場合、加入済みのiDeCoの資産を企業年金に移換することができます。ただし、規約で移換が認められている場合に限られます。
なお、移換手続きを行わずにiDeCoで引き続き運用することも可能です。ただし、自営業・専業主婦(夫)の方は被保険者種別が変更となるため、加入者被保険者種別変更届を提出してください。
iDeCo(イデコ)の口座を変更
iDeCoの口座を移管する際にも手続きが必要です。移管とは、現在利用している口座を、別の金融機関の口座に変更することです。
iDeCo口座(*1)を変更する場合と掛金引き落とし口座を変更する場合について解説します。なお、2つの口座は別の口座であり、異なる金融機関で開設することができます。
(*1:iDeCoのサービスを利用する金融機関で開設する口座)
iDeCo(イデコ)口座を変更する
iDeCo口座の変更は以下の手順で行います。
- 変更先の金融機関に資料請求
- 変更届を返送
- 移管完了通知の受領
まずは、変更先の金融機関に資料請求してください。数日後、申込書類とガイドブック、返送用封筒が送られます。
次に、届いた加入者等運営管理機関変更届に掛金の配分指定と移換金配分指定を記入し、返送します。審査には1〜2ヶ月程度要します。
変更が完了したら、金融機関から移換完了通知書や取引報告書などが届くので必ず保管してください。
掛金引き落とし口座を変更する
掛金引き落とし口座の変更は以下の手順で行います。
- 各種変更届をダウンロード
- 金融機関に郵送
掛金引き落とし口座の変更には、加入者掛金引落機関変更届と預金口座振替依頼書の提出を求められます。iDeCo公式サイトもしくは各金融機関の公式サイトから変更届をダウンロードし、記入しましょう。記入が完了したら、各金融機関に郵送してください。
なお、変更手続きには1〜2ヶ月程度かかります。15日までに変更手続きが完了しなかった場合、初回の掛金引き落とし日は翌々月の26日になります。
おすすめの金融機関
iDeCoの加入において、金融機関選びは重要だと解説しました。こちらでは、金融機関選びの参考に、手数料、商品ラインナップ、サービスにおいて評判の高いおすすめ金融機関をご紹介します。
ただし、最終的にはご自身で情報収集を行なって、自分に合う金融機関を選ぶようにしましょう。
SBI証券
SBI証券は国内最大級のネット証券です。そのため、商品ラインナップは非常に幅広く、iDeCo取り扱い金融機関の中でもトップクラスです。
なお、SBI証券では口座管理手数料、口座開設費はすべて無料です。運用商品も低信託報酬の品揃えが多いため、低コストで運用することができます。iDeCoの運用実績も10年以上あり、手数料、商品ラインナップ、サービスにおいて評価の高い金融機関です。
楽天証券
楽天証券も口座管理手数料が無料で利用できる金融機関です。すでに楽天証券で口座を申し込んでいる場合は、iDeCoの口座と同じ画面で操作することができるため、管理がスムーズになります。
楽天証券ではサポート体制が充実していることで知られています。楽らくサポートでは、オペレーターと利用者が同じ画面を見ながら操作します。相談窓口に行く時間がない場合でも、楽らくサポートを利用すれば、専門のオペレーターからリアルタイムでサポート受けることができます。
マネックス証券
マネックス証券は、SBI証券と並ぶ大手ネット証券です。口座管理手数料が無料、低コスト商品の充実、iDeCo専門スタッフによるサポート体制などで、マネックス証券のiDeCo加入者は100万人を超えます。
さらに、マネックス証券ではロボアドバイザーによる運用プラン提案サービスが受けられます。投資信託が初めての方に、掛金や収入などを考慮した運用プランを無料で診断してもらえるサービスです。
イオン銀行
イオン銀行でも、ロボアドバイザーサービスSMART FOLIO〈DC〉を利用することができます。リスク許容度や掛金額などの診断項目から、利用者それぞれに適切なポートフォリオを作成してくれます。なお、ロボアドバイザー提供元はみずほ銀行です。
イオン銀行の特徴は、信託報酬がリーズナブルな運用商品の品揃えが豊富なことです。たわらノーロードシリーズやひふみ年金など、人気の高い運用商品を取り扱っています。資産運用が不安という方、まずは相談したいという方は各地のイオンモールで開催されている無料セミナーに参加してみてはいかがでしょうか?
りそな銀行
りそな銀行では、2018年12月28日までにiDeCoに新規加入や移換をした方のみ口座管理手数料が無料になります。ただし、無料期間は最大で2年間です。
りそな銀行ではサービス内容が充実しています。各店舗での無料セミナー、iDeCo専門オペレーターによるコールセンター、公式サイトでのiDeCo解説動画などサービス、サポート制度が整っています。さらに、利用者には取引や運用状況レポートなどが定期的に配信されます。
正しい手順で口座開設を
今回はiDeCoの口座開設手続きについて解説しました。iDeCoの口座を開設する際、職業によって必要な書類が異なります。特に会社員や公務員の方は、勤め先の認印の押し忘れには注意してください。
一方、自営業・専業主婦(夫)の場合は、転職や退職した際の手続きに注意が必要です。被保険者の種別を変更する場合は、必ず加入者被保険者種別変更届を提出してください。また、個人払込から事業主払込に変更する場合は転職先でも手続きが必要になります。
iDeCoへの加入を検討されている方は、それぞれの手続き方法を確認し、自分に合った金融機関へ加入しましょう。