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iDeCo(イデコ)の事業主払込と個人払込は、結局どっちの方がメリットがある?

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iDeCo(イデコ)の加入者は、掛金の支払い方法を事業主払込と個人払込から選ばなければいけません。事業主払込は、事業主口座から口座振替するため、残高不足の心配がないというメリットがあります。一見便利に思える事業主払込ですが、実は企業を介しているため、変更や停止も企業を通さなければいけないというデメリットもあるのです。今回は、iDeCoの支払い方法について、事業主払込と個人払込のメリットとデメリットを解説します。

イデコに支払うためのお金

iDeCo(イデコ)における重要な選択

iDeCo(イデコ)に加入の際には、支払い方法の他に、いくつか注意すべきポイントがあります。まずは、注意すべきポイントを確認しましょう。

運営管理機関

ポイントの1点目は、運営管理機関です。運営管理機関とは、iDeCo(イデコ)の取り扱う金融機関です。運営管理機関によって、取り扱う商品、手数料、サポート体制が異なります。iDeCoに加入する際は、運営管理機関の特徴を把握し、自身にあったところで口座開設をしましょう。

掛金拠出方法・掛金額

ポイントの2点目は、掛金拠出方法と掛金額です。冒頭でも述べたように、拠出方法は、事業主払込と個人払込の2種類あります。それぞれの特徴については、後述します。

掛金額に関しては、職業ごとに上限が設けられています。加入の際は、掛金の上限額を確認しましょう。

職業 上限額 最低額
自営業 68,000円 5,000円
会社員(*1) 23,000円 5,000円
会社員(*2) 20,000円 5,000円
会社員(*3) 12,000円 5,000円
専業主婦・専業主夫 23,000円 5,000円
公務員 12,000円 5,000円

(*1:企業型確定拠出年金や確定給付企業年金に加入していない方)
(*2:企業型確定拠出年金のみ加入している方)
(*3:確定給付企業年金のみ、または企業型確定拠出年金と確定給付企業年金を併用している方)

運用商品

ポイントの3点目は運用商品です。iDeCo(イデコ)は、金融商品を選び、年金を増やす制度です。運用商品は運営管理機関によって異なり、運用商品選びは、将来の年金の受取額に影響します。必ず運用商品も確認するようにしましょう。

iDeCo(イデコ)の事業主払込

iDeCo(イデコ)の掛金の支払いには、事業主払込と個人払込の2種類あります。申し込みの際、加入者自身で支払い方法を選ぶことができますが、職業によっては事業主払込を選べない場合があります。iDeCoへの加入を検討されている方は、それぞれの支払い方法やメリット、デメリットを理解しておきましょう。

事業主払込とは

事業主払込とは、給与天引きで支払う方法です。つまり、加入者は勤め先を通じて運営管理機関に掛金を支払います。事業主払込は給与天引きのため、給与のない自営業者、専業主婦(夫)、フリーランスの方は利用することができません。

事業主払込にするメリット

事業主払込のメリットは、以下の2点が挙げられます。

  1. 掛金の残高不足の心配がない
  2. 確定申告の手間が省ける

では、それぞれのメリットについて詳しく解説します。

1.掛金の残高不足の心配がない

事業主払込は、事業主の口座から口座振替で支払い、掛金を天引きされたうえで、加入者の給与口座に給与が振り込まれます。そのため、掛金の残高不足の心配がありません。

万が一、残高不足になった場合、その月の掛金を支払うことができません。iDeCo(イデコ)では、掛金の支払いは毎月26日と定められており、その日以外は支払うことができないためです。追納の処置もありません。ただし、掛金の支払いができなかった場合も、管理手数料として64円の費用は発生します。

2.確定申告の手間が省ける

事業主払込を利用する場合、節税に必要な手続きが不要になります。

iDeCo(イデコ)のメリットは節税効果ですが、その節税効果を受けるためには、年末調整もしくは確定申告を行う必要があります。しかし、事業主払込を選んだ場合、勤め先が源泉徴収を行うため、加入者本人が手続きする必要がありません。

事業主払込にするデメリット

事業主払込のデメリットは、以下の2点が挙げられます。

  1. 企業にとって、手続きの負担が増える
  2. 掛金の変更や停止の手間

では、それぞれのデメリットについて詳しく解説します。

1.企業にとって、手続きの負担が増える

加入者が事業主払込を選んだ場合、勤め先にとっては負担になる場合があります。その理由は、加入者の掛金の支払い手続きや源泉徴収、現況届の提出など、事務的負担が増えるためです。

さらに、iDeCo(イデコ)の加入の際には、申込書に勤め先の署名と押印が必要です。勤め先が加入した場合の事務負担を敬遠し、申込書への記入を拒否するイデハラという問題が発生しています。

2.掛金の変更や停止の手間

iDeCo(イデコ)の掛金額は、加入後も年に一度に限り変更することができます。変更する場合は、「加入者掛金額変更届」を金融機関に提出する必要があります。

しかし、事業主払込を利用する場合は企業への申請も必要になります。申請がない場合は変更前と同じ金額を給与から差し引かれます。さらに、掛金の拠出を提出する場合にも申請しなければいけません。

事業主払込の手続きの問題点

上述したように、近年勤め先が会社員のiDeCo(イデコ)への加入を拒否する現象が増えています。イデハラが起きる原因として、企業の事務的負担の増加、そしてiDeCoの制度が浸透していないことが挙げられます。

iDeCoは2001年に開始した比較的新しい私的年金です。そのため、iDeCoが浸透していない企業では、制度の不整備や手続き方法が確立されていない場合があります。

しかし、会社員がiDeCoに加入する場合、勤め先の協力が必要不可欠です。

iDeCo(イデコ)の個人払込

ここからは、iDeCoの個人払込について解説します。iDeCoの個人払込は、職業関係なく、誰でも利用できる支払い方法です。

個人払込とは

個人払込とは、指定した口座から口座振替で支払う方法です。上述のように、個人払込は、職業関係なく誰でも利用できます。

個人払込のメリット

個人払込のメリットは、掛金の変更や停止の手続きがスムーズに行えることです。事業主払込の場合、企業を介して掛金を支払うため、掛金に関する手続きも企業を通さなければいけません。

しかし、個人払込は個人の指定口座から口座振替で支払います。企業は掛金の支払いに関与していないため、変更手続きを企業に申請する必要がなく、掛金額の変更や停止をスムーズに行うことができます。

iDeCo(イデコ)を個人払込するメリットは?事業主払込とはどう違う?

個人払込のデメリット

個人払込は、掛金の変更や停止にかかる手続きを軽減することができますが、その分年末調整に手間がかかります。

事業主払込では、企業が源泉徴収で控除や税金額を算出します。しかし、個人払込の場合、年末調整などの節税手続きは加入者本人が行わなければいけません。年末調整を行わないと、控除を受けることができないため、必ず手続きをしましょう。

万が一、年末調整を忘れた場合は、確定申告で調整しましょう。また、10月以降に初回掛金を支払った場合も、年末調整に必要な「小規模企業共済等掛金払込証明書」が間に合わないため、その場合も確定申告で手続きしましょう。

事業主払込と個人払込の変更は可能

事業主払込と個人払込を変更することはできます。ただし、職業によって変更手続きが異なります。

まず、会社員の方が変更する場合は、「加入者掛金納付変更届兼事業所登録申請書」を、公務員の方は「加入者掛金納付方法変更届(共済組員用)」を各金融機関に提出してください。個人払込から事業主払込になる場合は、変更届の提出に加えて勤め先への申請も必要です。

自営業・専業主婦(夫)の方が就職し、事業主払込を利用する場合は、「加入者被保険者種別変更届」にて事業主払込を選択し、提出してください。変更届は被保険者種別ごとに異なり、自営業の方は第1号被保険者用を、専業主婦(夫)の方は第3号被保険者用を選んでください。

事業主払込と個人払込はどっちがいい?

これまで、iDeCo(イデコ)の事業主払込と個人払込のメリット、デメリットについて解説しました。では、実際に加入する際は、どちらの支払い方法がいいのでしょうか。

事業主払込の方がお得な人

事業主払込は、残高不足の心配をしたくない方、節税の手続きを軽減したい方におすすめです。

まず、事業主払込は給与天引きで支払う方法です。そのため、掛金を差し引いて給与を受け取るため、口座への振込も不要であり、残高不足による掛金の未払いも防ぐことができます。次に、事業主払込を選ぶことで、節税に必要な手続きは企業が行います。そのため、手続きが面倒だと思う方は事業主払込がおすすめです。

ただし、上述のように事業主払込は、給与のある方しか利用できないため注意しましょう。

個人払込の方がお得な人

個人払込は、掛金額の変更や停止などの手続きをスムーズに行いたい方におすすめです。事業主払込を選んだ場合、掛金の金額を変更したい場合や支払いを停止したい際には、勤め先への手続きが必要です。このような手続きが面倒に感じる方は、個人払込を選ぶことをおすすめします。

事業主払込はメリットもあれば注意点もある

今回はiDeCoの事業主払込について解説しました。事業主払込は、口座残高不足の心配や年末調整が不要などのメリットが挙げられます。

その一方で、いくつか注意点もあります。まず一つは、事業主払込は会社員や公務員など、給与の受け取りがある方のみ選ぶことができます。次に、掛金の金額変更や停止を行う際は、金融機関だけでなく勤め先への申請も必要になります。

以上の注意点を理解してから、事業主払込もしくは個人払込を選択するようにしましょう。

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