iDeCo(イデコ)のスイッチングとは、保有資産の比率を変更する運用手段の1つです。スイッチングは、保有資産のバランスを保ち、利益を守るための重要な手段でもあります。しかし、スイッチングには手数料や日数、タイミングなど注意点もあります。今回は、iDeCoのスイッチングの概要から手数料、デメリットまで解説します。スイッチングをする場合は、きちんと方法や注意点を把握してから行いましょう。
iDeCo(イデコ)のスイッチングとはiDeCo公式 指定運用方法について
なぜスイッチングが必要か
スイッチングが行われる目的は、主にリバランスと利益の確定の2点です。
リバランス
スイッチングは、保有商品のバランスを保つために必要な手段です。金融商品は価格変動に伴ない、保有資産の価値も変動します。保有商品の価値が変ると、運用当初の方針も次第に崩れてしまいます。そのため、定期的にスイッチングでリバランスすることで、運用方針にのっとった資産運用ができます。
例えば、A〜Dの商品を25%の割合で保有するという運用方針を決めたとします。しかし、Aの価格変動により、Aが20%になってしまった場合は、スイッチングで25%に戻すことで、当初の運用方針の通り運用ができます。
利益の確定
スイッチングは、利益確定するうえでも重要な役割を果たします。例えば、元本変動型商品で利益が出た場合です。このタイミングで利益確定を行い、その利益を元本確保型にスイッチングすることも一つの手段でもあります。
さらに、iDeCoは運用益に税金が課されないため、利益を確定した場合でも非課税となります。スイッチングそのものには手数料がかからないため、定期的に行うことができます。
スイッチングの頻度とタイミング
スイッチングを行うタイミングは、3ヶ月に1度もしくは資産バランスが10%以上崩れた場合を目安にしましょう。
3ヶ月に1度の頻度が目安
iDeCoは資産運用は3ヶ月に1度を目安に見直すようにしましょう。iDeCoは投資信託のため、株式投資やFXのようにチャート画面に張り付く必要はありません。しかし、あなたの将来の年金は、運用成績次第で変わります。現在どれぐらいの資産を保有しているのかは、3ヶ月に1度のペースで確認するようにし、必要であればスイッチングもしくは配分変更を行いましょう。
資産バランスが10%以上崩れたタイミング
資産バランスが10%以上崩れた場合、スイッチングを行うようにしましょう。先ほどの例で言うと、A商品が35%以上もしくは15%以下になった場合です。前述したように、資産運用は当初の運用方針に従って運用することでリスクを抑えることができます。定期的に保有資産を確認し、10%以上変動した場合には対処するようにしましょう。
スイッチングの注意点
スイッチングは必要な運用手段ではありますが、行う際には注意が必要です。特に、手数料と必要日数はきちんと把握しておきましょう。
手数料
スイッチングを行う際、手数料がかかる場合があります。手段そのものには手数料はかかりませんが、資産を売却する際の信託財産保留額がかかります。信託財産保留額とは、投資信託で商品を売却や解約する際に発生する費用です。ただし、すべての商品に信託財産保留額がかかるわけではありません。
日数がかかる
スイッチングには、申し込んでから反映されるまでに時間がかかるというデメリットがあります。そもそも、金融商品の注文は、売買の確定(約定)から売却手続き、そして新しい商品の購入手続きの手順を踏まなければいけません。これはiDeCoも同じことであり、スイッチングを行なった場合にはこれらの手続きで時間がかかってしまうのです。最低でも1週間は必要だと覚えておいてください。
スイッチングのやり方
では、実際にスイッチングの手順について解説します。今回は、SBI証券と楽天証券の2つの証券会社をピックアップしました。
SBI証券の場合
SBI証券のiDeCoのスイッチングを行う場合は、以下の手順で行います。なお、口数とは投資信託における取引単位のことを指します。
- 資産状況画面(トップページ)から「スイッチング(預け替え)をする」を選択
- 締切日と反映日を確認
- 売却する金融商品を選択し、口数を入力
- 購入する金融商品を選択
- 最後に申し込み内容を確認し、「実行」を選択
楽天証券の場合
楽天証券のiDeCoのスイッチングを行う場合は、以下の手順で行います。
- トップページから「保有商品を入れ替える」を選択
- 売却する金融商品を選択
- 購入する金融商品を選択
- 金融商品の売却と購入のそれぞれ口数を入力
- 最後に申し込み内容を確認し、「申込」を選択
資産を守るためにスイッチングを有効活用
今回はiDeCoのスイッチングについて解説しました。スイッチングは、資産のバランスを保ち、利益を守るための重要な運用手段です。3ヶ月に1度もしくは保有バランスが10%以上崩れた場合を目度に、定期的にスイッチングで運用を見直すようにしましょう。
ただし、スイッチングを行う場合には注意が必要です。まず、スイッチングで金融商品を売却する場合には、信託財産保留額(手数料)がかかることがあります。手数料も考慮し、保有資産を見直しましょう。次に、スイッチングが反映されるまでに日数がかかります。慌てないためにも、計画的にスイッチングを行うことが大切です。以上の注意点を踏まえて、ご自身の資産を守るためにスイッチングを有効活用しましょう。