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iDeCo(イデコ)を個人払込するメリットは?事業主払込とはどう違う?

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iDeCo(イデコ)の支払い方法には、誰もが利用できる個人払込と公務員や会社員などが利用できる事業主払込の2種類あります。今回は個人払込と事業主払込の違いやメリット、デメリットについて解説します。会社員によってはそもそもiDeCoに加入できない場合もあります。加入手続きを行う前に、会社員の方はiDeCoの加入条件について確認しましょう。

イデコの支払い方法に迷っている人

iDeCo(イデコ)における重要な選択

iDeCo(イデコ)の個人払込のご紹介の前に、iDeCoの加入における重要なポイントについて解説します。加入の際は、以下の3点を必ず確認しましょう。

  1. 運営管理機関
  2. 掛金額と支払い方法
  3. 運用商品

では、それぞれのポイントについて詳しくご紹介します。

1.運営管理機関

ポイントの1点目は、運営管理機関です。iDeCo(イデコ)に加入するためには、iDeCoを取り扱う運営管理機関で口座を開設する必要があります。運営管理機関ごとに、取り扱っている運用商品やサービス内容、サポート体制、手数料が異なります。iDeCoの口座は、1人1つしか開設できないため、安易に決めるのではなく、それぞれの運用商品やサービス内容を比較して申し込みをしましょう。

2.掛金額と支払い方法

ポイントの2点目は、掛金額と支払い方法です。

まず、掛金額は職業ごとに上限額が異なります。口座開設の際に、掛金額を記入する必要があるため、必ず金額を確認しましょう。職業ごとの掛金額は以下の通りです。

職業 上限額 最低額
自営業 68,000円 5,000円
会社員(*1) 23,000円 5,000円
会社員(*2) 20,000円 5,000円
会社員(*3) 12,000円 5,000円
専業主婦・専業主夫 23,000円 5,000円
公務員 12,000円 5,000円

(*1:企業型確定拠出年金や確定給付企業年金に加入していない方)
(*2:企業型確定拠出年金のみ加入している方)
(*3:確定給付企業年金のみ、または企業型確定拠出年金と確定給付企業年金を併用している方)

次に、支払い方法は、個人払込と事業主払込の2種類あります。個人払込と事業主払込では、引き落とし先が違います。個人払込の場合は、指定した口座から掛金が引き落とされます。一方の事業主払込の場合は、給料から掛金が引き落とされます。

つまり、事業主払込が利用できるのは給料を受け取っている会社員もしくは公務員に限られます。自営業者や専業主婦(夫)はそもそも給料がないため、給与天引きされる事業主払込を選ぶことができません。

3.運用商品

ポイントの3点目は、運用商品です。iDeCo(イデコ)は、加入者が運用商品を選び、運用益が将来の年金となります。運用商品は、元本確保型と元本変動型の2種類あります。

元本確保型とは、定期預金や保険など、元本を下回るリスクが低い商品です。メリットは、元本割れのリスクを伴わないことです。一方で、元本割れのリスクを抑えることはできますが、大きな利益を狙うことはできないというデメリットがあります。

元本変動型とは、投資信託のような運用次第で資産が増額もしくは減額する商品です。メリットは掛金以上の資産を狙えることです。投資した商品の価格が上がれば、大きな利益を狙うことができます。その一方で、資産を減らしてしまう可能性もあり、元本割れのリスクを伴います。

個人払込

ここからは、iDeCo(イデコ)の個人払込についてご紹介します。安易に決めてしまうのではなく、個人払込のメリット、デメリットをきちんと把握してから選びましょう。

個人払込とは

そもそも個人払込とは、指定した口座から口座振替で掛金を支払う方法です。職種関係なく、自営業者から公務員まで、誰でも利用できる支払い方法です。

個人払込のメリット

個人払込のメリットは、iDeCoの掛金額の変更または停止作業をスムーズに行えることが挙げられます。事業主払込を選んだ場合、掛金の変更するたび企業に申請しなければいけません。

しかし、個人払込の場合は企業を通すことなく支払うため、掛金の変更や停止の申請を企業に行う必要がありません。

個人払込のデメリット

個人払込のデメリットは、年末調整や確定申告の手続きを行わなければいけないことが挙げられます。

iDeCo(イデコ)の最大のメリットは節税であり、特に掛金に関しては、全額が所得控除となります。しかし、所得控除を受けるためには、年末調整や確定申告で掛金額を申請する必要があります。年末調整や確定申告を行わないと節税の恩恵を受けることができないため、手続きをするようにしましょう。

確定申告の流れ

iDeCo(イデコ)の確定申告の流れを解説します。確定申告は、以下の手順で行います。

  1. 小規模企業共済等掛金払込証明書を用意
  2. 確定申告書に必要事項を記入
  3. 書類を税務署に提出

iDeCo(イデコ)は確定申告が必要です。手続きの際は証明書の確認を

1.小規模企業共済等掛金払込証明書を用意

確定申告の際は、「小規模企業共済等掛金払込証明書」を準備する必要があります。「小規模企業共済等掛金払込証明書」とは、掛金を支払った後、国民年金基金連合会から郵送される支払い証明書です。毎年10月以降に郵送されるため、受け取ったら確定申告まで必ず保管しておきましょう。

2.確定申告書に必要事項を記入

次に、確定申告書に必要事項を記入します。記入するのは、年間掛金額です。会社員や公務員の方は、確定申告書Aの小規模企業共済等掛金控除の欄に、それ以外の方は確定申告書Bの小規模企業共済等掛金控除の欄に記入しましょう。

3.書類を税務署に提出

確定申告書に記入したあとは、「小規模企業共済等掛金払込証明書」と一緒に税務署に提出します。確定申告は、申告期間である毎年2月16日から3月15日までに必ず行いましょう。

事業主払込

iDeCo(イデコ)の支払い方法には、個人払込の他に事業主払込があります。事業主払込とは、給与天引きで掛金を支払う方法で、自営業者や専業主婦(夫)は利用することができません。ここからは、事業主払込について解説します。

事業主払込のメリット

事業主払込は、以下のメリットが挙げられます。

  1. 給与天引きのため、掛金が残高不足になることはない
  2. 年末調整の手間が省ける

では、それぞれのメリットについて解説します。

1.給与天引きのため、掛金が残高不足になることはない

事業主払込は給与天引きで支払います。引き落としされた状態で給料を受け取るため、残高不足で掛金が支払えないという状態に陥ることはありません。一方、個人払込は口座振替で支払うため、引き落とし日まで掛金を口座に残さないといけません。万が一残高不足で掛金を支払えなくなると、運用が停止してしまいます。

2.年末調整の手間が省ける

事業主払込は、加入者本人が年末調整をする必要はありません。なぜなら、源泉徴収に反映されているためです。個人払込の場合は年末調整を行わなければいけませんが、事業主払込の場合は手続きは不要です。

事業主払込のデメリット

事業主払込は、以下のデメリットが挙げられます。

  1. 掛金の変更や停止の手間
  2. 企業の事務負担が増える

では、それぞれのデメリットについて解説します。

1.掛金の変更や停止の手間

事業主払込の場合、掛金の金額の変更や拠出の停止をする際には企業に申請しなければいけません。申請を行わないと前月と同様の金額を引き落とされるためです。なお、個人払込の場合は掛金額の変更や支払い停止の際には企業への申請は必要ありません。

2.企業の事務負担が増える

事業主払込は給与天引きで支払う方法です。つまり、企業が支払いの手続きを行うため、結果的に企業への事務負担が増えてしまいます。この事務負担を理由に、会社員のiDeCoの加入を拒否するイデハラ(iDeCoハラスメント)が問題となっています。

iDeCo(イデコ)とマッチング拠出は併用不可

iDeCo(イデコ)とマッチング拠出は併用できません。マッチング拠出とは、企業型確定拠出年金において企業の掛金に上乗せして拠出できる制度です。つまり、企業型確定拠出年金でマッチング拠出を採用している企業に勤めている方は、iDeCoに加入することができません。

なお、マッチング拠出に関して、企業型確定拠出年金のほかに企業年金がない場合は月々55,000円、ある場合は月々27,500円を拠出することができます。

個人払込と事業主払込はどちらがいい?

これまでご紹介してきた個人払込と事業主払込ですが、どちらの方がいいのでしょうか? ここからは、個人払込がおすすめな方と事業主払込がおすすめの方をご紹介します。

個人払込の方がいい人

掛金額の変更や停止などの手続きをスムーズに行いたい方は、個人払込がおすすめです。事業主払込は、変更の際に勤め先への申請が必要ですが、個人払込では申請は不要です。掛金額を変更をすぐに行いたい方は、個人払込を選びましょう。

事業主払込の方がいい人

事業主払込は、残高不足の心配をしたくない方、節税の手続きを軽減したい方におすすめです。

まず、事業主払込は給与天引きで支払うため、口座への振込も不要であり、残高不足による未払いの不安もありません。また、事業主払込を選ぶことで、節税に必要な手続きを源泉徴収で行うことができます。ただし、上述のように事業主払込は、給与のある方しか利用できないため注意しましょう。

そのほかに知っておきたいiDeCo(イデコ)の年払いと月払い

2018年にiDeCo(イデコ)の新たな支払い方法として、年単位拠出が誕生しました。年単位拠出とは、iDeCoの支払いを1月~12月の1年の間で、限度額内で自由に支払い金額を決められる支払い制度です。

例えば、従来の月払いは掛金を10,000円に設定した場合、毎月10,000円を支払う必要がありました。年単位拠出で年払いを選んだ場合、1月は10,000円、2月は13,000円と自由に支払い金額を設定することできるようになったのです。さらに、年払いでは1年分の掛金を一括で支払うこともできます。

iDeCo(イデコ)から年払いが誕生。メリットを理解してから変更手続きを

月払いと比較した年払いのメリット

年払いのメリットは以下の2点が挙げられます。

  1. 手数料の節約
  2. 自身のタイミングで支払いができる

では、それぞれのメリットについて詳しく解説します。

1.手数料の節約

iDeCo(イデコ)の掛金の支払いには手数料が発生し、1回の支払いあたり103円かかります。月払いの場合は、12回支払うため1年で1,236円の手数料が発生します。

一方、年払いでは支払いを一括にすることができます。つまり、支払いを一度で済ますことができるため、1年の手数料を103円に抑えることができます。年払いを利用すれば、手数料を大幅に節約することが可能です。

2.自身のタイミングで支払いができる

年払いの誕生により、家計が苦しい月は掛金を少なく、余裕がある月は支払いを多くできるようになりました。特に会社員の場合は、ボーナスの時期に合わせて支払い金額が変更できます。ただし、金額が設定できるのは上限額内です。

月払いと比較した年払いのデメリット

年払いのデメリットは以下の3点が挙げられます。

  1. ドルコスト平均法が使えない
  2. 拠出額の管理が必要になる
  3. 確定申告が必要になる

では、それぞれのメリットについて詳しく解説します。

1.ドルコスト平均法が使えない

ドルコスト平均法とは、投資手法の1種であり、一定期間に一定金額分の金融商品を購入する手法です。メリットは、安い価格は大量に、高い価格では少量で購入できる点です。一定金額内で購入するため、値上がりしても高値掴みのリスクを抑えることができます。

しかし、年払いは月によって掛金が異なります。相場を考慮して金額を変更しなければ、高価格の商品を大量に購入してしまう状態に陥ってしまいます。

2.拠出金額の管理が必要になる

年払いは拠出金額の管理をしっかり行わなければいけません。例えば1年分の掛金を12月に引き落とす場合、年末まで掛金分の金額を口座に確保しなければいけません。しかし、予想外の出費で支払い月に口座に残高が不足してしまうこともあります。年払いは残高不足に陥らないように、拠出金額の管理を徹底するようにしましょう。

3.確定申告が必要になる

年払いで10月以降のみ支払った場合は、確定申告が必要になります。本来であれば、会社員や公務員の方は年末調整で節税手続きを行うことができます。しかし、10月以降のみ掛金を支払った場合は、手続きに必要な「小規模企業共済等掛金払込証明書」が年末調整の時期に届かないため、年末調整を行うことができません。

なお、一括で支払う場合、前納することができません。例えば1〜12月の掛金を1月で支払うことはできず、その期間の最終月である12月に支払わなければいけません。

個人払込と事業主払込の正しい選択を

今回はiDeCo(イデコ)の支払い方法について解説しました。iDeCoの加入者は、個人払込もしくは事業主払込にて掛金を支払います。ただし、給与のない自営業者や専業主婦(夫)の方は事業主払込を選ぶことができないため、注意しましょう。個人払込を選んだ場合、年末調整や確定申告の手続きを忘れずに行うようにしましょう。

支払いは毎月行わなければいけない作業です。個人払込と事業主払込のメリットとデメリットをきちんと把握して、後悔の無いように選択しましょう。

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