ロボアドバイザーの利回りについて説明します。7種類のロボアドバイザーの運用実績からそれぞれの利回りを比較し、ロボアドバイザーごとの運用プランの違いによる利回りの比較も行います。また、ロボアドバイザー選びの際のポイントもお教えします。ロボアドバイザー選びに悩んでいる方は参考にしてみてください。
ロボアドバイザーの選び方
話題のロボアドバイザーを利用した投資を始める際に役立つ、ロボアドバイザー選びのポイントを解説します。ロボアドバイザーの概要から利用のメリットとデメリット、注意点をお教えします。ロボアドバイザー投資を行う際に必須の知識ですので、きちんと理解してロボアドバイザー選びの参考にしていきましょう。
ロボアドバイザーとは?仕組みとメリット・デメリット、具体的な利回りや実績も比較
2種類のロボアドバイザー
ロボアドバイザーは大きく以下の2種類に分けられます。
- 投資一任型
- アドバイス型
まずはロボアドバイザーの種類について説明します。きちんと理解してどちらの種類のロボアドバイザーを利用するか判断していきましょう。
1.投資一任型
投資家に代わってロボアドバイザーが実際の資産運用を行ってくれるロボアドバイザーです。投資家は簡単な質問に解答するだけで、その答えに基づいて資産運用のポートフォリオが形成・提案され、投資家は運用プランを選択することでロボアドバイザーが資産運用を行ってくれる仕組みです。
2.アドバイス型
一方でアドバイス型とは、投資家に最適なポートフォリオが提案されるだけのロボアドバイザーです。
資産運用に関する質問の解答に応じて最適な資産運用の方針やポートフォリオが提案されます。ロボアドバイザー自体は資産運用のアドバイスをするのみで、実際の資産運用は投資家自身で行う必要があります。
ロボアドバイザーのメリット・デメリット
次に、ロボアドバイザーを利用した資産運用のメリットとデメリットをお教えします。通常の投資に比べてロボアドバイザーを利用することでどのような利点や反対に難点があるのでしょうか。メリットとデメリットの両方を理解した上でロボアドバイザーの利用を開始することが大切です。
ロボアドバイザーのデメリットとは?損失はでるのか、本当に信頼できるのか
メリット
ロボアドバイザーのメリットは、主に以下の4点が挙げられます。
- 知識が無くても運用を始めることができる
- 時間と手間がかからない
- 少額投資が可能
- 自身だけのポートフォリオが作成可能
ロボアドバイザーは口座に投資資金を入金するだけで、運用プランに合わせて自動的に資産運用が開始されることとなります。そのため、投資家自身に投資知識が無い場合でも簡単に運用を開始することができます。資産の売買取引もロボアドバイザーが自動で行ってくれるため、投資家が運用に割く時間と手間を短縮することができるメリットもあります。
また、ロボアドバイザーでは少額からの投資を行うことができます。例えば、THEO(テオ)というロボアドバイザーでは1万円から投資を行うことができ、まとまった投資資金を用意することが難しい投資家にメリットとなります。
さらに、ロボアドバイザーの利用開始前に簡単な質問に答えるだけで自身の投資目的や資産運用の方針に合った最適なポートフォリオが作成されます。自身で最適なポートフォリオを形成するのは特に投資初心者では難易度が高いため、ロボアドバイザーを利用するメリットと言えます。
デメリット
一方でロボアドバイザーを利用した投資にはデメリットもあります。
- 手数料が高い
- 短期投資には不向き
- 元本割れのリスク
- NISA(ニーサ)では利用不可
投資一任型のロボアドバイザーは、投資家に代わってロボアドバイザーが資産運用の全般を行うこととなります。そのため、通常の投資よりもロボアドバイザーによる運用管理の手数料がかかってしまいます。例えばWealthNavi(ウェルスナビ)では、口座内の保有資産額に対して年間で約1%の手数料が取られます。(*1)
また、ロボアドバイザーは基本的に長期的な資産形成を目的にしているため、短期で大きな利益を上げる投資手法には向いていません。様々な投資手法を取りたい投資家には不向きと言えます。
投資にリスクは付き物ですが、これはロボアドバイザーを利用した投資でも同じです。ロボアドバイザー投資では過去のデータを基に最新技術を駆使して資産運用が行われますが、投資の世界には不測の事態によって資産の暴落が発生する可能性があり、結果的に損失が発生して元本割れとなるリスクが潜んでいます。
デメリットの4点目として、NISA(ニーサ)制度の利用が不可能ということがあります。NISAとは、一定条件内で行われた投資の利益を非課税にて受け取ることができる、税制優遇制度です。投資家にメリットの大きい制度ですが、ロボアドバイザー投資にこのNISA制度を利用することはできません。
(*1:口座内の保有資産額が3000万円以内の場合です。)
NISAとは?初心者でも分かるNISA解説。種類と運用時の注意点
利回り=利益ではないことに注意
ロボアドバイザーの性能を確認するための「利回り」は、「利益」とは異なるものです。
ロボアドバイザー選びの際の着目点のひとつに、ロボアドバイザーを利用して得られた利益額と投資元本を比較した「利回り」があります。利回りは投資元本に対してどれくらいの年間収益があるかという割合を表したものです。利回りが高い数値であれば、投資効率の優れた投資先ということになります。
そのため、利回りは単純な利益が分かる数値ではなく、複数年に渡って資産運用を行った場合には年間の平均収益がいくらであったかということが表されることになります。
ロボアドバイザー投資では、手数料が非常に高いことで実際に投資家が得ることができる利益自体が通常の投資に比べて少なくなってしまいます。
運用利回り比較
ここからは、7種類のロボアドバイザーの運用実績について説明します。運用実績はどのロボアドバイザーを利用するかどうかを判断する上で非常に重要なポイントとなります。各ロボアドバイザーを比較してロボアドバイザー選びの参考にしてみてください。(*1)
サービス名 | 最高運用実績(月) | 最低運用実績(月) | 平均利回り |
WealthNavi |
7.90% | 1.90% | 1.806% |
THEO | 9.98% | -8.27% | 3.92% |
楽ラップ | 3.20% | -3.53% | 6.67% |
マネラップ | -0.19% | -7.59% | 1.77% |
大和ファンドラップ | 運用実績非公開 | - | - |
クロエ | 運用実績非公開 | - | - |
上述の数値は公式サイト上で公開されている各ロボアドバイザーの複数種類ある運用プランやコースの実績を対象に算出した数値になります。以下からは各ロボアドバイザーについて運用プランごとの詳細の利回り実績をお教えします。
(*1:全て円建ての数値です。)
参考:WealthNaviの運用実績(WealthNavi公式サイト)
参考:2018年10月までの実績に関して(THEO公式サイト)
参考:運用状況(楽天証券株式会社公式サイト)
参照:運用実績情報開示(2018年10月末時点) (マネックス・セゾン・バンガード投資顧問株式会社公式サイト)
WealthNavi(ウェルスナビ)
WealthNaviではリスク許容度に応じて5種類のポートフォリオから投資家に最適なものが提案されることとなります。以下は2016年1月19日に100万円を預け、その翌月から毎月3万円ずつ積立投資を2018年11月30日まで行ったケースの運用実績です。リスク許容度の数字が大きくなるほどハイリスク・ハイリターンの運用を行うこととなります。
リスク許容度 | リターン | 年平均利回り |
1 | 1.90% | 0.67% |
2 | 4.40% | 1.51% |
3 | 5.50% | 1.84% |
4 | 6.90% | 2.34% |
5 | 7.90% | 2.68% |
どのリスク許容度レベルでもプラスの運用実績が得られ、高い運用実績であることが分かります。リスク許容度が高いとそれに比例して得られるリターンが大きくなっています。
WealthNaviを始める
参考:WealthNaviの運用実績(WealthNavi公式サイト)
THEO(テオ)
THEO(テオ)では、228通りのポートフォリオの中から投資家のリスク許容度に合わせて最適なものが提案されます。以下は2016年3月から2018年12月末までにTHEOを利用して資産運用を行った場合の数値で、各ポートフォリオの中からリスクレベルに応じて3種類のポートフォリオを抽出した全て円建ての運用実績です。
年率リスク | 年平均利回り | 最高運用実績(月) | 最低運用実績(月) |
7.02% | 0.24% | 4.41% | −5.33% |
8.00% | 2.59% | 5.81% | −5.88% |
9.06% | 4.33% | 6.95% | −6.25% |
10.05% | 6.19% | 7.93% | −6.67% |
11.05% | 8.05% | 8.84% | −7.09% |
12.05% | 9.42% | 9.69% | −7.94% |
年率リスクが12%の場合にはおよそ8%のマイナスが発生している一方で、9.69%のプラスとなっている時期もあり、年率リスクが高くなるほど値動きが激しいことが分かります。また、THEOではdocomoと連携した「THEO+docomo」というサービスがあり、資産運用と同時にdポイントを貯めることができます。
THEOを始める
THEO+ docomoを始める
参考:2018年10月までの実績に関して(THEO公式サイト)
楽ラップ
楽天証券が提供するロボアドバイザーサービスです。楽天証券の証券口座を保有していないと利用することができません。以下の利回りの実績は、2016年の7月4日から楽ラップにて投資を開始し、2018年10月16日時点での口座内資産額と比較して算出された数値です。
年率リスク | 年平均利回り | 最高運用実績(月) | 最低運用実績(月) |
4.7%~7.3% | 1.32% | 0.86% | −0.98% |
6.2%~9.9% | 3.79% | 1.41% | −1.62% |
7.8%~12.8% | 6.40% | 1.99% | −2.31% |
9.4%~15.8% | 9.27% | 2.71% | −3.00% |
11.2%~19.1% | 11.21% | 3.17% | −3.53% |
6.2%~9.9% | 3.44% | 1.38% | −1.62% |
7.8%~12.8% | 5.63% | 1.82% | −2.31% |
9.4%~15.8% | 8.58% | 2.70% | -2.99% |
11.2%~19.1% | 10.44% | 3.20% | -3.53% |
2016年7月から2018年10月までのおよそ2年間で各プランともプラスの運用実績を得ていることが分かります。また、楽ラップでは楽天ポイントを使用して投資信託を購入することができる便利なサービスがあります。
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参考:運用状況(楽天証券株式会社公式サイト)
マネラップ
マネックス証券が提供するロボアドバイザーサービスです。マネラップでは、期待リスクと期待リターンという2観点から運用コース(ファンド)がAからHまでに分けられています。期待リスクやリターンはファンドの資産配分比率や各資産の期待リスク・リターン、相関などを考慮して算出されています。
ファンド名 | 年平均利回り | 最高運用実績 | 最低運用実績 |
Aコース | -2.58% | -1.60% | -4.68% |
Bコース | -3.22% | -1.34% | -4.44% |
Cコース | 0.19% | -0.88% | -3.94% |
Dコース | 1.47% | -0.42% | -3.86% |
Eコース | 2.82% | −0.19% | −4.63% |
Fコース | 4.16% | −0.63% | −5.59% |
Gコース | 5.14% | −1.24% | −6.61% |
Hコース | 6.17% | −1.76% | −7.59% |
Aコースは期待リターン・リスクが1番低く、Hコースは期待リターン・リスクが1番高くなっています。運用プランによっては、最低運用実績がおよそ7%マイナスになっている場合がある一方で、年の平均利回りはプラス6%を超えるものもあります。
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参照:運用実績情報開示(2018年10月末時点) (マネックス・セゾン・バンガード投資顧問株式会社公式サイト)
その他の主な比較例
各ロボアドバイザーの年の平均利回りを確認しました。ここからはロボアドバイザー選びの際に運用利回り以外の点で着目したいポイントを説明します。資産形成を目的に投資を行うため、運用実績や実際の利回りも非常に重要なポイントですが、利回りや実績だけで利用するロボアドバイザーを選択すること利用開始後に思わぬデメリットを被る可能性があります。
以下の項目についてもロボアドバイザーごとに確認したうえで利用するロボアドバイザーを選択していきましょう。
手数料
ロボアドバイザー選びの際のポイントの1点に手数料があります。
ロボアドバイザーは基本的に長期投資を目的に作成されています。そのため、手数料の差が少ない場合でも、長期的にロボアドバイザーを利用して運用を行うことで結果的に引かれた手数料に大きな差が発生する可能性があります。投資家自身が得ることができる利益に直接影響があるため、できるだけ手数料が安いロボアドバイザーを選択して無駄な投資コストを削減することが大切です。
ロボアドバイザーの手数料は高い?手数料の種類とロボアドバイザー7種類の手数料を比較
最低投資額
ロボアドバイザー選びのポイントの2点目として、最低投資額があります。最低投資額とは、ロボアドバイザーを通じた投資を行うことができる投資資金の最低金額のことです。最低投資額が安いことで、まとまった投資資金を用意することが難しい投資家の場合、大きなメリットとなります。
例えば、THEO(テオ)では1万円が最低投資可能額として設定されており、少額投資が可能となっています。また、THEOではdocomoと提携して「THEO+docomo」というサービスを配信しており、資産運用とともにdポイントを貯めることができます。
アプリの有無
次に、ロボアドバイザーをアプリから利用可能かどうかというポイントがあります。ロボアドバイザーがアプリにて利用可能となることで、スマートフォンでのロボアドバイザー利用に大きなメリットとなります。
スマートフォンはパソコンに比べて画面が小さく、使い勝手が良いとは言えません。そのため、スマートフォンからインターネット接続を行うこともできますが、専用アプリがあることでより便利にロボアドバイザーを利用して資産管理を行うことができます。
機能
ロボアドバイザー選びのポイントの4点目に、ロボアドバイザーに搭載されている機能があります。
各ロボアドバイザーには独自の便利機能が搭載されているものが少なくありません。例えば、WealthNavi(ウェルスナビ)には「DeTAX(デタックス)」と言われる独自機能が搭載されています。これは、自動である一年間資産運用を行うことで支払いの必要がある税負担の一部または全部を翌年以降に持ち越すことができる税金最適化機能と言われるものです。このような節税に関する便利機能は他ロボアドバイザーにはなく、WealthNaviを使用する投資家のみが利用可能な非常に便利な機能です。
利回りを参考に、ロボアドバイザー選びを行いましょう
ロボアドバイザーの利回りの概要と、実際の利回りを運用実績から比較しました。ロボアドバイザーごと、運用プランによって同じ期間の運用でも運用実績は大きく異なります。ロボアドバイザー選びの際には利回りや実績だけではなく、利用時にかかる手数料や搭載されている機能、アプリからの利用が可能かどうか、最低投資額などに着目して、総合的に利用するロボアドバイザーを判断することが大切です。
ロボアドバイザー投資は投資の時間と手間が短縮され、投資知識がなくても誰でも簡単に始めることができる一方で、高い手数料や投資スタイルが限られるなどの難点があります。投資であることからもちろん元本割れリスクも潜んでいます。メリットとデメリット、リスクを理解した上で自身の資産形成にロボアドバイザーを活用していきましょう。