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株の売買取引にかかる税金とは?所得税・住民税の計算方法と、節税対策を解説。

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株取引の税金について解説します。株取引を行うことで発生する所得税や住民税と計算方法、確定申告手続きの手間が異なる証券口座の種類と、節税対策として有効な方法も説明します。株取引を行う際に税金の知識は最低限必要となるため、きちんと理解して自身の投資に役立てていきましょう。

株取引の税金について調べられたパソコンの画像

株式取引で発生する税金とは

株式取引の際に発生する税金を解説します。株式投資では利益が発生した場合に税金がかかり、保有株式を売却することでかかるもの、配当金を受取ることでかかる二種類の税金があります。

  • 譲渡益課税
  • 配当課税
  • 仕組みを知らずに納税を忘れることで脱税となる可能性があるため、きちんと理解してから株式の売買取引を始めていきましょう。

    参考:株式・配当・利子と税 (国税庁公式サイト)

    売却益に対する税金

    株式の売却益(*1)に対してかかる税金を「譲渡益課税」と言います。証券口座での保有株式を売却することで、株式の購入価格よりも高値で売れた場合に差額が譲渡益となります。

    (*1:キャピタルゲインと言われます。)

    参考:キャピタルゲイン(キャピタルゲイン) (SMBC日興証券株意識会社公式サイト)

    税率

    譲渡益課税は、年間の株式取引の利益総額に対して20.315%かかります。これは、所得税と住民税を足した税率です。

    ・所得税:15.315%(*1)
    ・住民税:5%

    (*1:復興支援特別所得税として、平成25年から所得税に0.315%が上乗せされています。)

    参考:No.2507 復興特別所得税の源泉徴収 (国税庁公式サイト)

    計算方法

    譲渡益課税は、株式の売却益から購入時にかかったお金と売却の際にかかった手数料を引いた、投資家が実際に得ることのできる利益に対して20.315%がかけられます。

    売却金額ー購入金額(株式購入価格+購入手数料)ー売却手数料=利益
    利益×20.315%=譲渡益課税額

    例えば、売買手数料が270円の証券口座にて1,000円の株式Aを500株で購入し100万円で売却した場合の利益額は、以下のようになります。

    100万円ー(1,000円×500株+270円)ー270円=499,460円
    499,460(利益)×20.315%=101,465円

    このケースでは、101,465円が譲渡益課税として利益総額から差し引かれることとなります。

    また、売却手数料300円、購入手数料が250円の証券口座にて2,000円の株式Bを100株購入し、50万円で売却した際には譲渡益課税額は以下のようになります。

    50万円ー(2,000円×100株+250円)ー300円=299,450円
    299,450円×20.315%=60,833円

    60,833円が譲渡益課税として299,450円の利益から引かれます。

    参考:株式等の譲渡益の計算方法を教えてください。(SBI証券株式会社公式サイト)

    配当に対する税金

    保有株式の配当に対してかかる税金のことを、「配当課税」と言います。ここからは、配当課税の税率と計算方法を解説します。保有株式から配当があった場合には必然的に必要となる税金ですので、きちんと理解しておきましょう。

    税率

    配当課税は、保有株式が上場しているかどうかで税率が異なります。

    保有株式の発行会社が上場企業であれば、売却益と同様に所得税と住民税を足した20.315%が配当金に対して課税されます。一方、非上場株式の配当金に対しては、住民税がかからず合計で20.42%(*1)が税金として差し引かれます。

    (*1:所得税15%と、基準所得税に対する2.1%の復興特別所得税です。)

    参考:個人の方に係る復興特別所得税のあらまし (国税庁公式サイト)
    参考:No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得) (国税庁公式サイト)

    計算方法

    株式の配当金額に対して、株式が上場しているかに応じた税金がかかります。

    配当金額×(20.315%もしくは20.42%)=配当課税額

    1万円の配当金を受け取った場合の、それぞれの税額を計算してみましょう。

  • 上場株式の場合:1万円×20.315%=2,031円
  • 非上場株式の場合:1万円×20.42%=2,042円
  • 参考:No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得) (国税庁公式サイト)

    株式投資の税金計算に重要な口座選択

    税金計算を考慮した証券口座選びの際に役立つ情報を説明します。株式投資の税金計算は証券口座の種類によって大きく異なるため、開設する証券口座の種類選びは非常に重要です。きちんと仕組みを理解したうえで証券口座を開設しましょう。

    計算を複雑にする手数料

    証券口座から株式売買取引を行う際の手数料を解説します。株式投資では株式の売買を行う際に証券会社へ手数料を支払う必要があり、手数料の金額は証券会社ごとに異なります。また、取引手数料は一円単位で細かく設定されていることが多く、税額計算を複雑にする傾向が強いです。

    購入時の手数料

    株式の購入を証券会社へ委託することでかかる手数料です。株式を購入したい場合には、証券会社に対して購入注文を出して株式の買付けを行うこととなります。そのため、委託手数料を証券会社に支払う必要があります。

    売却時の手数料

    保有株式を売却する際にかかる手数料です。買付け時と同様に、株式売却注文を証券会社に出すことで注文を約定(*1)させることができるため、仲立ち料として手数料を支払う必要があります。

    (*1:注文が成立することです。)

    参考:約定(やくじょう) (SMBC日興証券株式会社公式サイト)

    口座の種類

    証券口座三種類と、上述の税金はいつ支払うのかを解説します。

    1. 特定口座の源泉徴収あり
    2. 特定口座の源泉徴収なし
    3. 一般口座

    開設する証券口座の種類によって確定申告の手続き方法や手間が異なりますので、きちんと確認して賢い株式投資を行っていきましょう。

    1.特定口座の源泉徴収あり

    特定口座の源泉徴収ありを選択した場合、投資家が年末に確定申告を行う必要はありません。源泉徴収とは、課税対象金額が発生した際に、事前に税金が引かれる仕組みです。株式売却益が発生した際や配当金の受取り時には毎回税金が差し引かれて投資家へ支払われることとなります。そのため、年末の確定申告にて再度納税手続きを行う必要はありません。

    特に投資初心者は脱税の心配がなくなるため、特定口座の源泉徴収ありを選択することがおすすめです。ただし、サラリーマンは給与所得以外の年間収入が20万円以下の場合には納税の必要がないにも関わらず、源泉徴収にて毎回課税されるため、必要のない税金を納めることとなる場合があります。自身の投資スタイルを考慮したうえで開設する証券口座を選択することが大切です。

    2.特定口座の源泉徴収なし

    特定口座の源泉徴収なしでは、投資家が年末に確定申告にて納税手続きを行う必要があります。ただし確定申告の際に必要となる、一年間の投資取引額の算出は証券会社が行ってくれるため、投資家はその書類(*1)を参考に確定申告を行うことができます。

    また、納税が不要となる年間の投資利益が20万円以下のサラリーマンの場合にも、特定口座の源泉徴収なしを選択することで投資家自身が納税手続きを行うこととなり、不必要に納税してしまう可能性がなくなるメリットがあります。

    (*1:「特定口座年間取引報告書」と言われる書類が、証券会社にて作成されます。)

    参考:確定申告が必要な方(国税庁公式サイト)

    一般口座

    一般口座では、年間の投資損益の算出から確定申告、納税までの一連の手続きを全て投資家が行う必要があります。

    年間の投資損益の計算は、取引ごとに購入価格・売却価格を記録しておくことや毎回の手数料などを一から計算する必要があり、非常に手間がかかるデメリットがあります。しかし一方で、年間の投資利益が20万円以下のサラリーマンの場合には、源泉徴収にて自動的に税金が引かれる心配がないため、お得に投資を行うことが可能となります。

    特定口座の源泉徴収ありでも確定申告をすべき場合

    基本的に確定申告が不要な特定口座の源泉徴収ありを選択した場合でも、確定申告を行うことで投資家の得となることがあります。確定申告は一年間の税金を支払う目的で行なわれますが、払いすぎた税金を取り戻すことができる場合があり、以下のパターンに該当する場合には確定申告を行うことで税金が戻ってくる可能性があります。

    所得控除の範囲内の利益の場合

    年間の株式取引の売却益が所得控除の対象内であれば、特定口座源泉徴収ありの場合でも確定申告を行うことで払いすぎた税金を取り戻すことができます。所得控除とは、年間の所得額から一定金額を差し引いて所得税額を下げる制度で、扶養に入っている投資家などが該当するケースです。

    パートなどの収入がない専業主婦投資家の場合には、年間で38万円以下の投資利益額であれば所得控除の適用を受けることができます。例えば、特定口座源泉徴収ありを利用して専業主婦が株式取引で年間に30万円儲けた場合、既に源泉徴収にて納税は完了していますが本来ならば納税の必要がないため、確定申告を行うことで税金を取り戻すことが可能となります。

    複数の証券会社で口座を保有して損失が出た場合

    複数の証券口座の年間の損益を合算し、結果的に損失となった場合に確定申告を行うことで税金を取り戻すことができます。

    基本的に、株式取引を行った際の損失には税金がかかりません。しかし、ある証券口座で利益が発生し一方でその利益額を超える損失を他の証券口座にて抱えていた場合には、結果的に損失状態にあるにも関わらず納税してしまっていることとなります。そのため、確定申告を行うことで利益が発生した証券口座から自動的に引かれた税金が戻ってきます。

    損失の繰越控除をする場合

    年間の株式取引から発生した損失を繰越控除する際に確定申告を行うことで、翌年以降に利益が出た際にその分を控除することができるため、節税対策となるメリットがあります。

    繰越控除とは、株式投資から発生した損失を翌年以降に繰り越すことができる制度です。例えば、2015年の株式投資にて50万円の損失が生じた場合に繰越控除を行ったとすると、2016年から2018年の株式取引の売却益の総額から損失分50万円を引いて、結果的に譲渡益課税額を下げることが可能となります。

    株式投資の税金が高いと感じる場合の税金対策

    株式投資の税金の節税対策を解説します。株式取引の売却益に対してかかるおよそ20%の税金は、高いと感じる方も少なくないと思います。少しでもお得に株式投資を行うために、節税対策をしっかり理解しておきましょう。

    利益が20万円以下であれば源泉徴収なし

    株式投資によって得られる利益総額が、年間で20万円以下の場合には納税が不要となります。そのため、年間の投資利益を20万円以下に抑えられるようにコントロールして投資を行うことで、無駄な投資コストを抑えることができます。

    NISA(ニーサ)を活用

    NISA(ニーサ)を活用することで、節税対策を講じる方法があります。NISAとは、一定金額・期間内で行った投資の利益を非課税にて受け取ることができる税制優遇制度です。以下より概要を解説します。

    NISA(ニーサ)とは

    2014年に始まった、投資の利益を非課税にて受け取ることができる制度です。非課税適用を受けることができる投資利益には条件があり、一般NISA(*1)の場合には年間で120万円以内の資金(*2)から行った投資の利益であることが条件となります。また、最大で5年間の非課税期間が設定され、期間内でNISA口座から行った投資の利益であれば上限なく非課税にてそのまま受け取ることが可能となります。

    (*1:NISAには一般・ジュニア・積立の3種類があります。)
    (*2:非課税枠と言われます。)

    参考:NISAとは? (金融庁公式サイト)
    NISAとは?初心者でも分かるNISA解説。種類と運用時の注意点

    メリット

    NISA(ニーサ)制度を利用することで、投資家は投資の利益を非課税にて受け取ることができるメリットがあります。

    通常証券口座では利益に対して20.315%の税金がかかりますが、NISA口座では税金がかかりません。例えば、年間でNISA口座から行った投資で100万円の利益が生じたとすると、203,150円が税金として引かれ、投資家の手元には796,850円しか残りません。そのため、NISA口座を利用することで大きな非課税メリットを享受することが可能となります。

    デメリット

    NISA口座では、損益通算や繰越控除を行うことができないデメリットがあります。損益通算や繰越控除は、通常証券口座にて損失が発生した際の投資家保護を目的とした制度ですが、NISA口座では行うことができません。そのため、NISA口座にて行った投資の損失は投資家がそのまま負担することとなり、大きなリスクがあります。

    手数料が低いおすすめの証券会社

    ここからは、手数料が低い証券会社をご紹介します。投資コストを抑えようと思った際に、手数料は大きな要因となります。1取引の手数料の差がそこまで大きくなくても何度も取引することで結果的に大きな差となることがあり、証券口座開設前にきちんと確認しておくことが大切です。

    SBI証券

    日本国内のネット証券会社の最大手で、証券口座開設数でトップを誇ります。手数料は1取引ごとにかかるスタンダードプランと、一日の合計約定代金に応じて手数料がかかるアクティブプランの2種類から自由に選択することができます。

  • スタンダードコース
  • 1注文の約定代金 手数料
    5万円以内 50円(税込54円)
    10万円以内 90円(税込97円)
    20万円以内 105円(税込113円)
  • アクティブプラン
  • 一日の約定代金総額 手数料
    10万円以内 0円
    20万円以内 191円(税込206円)
    30万円以内 286円(税込308円)

    5万円以内の売買取引であれば、54円の手数料にて行うことができるため、非常にお得な仕組みとなっています。SBI証券の手数料はネット証券業界で最高水準を誇り、手数料の安さにこだわりたい場合には見逃せない証券会社です。

    SBI証券株式会社公式サイト

    楽天証券

    楽天グループのネット証券会社です。楽天証券では、手数料コースを1取引ごとに手数料がかかる場合と、一日の約定代金の総額に対してかかるコースの2種類から選択することができます。

  • 超割コース
  • 1取引ごとに手数料がかかるコースです。

    1注文の約定代金 手数料
    5万円以内 50円(税込54円)
    10万円以内 90円(税込97円)
    20万円以内 105円(税込113円)
  • いちにち定額コース
  • 一日の約定代金総額 手数料
    10万円以内 0円
    20万円以内 191円(税込206円)
    30万円以内 286円(税込308円)

    SBI証券と同じ手数料となっており、楽天証券も業界最高水準の手数料の安さを誇ります。また、手数料の1〜2%がポイントとして投資家にバックされ、その後の他金融商品の新規買付けや楽天グループ内で利用することができるメリットがあります。

    楽天証券株式会社公式サイト

    マネックス証券

    マネックス証券では、取引毎手数料コースと一日定額手数料コースの2種類から投資家が自由に手数料コースを選択することができます。

  • 取引毎手数料コース
  • 1注文の約定代金 手数料
    10万円以内 100円(税込108円)
    20万円以内 180円(税込194円)
    30万円以内 250円(税込270円)
  • 一日定額手数料コース
  • 1日の約定代金総額 手数料
    300万円以内 2,500円(税込2,700円)
    600万円以内 5,000円(税込5,400円)

    マネックス証券の一日定額コースでは、300万円単位で手数料が異なることとなります。1日で高額取引を行う場合に非常にお得です。

    マネックス証券株式会社公式サイト

    松井証券

    老舗のネット証券会社です。松井証券では、一日の約定代金の総額に応じて手数料が異なる手数料体系となっています。

    一日の約定代金総額 手数料
    10万円以内 0円/td>
    30万円以内 300円(税込324円)
    50万円以内 500円(税込540円)

    松井証券では、一日の取引総額が一定範囲内であれば何回取引を行っても手数料は変わりません。また、上述の手数料は国内株式だけでなくETFなどほか商品ついても同様となっています。

    松井証券株式会社公式サイト

    カブドットコム証券

    三菱UFJフィナンシャル・グループのネット証券会社です。カブドットコム証券では、1取引毎に手数料が発生することとなります。

    1注文の約定代金 手数料
    10万円以内 90円(税込97円)
    20万円以内 180円(税込194円)
    30万円以内 250円(税込270円)

    カブドットコム証券の手数料は、ネット証券業界の最高水準を誇ります。ただし、上述の手数料はインターネット経由で注文を行った場合の手数料となっており、電話から注文を行った際には10万円以下の投資で最大で2,090円(税抜)の手数料がかかる場合があります。

    カブドットコム証券株式会社公式サイト

    株式投資における税金についてきちんと理解して、自身の投資に役立てていきましょう

    株式投資の税金について解説しました。株式投資を行うことで、保有株式の売却益と、配当金に対して課税されることとなり、証券口座の種類によっては年末に自身で納税額を計算し、確定申告を行う必要がある場合があります。一方で本来確定申告が必要ない場合でも、払いすぎた税金を取り戻すことができる場合があります。

    さらに、証券会社によって売買取引にかかる手数料が異なり、自身の投資スタイルによって最適な証券口座が違います。証券口座開設前にそれぞれの情報を確認してか手続きを行うことが大切です。税金は投資家であれば誰しも知っておく必要がある知識ですので、きちんと理解して賢く投資を行っていきましょう。

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