NISA制度には、「非課税枠」が存在します。
概要や注意点、非課税枠を期間内に上手に使い切るための方法もお伝えします。
非課税枠を上手く利用して効率的に運用を行うためのポイント、さらにおすすめの銘柄も紹介します。
NISA制度の非課税枠について疑問がある方は参考にしてください。
NISAの非課税枠とは
NISAの「非課税枠」とは何なのでしょうか。
NISAの年間及び累計の上限非課税枠
NISAでは、非課税となる対象の利益に関して条件があります。
この金額が「非課税枠」と言われ、1年で120万円以内の投資から生じた利益が非課税の対象となります。
効果的に非課税枠を使い切るには
少しでも売買からの利益を増やすために年間の上限額を綺麗に使い切り、効率的に運用を行うためのポイントをお伝えします。
少額投資でも複数に分ける
非課税枠は1度しか使うことができません。
1度売却してしまった分の価格はその年の非課税枠からもう使うことは不可能です。
そのため、120万円のお金を投資に使う必要はありません。
少額投資を繰り返し行うことで、120万円の非課税枠を使うことができます。
例えば、1ヶ月10万円にて株式売買を毎月繰り返すことで、ぴったり120万円の投資枠を使い切ることも可能です。
しかし、この方法では毎月売買が行われるため、手数料が毎回かかってしまうので注意が必要です。
長期投資向けの銘柄に一括投資
120万円分を一括投資することで非課税枠を使い切ることも可能です。
上昇率の高い株などをNISAから購入することで、高額な利益を非課税で得ることができます。
非課税枠を超えるとどうなる?
年間のNISAでの投資可能額を使い切り、上限を超えた場合には、特定口座や一般口座(*1)での取引となります。
(*1:通常の証券口座。確定申告の手続きによって異なる。)
参考:購入金額がNISA非課税枠上限120万円を超えた場合[三井住友銀行公式サイト]
NISAの非課税期間
NISAの非課税期間は、最大で5年となっています。
NISA口座を開設し、金融商品を購入した時点の年から5年後の年末までという数え方になります。(*1)
また、投資可能期間として制度自体の期間も限定されています。
一般NISAは2023年までのサービス期間となっており、2018年内に口座開設・商品購入を行うことで、最大限の非課税期間の恩恵を受けることが可能です。
(*1:購入が1月でも12月でも、2018年であれば2018年の投資として扱われます。)
(*1:ジュニアNISAは2023年まで、積立NISAは2037年まで。)
参考:投資可能期間(口座開設期間)[金融庁公式サイト 用語集]
非課税枠の残りは繰越できない
非課税枠は翌年に繰り越すことができません。
1年目に使い切れなかった非課税枠があった場合でも、年が変わってしまうと翌年はまたゼロからになります。
非課税期間の間は毎年120万円の非課税枠が更新されます。
非課税枠の再利用はできない
非課税枠は1度しか使うことができません。
1度NISAから商品を購入し、売却してしまうとその分の非課税枠は使うことができません。
非課税期間が終了したら?
5年の非課税期間が終了した時は、状況に合わせて3つの選択肢から対応することができます。
NISA利用から5年後の対応を解説。手続きやロールオーバーについて
ロールオーバー
「ロールオーバー」とは、非課税期間の延長です。
非課税期間の終了時に新たなNISA口座を開設し、そこへ保有資産を移管する方法です。(*1)
新たなNISA口座にて継続してさらに5年、投資を行うことができます。
非課税期間の延長に加えて、1,200万円分の非課税枠が累計で利用可能になります。(*2)
手続きの期限が証券会社ごとに設定されているので、確認が必要です。
(*1:保有資産は上限なく全て移管することが可能です。)
(*2:1年120万円[非課税枠]×10年[ロールオーバーによって+5年]=1,200万円)
売却
非課税期間の終了までに、保有資産を全て売却する方法です。
NISA口座からの売却になるので、利益には税金はかかりません。
売却によって得られるお金は指定口座へ振り込まれます。
課税口座に移管
課税口座とは、一般の証券口座です。
NISA口座の非課税期間の満了前に、何も手続きを行っていない場合も、自動的に課税口座へ移管されます。
課税口座へ移管した際の価値が引き継がれるため、損失がある場合には注意が必要です。
配当金(分配金)への課税
配当金や分配金については、NISAから購入したものでも受け取り方法によって課税対象となることがあります。
証券口座で受け取り
資産を保有している証券口座から配当金・分配金を受け取る方法です。(*1)
配当金・分配金が非課税となる唯一の方法になります。
預けている資産の数量によって各証券口座へ自動的に振り込まれます。(*2)
(*1:株式数比例配分方式と言われます。)
(*2:同一銘柄を他証券口座で保有していた場合は、保有株数に応じて入金されます。)
銀行口座で受け取り
証券口座以外の指定口座へ振り込んでもらう方法です。(*1)
この方法ではNISA口座から購入した商品の配当金・分配金は非課税になりません。
受け取りの際に、源泉徴収された金額を受け取ることになります。
(*1:登録配当金受領口座方式・個別銘柄指定方式と言われます。)
郵便局での受け取り
ゆうちょ銀行、もしくは郵便局に「配当金領収証(*1)」を持参して受け取る方法です。(*2)
この方法による受け取りも、非課税の対象にはなりません。
配当金や分配金が発生した場合に、投資家へ「配当金領収証」が送付される仕組みです。
(*1:株主の配当金の受領事実を証明するための証書。)
(*2:配当金領収証方式と言われます。)
参考:配当金等受取方式に関する注意事項[日本証券業協会公式サイト]
NISA口座におすすめの銘柄
NISA口座から運用を行う際に、どのような銘柄を買うと効率的に運用を行うことができるのでしょうか。
具体的なおすすめの銘柄を3つ紹介します。
積水ハウス(1928)
住宅メーカーで、安定した業績を誇ります。
配当利回りは4%超えとかなり高いです。
優待(*1)については利回りが0.15%と低めです。(*2)
(*1:株主優待のことです。)
(*2:2018年10月16日時点。)
オリックス(8591)
様々な金融サービスを多岐に渡って提供する企業です。
海外にも多く事業展開しています。
配当利回りは3%台後半とこちらも高めです。
優待はカードによる割引などのサービスを受けることができますが、利回り自体はあまり高くありません。
大和証券G本社(8601)
配当利回りがこちらも4%を超え、非常に高いです。
NISAのメリットを最大限享受することができます。
さらに、高配当に加えて優待も保有株式に応じて受けることができます。
優待利回りが0.61%と比較的高いです。(2018年10月16日時点)
参考:株主優待[大和証券G本社公式サイト]
優待銘柄は基本的に配当利回りが低い傾向にあります。
優待については通常の証券口座でも税金がかからず、NISAでの非課税メリットを最大限享受することができにくいです。
配当利回りを参考にして、銘柄を選ぶのもひとつポイントかもしれません。
資金が少ない場合は積立NISAも
投資資金があまり用意できない場合には、少額投資向けの「積立NISA」の利用も可能です。
年間及び累計の非課税枠
積立NISAでは、年間の非課税枠は40万円で、非課税期間は20年です。
累計の非課税枠は800万円です。
積立期間
積立期間は20年です。
NISAにおすすめの証券会社
NISA口座の開設におすすめの証券会社をご紹介します。
SBI証券
日本国内で最大手のネット証券会社です。
・国内株式売買・海外ETF(*1)買付け手数料が無料
・投資信託の取扱本数:2,550本以上(*2)
・IPO株(*3):対応(*4)
(*1:上場している投資信託。)
(*2:2018年10月9日最新。買付手数料無料は1,250本。)
(*3:新規上場株式のこと。事前の抽選で上場前の購入が可能。)
(*4:75社以上の銘柄)
楽天証券
SBI証券に次ぐ、ネット証券会社です。
・国内株式売買・海外ETF買付け手数料が無料(*1)
・投資信託の取扱本数:2,659本(*2)
・IPO株:非対応(*3)
(*1:キャッシュバックによって手数料が実質無料となっています。)
(*2:2018年10月15日最新。買付手数料無料は1,337本。)
(*3:通常証券口座であれば対応しています。)
松井証券
・株式売買手数料が無料(*1)
・投資信託の取扱本数:144本(*2)
・IPO株:対応(*3)
積立NISAでは、ETFの取扱いがないので注意が必要です。
(*1:インターネット経由の場合は無料です。)
(*2:2018年10月16日最新。委託手数料もインターネット経由の場合のみ無料。)
GMOクリック証券
・取引手数料は全て無料(*1)
・投資信託の取扱本数:110本(*2)
・IPO株:対応
(*1:国内株式もしくは投資信託のみの取扱で、それらの取引手数料がかかりません。)
(*2:2018年10月16日最新。)
マネックス証券
・国内株式売買手数料・米国/中国株式買付け時取引手数料が無料(*1)
・投資信託の取扱本数:1100本以上(*2)
・IPO株:対応
米国株については3,000以上の銘柄、中国株も香港市場のほぼ全ての銘柄から選んで投資することができます。
(*1:米国/中国株式については、キャッシュバックによって実質無料。)
(*2:2018年10月16日最新。プログラムによっては、申込手数料が実質無料になります。)
マネックス証券[NISA・積立NISA]
NISAの非課税枠の仕組みを理解し、効果的な運用を進めていきましょう
利益に対して非課税という大きなメリットがあるNISAの仕組みをよく理解して、非課税枠内での投資から効率的に運用を初めていきましょう。