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NISA(ニーサ)非課税期間の終了時期は?5年後の対応と注意点を解説

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運用益が非課税となることで注目されているNISA(ニーサ)ですが、現状の税制度では非課税期間が有期となっています。ここではNISAの非課税期間が終了した際の対応方法やいつまで制度が続くのかを知りたい方向けに、対応方法や注意点を解説します。NISAと積立NISAでは制度の施行期間や非課税期間終了時の対応に違いがあり、期間終了時の保有資産によって、ベストな対応は異なります。期間終了時に最適な選択ができるように、自身の保有資産の状態に合わせた対応方法、注意点を解説していますので、期間終了前にしっかり読んで理解しましょう。

NISAの終了時期を表す時計の画像

NISA(ニーサ)の非課税期間終了時期とその後の対応方法

2013年に始まったNISA(ニーサ)制度は、2018年の年末に初めて5年の非課税期間が終了します。非課税期間終了に伴って、NISA口座を利用する投資家はどのような対応を取るべきなのでしょうか。ここでは、一般NISA口座・積立NISA・ジュニアNISAの3種類について、口座開設期間と非課税期間を比較し、非課税期間終了後の対応とそれぞれのメリット・デメリットを説明します。自身の保有資産と開設しているNISA口座に合わせて最適な方法を選択していきましょう。

口座開設期間

口座開設期間とはNISA口座の新規開設が可能な期間のことで、制度自体の施行期間を表しています。この口座開設期間は、3種類あるNISAごとに決められています。

  • 一般NISA:2023年まで
  • 積立NISA:2037年まで
  • ジュニアNISA:2023年まで
  • 一般・ジュニアNISAは2023年内の口座開設まで、積立NISAでは2037年内の開設分までは税制優遇を受けることができます。それぞれのNISAはいつまで利用できるのか、終了時期をきちんと確認しておきましょう。

    参考:NISAとは[金融庁公式サイト]

    非課税期間

    非課税期間とは、NISA利用によって実際に非課税メリットを享受することができる期間です。非課税期間も、それぞれのNISAで違いがあります。この期間は、NISA口座からはじめて投資を行った年から数えられます。例えば、2018年の1月に購入した場合と、同年の12月に購入した場合、どちらの場合も同年内であればその年から5年後の2023年の年末には非課税期間が終了します。(*1)

  • 一般NISA:最大5年間
  • 積立NISA:最大20年間
  • ジュニアNISA:最大5年間
  • (*1:同年内であれば、終了時期は一緒です。この数え方から「最大で」という表記になっています。)

    非課税期間終了時の対応

    非課税期間終了に伴って、NISA利用者は3点から対応を自由に選ぶことができます。

    1. ロールオーバー
    2. 売却
    3. 課税口座へ移管
    4. 積立NISAへ移行

    以降に、3点についてそれぞれのメリット・デメリットを解説していきます。NISA口座の種類に関わらず、非課税期間終了時にはこの3点からから対応を選択していくことになります。それぞれの対応をきちんと確認しておきましょう。

    NISA利用から5年後の対応を解説。手続きやロールオーバーについて

    1.ロールオーバー

    ロールオーバーとは、非課税期間終了時に新たなNISA口座を開設し、そちらに保有資産を移管する仕組みです。移管先のNISA口座の非課税期間を適応し、非課税期間を延長することができます。非課税期間が最大で10年間となる可能性(*1)もあり、非常に便利な方法ですが、積立NISAでは行うことができません。ロールオーバーの申請期限は金融機関によって異なるため、NISA口座の金融機関の情報を確認しておくことが大切です。

    [例]
    2013年にNISA口座を開設、投資を開始
    2018年末に5年の非課税期間が終了するケース

    このケースでのロールオーバーは、2019年のNISA口座へ資産を移すことです。

    (*1:前NISA口座での5年+新たなNISA口座での5年=10年)

    参考:非課税期間終了時のご注意[日本証券業協会公式サイト]

    NISAのロールオーバーとは?概要やデメリットと上限撤廃のメリットを解説

    2.売却する

    売却とは、非課税期間内に保有資産を全て売却する方法です。売却によって得られるお金は、指定した金融機関口座へ振り込まれることになります。この際に注意すべき点は、東京証券取引所のその年の最終営業日までに売却を完了することです。その非課税期間終了の年によって曜日などの関係で最終日は異なりますので、逐一確認しておきましょう。(*1)

    (*1:海外取引所によって、クリスマス休暇なども考えられます。資産の受渡日等も考慮しておきましょう。)

    3.課税口座に移管する

    「課税口座への移管」とは、通常の証券口座(*1)へ保有資産を移管する方法で、移管時の資産価格で課税口座へ移管されます。非課税期間の終了時まで何も手続きを行わなかった場合も自動的に課税口座へ移管されます。

    (*1:一般口座、もしくは特定口座2種のどれか。)

    参考:NISAのポイント[金融庁公式サイト]

    4.積立NISAへ移行

    現行の一般NISA口座から積立NISA口座(*1)へ移行する方法です。積立NISAへ移行することでさらに20年、非課税期間内で税制優遇を受けながら投資を行うことができます。ちなみに、積立NISA口座への移行は可能ですが、資産移管は行うことができないため、上述の売却もしくは課税口座へ移管した後に新たな積立NISA口座から新規買付けを行う必要があるため注意が必要です。

    (*1:一般NISAよりも長期・少額・分散投資を目的としたNISA制度です。)

    参考:つみたてNISAの概要[金融庁公式サイト]

    非課税期間終了後の注意点

    非課税期間終了に伴い、上述の3種から対応を選択することができますが、理解しておくべき注意点があります。理解しておかないと、損失が発生することになるものもありますので、しっかり確認しておきましょう。

    含み損が出ていた場合

    最も注意すべきは、非課税期間終了時に、保有資産に含み損(*1)が出ていた場合です。この場合に、「課税口座へ移管」をすると、大きく損失を被る可能性があります。少し複雑になるので、具体例を上げて説明していきます。

    [例]NISA口座から株式Aを100万円で購入したケース
    ・非課税期間終了時の時価:80万円
    移管時の時価で資産が課税口座へ移管されます。(*2)

    ・その後、株式Aが90万円へ値上がりした時点で売却
    80万円の株式Aについて、10万円の利益
    →利益に対して20.315%(*3)が課税されます。

    結果的に、当初100万円であった株式を90万円で売却したので10万円のマイナスですが、課税口座への移管によって本来の価値以下のものとされてしまい、税金も取られてしまいます。非課税期間終了時の自身の資産状態と、今後の値動きを考慮して移管の判断をすることが大切になります。

    (*1:売却前の保有資産が損失の状態にあること。)
    (*2:これ以降、株式Aは80万円で購入された株式と扱われます。)
    (*3:所得税15.315%、住民税5%)

    参考:非課税期間終了のお手続きについて[日本証券業協会公式サイト]

    手続きをしないと自動で課税口座に

    非課税期間内に手続きを行わず、5年の期間終了を迎えてしまった場合、自動的に課税口座へ移管されます。上述のように、保有資産がマイナスとなっていた場合に大きく損失を被る可能性もありますので、自身でNISA口座内の状況を確認しておくことが大切です。

    2019年以降の購入分はロールオーバーできない

    2019年以降に一般NISA口座を開設しても、ロールオーバーすることはできません。ロールオーバーは、非課税期間が終了した時点で選択可能となります。NISA制度自体の運用可能期間が2023年までとなっているため、その時点で非課税期間の終了を迎えていないと、ロールオーバーの選択をとることはできません。(*1)

    ロールオーバーを行いたい場合には、2018年内にNISA口座を開設する必要があります。(*2)

    (*1:2018年10月16日現在の税制より。)
    (*2:2023年末に非課税期間が終了し、その後ロールオーバーにて延長が可能になります。)

    参考:平成30年度税制改正要望項目[金融庁]

    NISA(ニーサ)終了時期を理解し、適切な対応を取りましょう

    ここまで、非課税期間終了時の「売却」「課税口座へ移管」「ロールオーバー」の3点をご紹介しました。含み損が出ていることで投資家の負担が大きくなる可能性もあることや、積立NISAへ移行することで税制優遇をさらに享受することができます。NISAの非課税期間終了時の対応をきちんと理解しておくことで、自身の資産を守ることができます。最適な対応は、非課税期間終了時の資産の状態や今後行いたい投資スタイルによっても異なりますので、対策を講じる際の注意点も考慮したうえでベストな対応を取れるよう準備していきましょう。

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