NISA口座を開設したけれど、どのように運用するのが最適なのか分からない、といった投資家のために、NISA口座の賢い使い方をお伝えしていきます。より効率的に運用を行っていきたい投資家のために非課税枠の活用方法もご紹介します。投資初心者に向けて、投資先を選ぶ際のポイントや特におすすめのETFや積立NISAについても解説します。活用方法を知ることで、さらにお得に運用を行うことができ、投資家にとって大きなメリットとなります。きちんと理解して自身の投資に役立てていきましょう。
NISA口座の賢く効果的な使い方
非課税メリットのあるNISA口座は上手に使いこなすことで、効率的に投資利益を得ることができます。
ここからは、非課税枠の賢い使い方など効率的な活用法をご紹介していきます。
NISAとは?初心者でも分かるNISA解説。種類と運用時の注意点
非課税枠の使い方
年間で指定された一定金額内で行う投資から発生する利益が非課税となるNISAでは、この非課税枠を効率的に活用して運用を行っていくことが大きなポイントになります。
一概に「NISA」といっても3種類あり、それぞれの特徴も異なるため、メリットを生かして投資を行うことで通常証券口座よりもお得に運用を行っていくことが可能になります。
非課税枠の効率的な活用方法を2つ、具体的に紹介します。
夫婦や家族で複数口座
NISA口座はひとり1つしか開設することができません。
そのため、夫婦でひとりずつ開設することで非課税枠が2倍になります。
さらに、NISAには、0〜19歳でも開設可能な「ジュニアNISA」があります。
このジュニアNISAの非課税枠は年間80円となっており、夫婦2人での2倍の非課税枠に加えて子どもも開設することで、非課税枠を大きく拡大することができます。
非課税によって投資可能な上限額が増え、最大限税制優遇制度を享受することができるようになります。
10万円程度の銘柄に複数投資
NISAから投資を行う際に大きなポイントとなるのが、非課税枠です。
先程のように非課税枠を拡大して運用を行っていくことも1つの方法ですが、様々な商品へ少額投資することで効率的な運用を行うことも可能です。
少額投資によって幅広く複数銘柄へ投資することで、1銘柄が暴落した際のリスク負担を減らすことができます。
毎月相場状況を見ながら少しづつ投資することができます。
また、最大で毎月10万円を積み立てて投資を行うことも可能になります。
投資対象商品の選び方
では、実際にNISA口座から投資を行う際にはどのように投資先を選んでいけばよいのでしょうか。
一般NISAでは、株式・投資信託など幅広く投資を行うことができ、銘柄数も非常に多いためどこへ投資すべきか迷ってしまうと思います。
そこで、ここからは投資対象商品を選ぶ際に見ておきたいポイントを3つ説明します。
投資対象を選ぶ際には参考にしてみてください。
売却益狙い
NISAでは運用益に税金がかからないという大きなメリットがあります。
つまり、NISA口座での投資から生じる利益が多いほど、NISAのメリットを大きく享受できることになります。
そこで、売却益や値上がり率に着目して銘柄を選択していく方法があります。
また、NISAには5年(*1)の制約があり、長期的な値上がりを視野に入れて銘柄を選んでも、値上がりを長期間待つことができず、利益における非課税メリットは享受しにくくなります。(*2)
さらに、長期的な予測ほど先が読めず、損益通算(*3)の行えないNISAでは、損失が発生した場合に投資家にとって大きな負担となってしまいます。
そのため、NISAにおいては
「1〜2年という短期視点から銘柄を選び、少し値上がりした時点で売却して非課税のまま利益を得る」
ことが最も効率的な運用方法と言えるでしょう。
(*1:一般NISAの非課税期間です。)
(*2:ロールオーバーによって最大10年間待つことも可能です。)
(*3:複数証券口座の利益・損失を合算して、マイナスを相殺することができる制度です。)
配当・優待狙い
NISAでは運用益だけでなく、配当金や株主優待も非課税となります。(*1)
配当利回り(*2)の高い商品を選ぶことで、株投資の利益以外に収入が増え、非常にお得です。
優待利回り(*3)の高い商品であれば、保有している会社やそのグループ会社サービスにて恩恵を受けることや、実際に物品を貰えることもあります。
しかし、配当利回りが高くても、銘柄自体の株価が値下がりしてしまうと、マイナスとなってしまいます。
また、優待利回りが高い銘柄には、代わりに配当が少なくなる傾向が強くなっています。
業績や将来的な値動きも考慮したうえで、利回りも参考にしていきましょう。
(*1:通常証券口座でも、株主優待については税金がかかりません。)
(*2:投資金額に対する1年間の配当金の割合を示す指針です。)
(*3:投資金額に対する1年間の優待の割合です。)
リスクを抑えてコツコツ貯金代わり
投資にリスクは付き物ですが、NISA口座ではできるだけこのリスクを抑えながら運用を行うことも可能です。
低リスクの投資には、「バランス型ファンド」と「投信積立」という2つの方法があります。
・バランス型ファンド
1つの投資信託で様々な資産、銘柄へ投資する投資信託のことです。
投資信託において投資対象は様々な金融商品がありますが、バランス型ファンドではその複数資産を多種多様に組み合わせて構成することができます。
色々な資産へバランスよく投資することで、リスク分散ができ、分散投資を意識的に行わなくてよいというメリットがあります。
・投信積立
投資信託へ毎月定額を積立て投資する運用方法です。
積立が少額からでき、毎月分散して投資が可能なため、自動的にリスク分散が行えます。
また、指定した金融機関の口座から自動的に引き落としによって投資が行われるため、手間も少なくて済むというメリットもあります。
バランス型ファンドや投信積立を活用することで、運用に気を配る必要がなく、手間も減ります。
リスク軽減という点からも、特に株初心者に有効です。
参考:NISAの使い方[金融庁公式サイト]
参考:バランスファンド[三菱UFJ信託銀行公式サイト]
参考:投信積立サービスとは?[楽天証券公式サイト]
初心者におすすめのETF
上場投資信託であるETFは、コスト面と購入タイミングの2つの点から初心者におすすめです。
ETFは、通常投資信託に比べて売買の際にかかる手数料が非常に安いです。
買付け手数料については無料となっている証券会社も多くあり、お得に運用を行うことができます。(*1)
さらに、投資信託は保有している間、信託報酬というお金を払う必要がありますが、これも通常投資信託に比べて安くなっています。
ETFは通常の株式と同様に、証券会社を通して取引所で売買されるため、リアルタイムでの購入も可能となっています。(*2)
(*1:ノーロード投資信託と言われます。)
(*2:取引所の開場時間であればいつでも可能です。通常投資信託の場合は1日1回などの基準価格での売買のみが可能です。)
NISA運用で目安となる2018年
2013年から始まったNISAは、2018年末で初めて非課税期間の終了を迎えることになり、大きなターニングポイントとなっています。
さらにNISA制度自体の施行期間である2023年までも5年ということで、NISAにとって2018年は非常に大きな節目となっています。
2018年のNISAについて。変更点とロールオーバー、買付け期限を解説
配当金の受け取り方法に注意
投資対象を選ぶ際のポイントのひとつでもある「配当金」ですが、受取方法によってはNISAから購入した株式の配当金であっても非課税とならないため、注意が必要です。
受取方法は「株式数比例配分方式」(*1)を選択し、証券口座からの受取りの場合のみ非課税となります。
この他の方法(*2)を選択していた場合には、源泉徴収にて既に税金が引かれた状態で配当金を受け取ることになります。(*3)
(*1:証券会社にてこの方式を選択することで、受取方法を変更することができます。また、他証券口座へも自動的に適用されます。)
(*2:郵便局へ直接書類を持ち込む「配当金領収証方式」と、指定銀行口座にて受け取る「個別銘柄指定方式」があります。)
(*3:確定申告を行っても取り返すことができません。)
参考:NISA口座における配当金等受取方式に関する注意事項[日本証券業協会公式サイト]
投資初心者のための積立NISAの使い方
積立NISAには、一般NISAに比べて長期・分散・積立投資向けに作られたNISAです。
積立NISAでは、投資対象商品が金融庁によって厳選された基準をクリアした投資信託(*1)のみに限られており、運用に詳しくない初心者でも安心して始めることができます。投資先に迷うことも少なくて済みます。
また、非課税枠が年間で40万円以内となっており、月々30,000万円という少額での積立投資が可能な点も、初心者にとってはハードルが低いというメリットがあります。
(*1:低コストで長期投資向きの商品が取り扱われています。)
NISA口座におすすめの証券会社
ここからはNISA口座の開設におすすめな証券会社をご紹介します。
投資対象として、投資可能な取扱銘柄も証券会社によって異なり、取引の際にかかる手数料についても細かく違います。
多種多様な取扱商品について、買い方も様々です。
気になる証券会社があれば、公式サイトからきちんと確認してNISA口座を活用していきましょう。
SBI証券
日本のネット証券会社の最大手になります。
・国内株式売買・海外ETF(*1)買付け手数料が無料
・投資信託の取扱本数:2,550本以上(*2)
・IPO株(*3):対応(*4)
手数料の安さと取扱本数で業界最高水準を誇り、多くの投資家に利用されています。
(*1:上場投資信託のことです。)
(*2:2018年10月25日現在。買付手数料無料は1,250本です。)
(*3:新規上場株式のこと。事前の抽選で上場前の購入が可能です。)
(*4:75社以上の銘柄に対応しています。)
楽天証券
SBI証券に次ぐ規模と実力のネット証券会社です。
・国内株式売買・海外ETF買付け手数料が無料(*1)
・投資信託の取扱本数:2,663本(*2)
・IPO株:非対応(*3)
トレードのスピードに定評があり、60万人以上の投資家に利用され、上級者にも人気があります。
また、運用によって得られたポイントで新たな投資信託を購入することもできます。(*4)
(*1:キャッシュバックによって手数料が実質無料となっています。)
(*2:2018年10月25日現在。買付手数料が無料なものは1,339本です。)
(*3:通常証券口座であれば対応しています。)
(*4:楽天ポイントは、買い物やその他サービスでの利用も可能です。)
マネックス証券
他ネット証券会社に比べて、米国株・中国株に非常に強い証券会社です。
・国内株式売買手数料・米国/中国株式買付け時取引手数料が無料(*1)
・投資信託の取扱本数:1151本(*2)
・IPO株:対応
米国株については3,000本ものなかから自由に投資先を選ぶことができます。
(*1:米国/中国株式については、キャッシュバックによって実質無料です。)
(*2:2018年10月25日現在。プログラムによっては、申込手数料が実質無料になります。)
松井証券
老舗のネット証券会社です。
顧客に無駄なコストを使わせない、というモットーで厳選された商品のみを取扱っています。
・株式売買手数料が無料(*1)
・投資信託の取扱本数:144本(*2)
・IPO株:対応
積立NISAでは、ETFの取扱いがないので注意が必要です。
(*1:インターネット経由の場合は無料です。)
(*2:2018年10月25日現在。委託手数料もインターネット経由の場合のみ無料です。)
GMOクリック証券
手数料の安さに定評のあるGMOクリック証券です。
・取引手数料は全て無料(*1)
・投資信託の取扱本数:112本(*2)
・IPO株:対応
(*1:国内株式もしくは投資信託のみの取扱で、それらの取引手数料がかかりません。)
(*2:2018年10月25日最新。)
カブドットコム証券
三菱UFJフィナンシャル・グループのネット証券会社になります。
・日本国内株式の取引手数料は全て無料(*1)
・投資信託の取扱本数:1068本(*2)
・IPO株:対応
取扱商品については国内株式、投資信託が対象で、海外株式はありません。
投資信託の取扱本数も多く、手数料も安いため、海外株式への投資を行わない場合には問題ないでしょう。
日本国内株式の取引手数料は全て無料です。
(*1:NISA口座開設によって、他の通常証券口座の手数料も最大5%割引となります。)
(*2:2018年10月16日最新。305本以上が販売手数料無料。)
NISAを効果的に使えるよう、知識を身につけてスタートしましょう
非課税の税制優遇を享受することのできるNISAは、非課税期間などの制限内で効率的に活用することで大きなメリットを得ることができます。
自身のNISA口座のある証券会社によって、特徴も異なり、最適な活用方法も異なります。
通常証券口座に比べて少し複雑にはなりますが、自身のNISA口座の特徴と、効率的な活用方法を理解して賢く運用していきましょう。