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FXの税金は特定口座で納税することはできません。納税方法と税金の計算について解説

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FXでは特定口座を開設することができません。そのため、確定申告にて申告し、納税する必要があります。では、なぜFXでは特定口座がないのでしょうか? その理由と税金が発生した場合の確定申告の手続き方法について解説します。FXを利用する際は、確定申告の手続きや税金の計算について把握しておきましょう。

確定申告について調べている人

FX取引に特定口座はあるのか?

株式投資では、口座開設する際に、一般口座もしくは特定口座のどちらかを選びます。では、FXにおいても特定口座で開設することはできるのでしょうか?

特定口座とは

まず、特定口座について簡単におさらいしましょう。株式投資では、証券会社や金融機関にて口座開設してから取引を開始します。その際、一般口座もしくは特定口座のどちらかを選びますが、両者は納税方法が異なります。

一般口座を開設した場合、確定申告などの手続きから納税まで投資家が行わなければいけません。税金の計算や必要資料の準備も全て行う必要があるため、納税の際に手間も時間もかかります。

一方、特定口座を開設した場合、証券会社が投資家に代わって納税を行います。ただし、特定口座には源泉徴収ありと源泉徴収なしの2種類あり、源泉徴収なしを選んだ場合は、確定申告は投資家本人が行います。なお、源泉徴収なしでは、確定申告に必要な取引報告書は証券会社が作成します。

FXに特定口座はない

株式投資では、一般口座と特定口座の2種類の口座があります。しかし、FXでは特定口座がないため、一般口座で取引しなければいけません。

なぜ特定口座がないのか

特定口座制度は、租税特別措置法によって成立した制度です。租税特別措置法では、上場株式等の譲渡による所得は特定口座にて確定申告は不要であるとしています。この上場株式等には、FXは含まれません。そのため、FXでは特定口座を開設することができないのです。

参考:No.1476 特定口座制度(国税庁公式サイト)

納税方法

FXでは、特定口座を利用することができません。そのため、FXにて利益が発生した場合、確定申告にて申告し、納税する必要があります。ただし、一定金額内であれば、確定申告が不要な場合もあります。確定申告の有無については、確定申告対象者にて解説します。

FXにおける確定申告

FXの税金は、確定申告にて納める必要があります。確定申告の期間や手続きについて、きちんと把握しておきましょう。

基礎からわかるFXの確定申告と税金の計算方法

そもそもFXにかかる税金と税率は

FXで利益が発生した場合、一律20.315%の税率が課せられます。税率の内訳は、所得税20%、住民税5%、復興特別所得税0.315%です。例えば、FXで100万円の利益が発生した場合、支払う税金は203,150円(所得税:153,150円 住民税:50,000円)となります。

例)
1,000,000円×20.315%=203,150円

税金対策

FXでは、経費や損失繰越(*1)を利用することで、税金を安く抑えることができます。例えば、FXで100万円の利益と10万円の経費が発生した場合、支払う税金は182,835円(所得税:137,835円 住民税:45,000円)となります。経費は確定申告にて申告する必要があるため、FXで発生した費用は記録に残しておきましょう。

例)
(1,000,000円-100,000円)×20.315%=182,835円

(*1:翌年に損失を繰り越し、利益から差し引くことができる制度)

確定申告が必要な人

FXの税金は、確定申告にて納税しますが、FXの収入の金額によっては不要な方がいます。こちらでは、職業別に確定申告の有無を解説します。

自営業・フリーランスの場合

自営業やフリーランスの方は、FXの収入額に関係なく、38万円以上の収入が発生した場合には確定申告が必要です。年間収入が38万円以上ある場合は、必ず確定申告を行いましょう。

主婦・学生の場合

主婦や学生の方は、FXの収入が38万円以上ある場合に確定申告が必要です。ただし、アルバイトやパートをしている方は、FXとアルバイト代を含めて38万円以上の収入がある場合、確定申告が必要になります。

会社員・公務員の場合

会社員や公務員の方は、給与所得が2,000万円以下でFXの収入が20万円以上ある場合に確定申告が必要です。ただし、給与所得が2,000万円以上ある方は、FXの収入が20万円を下回っている場合でも確定申告が必要です。

年金生活者の場合

年金生活者の場合、年金収入が400万円以下でFXの収入が20万円以上ある場合に確定申告が必要です。なお、20万円には、FXの収入のほかに、不動産などの収入も含まれます。

確定申告が不要な人の注意点

FXでは、年間収入が20万円以下もしくは38万円以下であれば、確定申告が不要な場合があると解説しました。ただし、確定申告が不要であっても、住民税の申告は必要です。FXでは、主に所得税と住民税の税金が発生します。基本的に、確定申告では所得税を申告するため、確定申告をしなかった場合は、別途住民税を申告する必要があるのです。

損失が出たら確定申告は不要なのか

FXの税金は、利益が発生した場合に課せられます。そのため、FXの損失額が利益額を上回った場合は確定申告はする必要はないと思われるかもしれませんが、損失が発生した場合こそ確定申告はするべきです。

税金対策として、損失繰越を利用できると解説しました。損失繰越を利用するためには、確定申告が必要になります。つまり、前年に損失が発生した場合でも、確定申告を行なっていなければ、翌年の利益から差し引くことができないのです。

なお、税金対策として損失繰越のほかに、損益通算もありますが、損益通算を利用する場合にも確定申告が必要です。

確定申告の手順

確定申告は、以下の手順で行います。

  1. 必要書類を用意する
  2. 必要事項を記載
  3. 税務署へ提出

1.必要書類を用意する

確定申告の際には、以下の2点を用意しましょう。年間取引報告書は、利用しているFX会社から郵送もしくはダウンロードで入手することができます。また、確定申告表には控除額を記入する欄があるため、医療費や社会保険料、生命保険料などの支払った金額がわかる資料や証明書なども用意しましょう。

  • 年間取引報告書
  • 源泉徴収票
  • 2.必要事項を記載

    確定申告では、以下の書類に、見本に従って記入します。なお、損失が発生した場合は、所得税の確定申告書付表(先物取引に係る繰越損失用)にも記入しましょう。

  • 確定申告書
  • 申告書第三表
  • 先物取引に係る雑所得などの金額の掲載明細書
  • 3.税務署へ提出

    記入した確定申告書は税務署へ提出します。提出方法は、窓口、郵送、インターネットの3つの方法から選ぶことができます。なお、インターネットで提出する場合は、ICカードリーダライタが必要です。

    確定申告の期間

    確定申告は、毎年2月16日から3月15日で行います。前年の1月1日から12月31日までのFXの利益または損失を翌年の確定申告にて申告しましょう。

    確定申告で正しく納税を

    今回はFXにおける確定申告と納税について解説しました。FXでは、特定口座を開設することができません。そのため、FXにかかる税金は確定申告にて申告し、納める必要があります。FXを利用している、もしくは利用を検討されている方は、きちんと確定申告の手続き方法を確認しておきましょう。

    なお、損失が発生した場合でも、翌年以降の税金対策として確定申告を行うことをおすすめします。繰越損失や損益通算は、確定申告をしなければ利用できないため、確定申告が不要であっても申告しましょう。

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