こちらの記事ではFXの確定申告の方法から税率の計算、FXの経費まで解説しています。サラリーマンや個人事業主など所得によって確定申告の有無が変わります。また、損失が出た場合も確定申告の方法が変わるので、必ず確認するようにしましょう。
FXの確定申告の仕組み
FXの確定申告をしたことがない人のために、まずは確定申告の基本的な知識から学んでいきましょう。こちらでは、確定申告の仕組みから所得の計算方法、FXの税率まで解説していきます。
確定申告とは
毎年3月には確定申告の時期がやってきます。そもそも確定申告とは何なのでしょうか?確定申告は支払う税金を計算し、申告する手続きのことです。確定申告で支払うのは所得に発生する税金です。所得には大きく10種類に分けられますが、FXの収入は「雑所得」と呼ばれる所得の種類に入ります。
FXによる所得計算方法は?
所得を算出する計算式は粗利益-経費です。この粗利益と経費に関しては、所得によってそれぞれ種類が異なります。FXの粗利益と経費は以下の通りとなっています。
粗利益
FXでの粗利益は為替差益とスワップポイントのことを指します。まず為替差益とはキャピタルゲインとも呼ばれるFXの利益です。FXでは通貨の売買で発生した差額分を利益として計上します。この差額分の利益を為替差益といい、FXの粗利益となります。
次にスワップポイントですが、こちらはインカムゲインとも呼ばれます。スワップポイントはFXで発生する金利のことです。金利や通貨や市場によって大きく変動し、スワップポイントは午前7時の時点で金利が確定します。為替差益とスワップポイントがFXにおいて粗利益に含まれます。
経費
FXにおける経費ですが、その種類は多様にあります。以下はFXの経費の代表例です。
・セミナー参加費
・銀行の手数料
・FXの手数料
・書籍や参考書などの購入代金
・インターネット費用
・スマホ料金 etc...
さらにはセミナーに参加するための交通費や取引をするためのパソコンの購入代金も含まれます。これらの費用を経費として認めてもらうためには、領収書が必要になるので必ず保管しておくようにしましょう。
FX取引にかかる税率
これまでFXの税率は20%(内訳:所得税15% 住民税5%)と定められていました。しかし、2013年1月1日〜2037年12月31日までは20.315%(内訳:所得税15% 住民税5% 復興特別所得税0.315%)に変更されているので注意しましょう。この税率を所得にかけた金額が支払うべき税金の金額になります。
例えばFXの所得が100万円だった場合、支払う税金は20万3,150円となります。
計算
1,000,000円×0.20135=203,150円
損失が出たら?
FXを取引すれば損失が発生することがあります。特に初心者の場合は初年度は損失が出てしまうことが多いでしょう。その場合は損益通算、繰越控除の2つの仕組みを利用して税金を抑えることが可能です。
損益通算
損益通算とは複数の損益を合算させてしまうことです。収益が高ければ高いほど支払う税も高くなりますが、利益から損失を差し引くことで税金を抑えることができます。例えば複数のFX業者で口座を開設し、ある口座ではプラスの収益、ある口座ではマイナスの収益になった場合に損益通算を行えば支払う税金を減らせます。
繰越控除
取引で発生した損失は繰越控除で持ち越すことができます。今年度発生した損失を翌年に繰越し、収益から損失を差し引くことで節税が可能です。基本的に繰越し可能な期間は3年ですが、法人化すれば9年に期間を延ばすことができます。損益通算と繰越控除を駆使し、損益が出た場合には節税を行うようにしましょう。
確定申告に必要な書類
確定申告に必要な書類は以下の3つです。
・源泉徴収票
・確定申告書
・年間損益報告書
源泉徴収票は自分の勤務先から取得してください。また、退職している場合でも退職所得や公的年金所得で源泉徴収票を取得可能です。確定申告書は税務署もしくは国税庁の公式HPで受け取ることができます。
年間損益報告書は利用しているFX業者から受け取ってください。年間損益報告書には取引履歴や収益が記載されています。FX業者から送られるので、必ず保管し税務署に提出しましょう。
FXの確定申告をすべき人
確定申告はFXの収益のほかに給与などによって有無が決定します。サラリーマンの方や専業トレーダーの方はもちろん、主婦や学生の方でも確定申告が必要な場合があるので必ず確認するようにしましょう。
給与所得者の場合
まず、会社に勤めている方の場合です。サラリーマンの方は給与所得とFX所得によって確定申告が必要かどうか変わります。自身の給与とFXの所得を確認しましょう。
年収2,000万円以上の場合
年収が2,000万円を超える場合は必ず確定申告を行いましょう。基本的にFXの所得が20万円以下の場合は、確定申告が不要となっていますが、年収が2,000万円以上の方は例外です。たとえFXの所得が少なくても必ず確定申告を行うようにしましょう。
年収2,000万円以下かつFXの所得が20万円以上の場合
年収が2,000万円以下でもFXの所得が20万円を超える場合は確定申告が必要です。ただし、年収2,000万円以下でFXの所得が20万円以下であれば確定申告は必要ありません。
またFXの所得に関して、粗利益が21万円で経費が2万円だった場合、所得は19万となるので確定申告は不要です。
個人事業主、フリーランスの場合
会社に勤めていない個人事業主やフリーランスの方の場合は、全ての所得の合計から経費を差し引いて38万円を超えた場合は確定申告が必要です。つまり、FXだけでなくそのほか事業などで発生した所得から経費を引いて確定申告をするかどうかを判断します。
主婦・学生の場合
主婦や学生の場合は、FXの所得から経費を差し引き38万円が超えた場合に確定申告が必要となります。ただし、パートやアルバイトをしている場合は、そこで発生する給与を考慮しなければなりません。
主婦の場合は103万円以上でFXの所得が20万円以上の場合、学生の場合は130万円以上でFXの所得が20万円以上の場合に確定申告を行いましょう。
確定申告が不要な場合
年収が2,000万円以下でFXの所得が20万円以下のサラリーマンや所得-経費が38万円以下の個人事業主などは確定申告は不要です。ですが、FXの所得が低い場合でも確定申告をするようにしましょう。
その理由は、確定申告をしなければ繰越控除などが利用できないからです。特に損失が出てしまった場合は確定申告をするようにしましょう。
確定申告の負担を減らす
確定申告をしたことがある人はわかると思いますが、書類を取り揃えたり手続きするのは非常に手間がかかります。そこで、少しでも確定申告にかかる手間を省くための便利なサービスをご紹介します。
e-Tax
基本的に確定申告は税務署で行わなければいけません。しかし、e-Taxを利用すればネットで手続きが完了します。e-Taxは国税庁が行ってる申告サービスで、国税庁のHPから手続きが可能です。e-Taxであれば税務署に行く必要がなく、24時間受け付けています。
e-Taxで確定申告を行う場合にはマイナンバーカードとICカードリーダが必要になります。マイナンバーの通知カードでは手続きできないので、マイナンバーカードを作成しましょう。
年間損益報告書
確定申告の際に必要な年間損益報告書は郵送だけでなく、PDFとして受け取ることも可能です。PDFで受け取ればe-Taxでの手続きもスムーズに行うことができます。年間損益報告書の取得方法は各FX業者の公式HPでご確認ください。また、FX業者によって期間損益報告書など名称が異なることもあるので注意してください。
ご自身の状況に応じて、正しく確定申告をしていきましょう
今回はFXにおける税金や確定申告の方法についてご紹介しました。自分のFXの所得と給与所得をきちんと把握し、必ず確定申告を行うようにしましょう。特に主婦の方や学生の方は確定申告の方法がわからない人も多いかもしれません。その際は税務署で相談するようにしましょう。