FXで借金を背負う理由は、FXの仕組みをきちんと理解していないことです。レバレッジや強制ロスカットは、投資家にとってメリットになれば、デメリットにもなり得ます。FXを始める前に、借金してしまう原因と借金をしない方法を学びましょう。
FXと借金
FXで資産を増やすはずが、逆に借金を抱えてしまう人がいます。その原因は、FXのレバレッジや強制ロスカットなどの仕組みにあります。
FXの仕組み
FXとは、通貨を売買し、その売買の差額で利益を得る投資方法です。同じ投資である株式投資と異なる点がいくつかあります。まずは、FXの仕組みをきちんと理解しましょう。
【初心者向け】FXの仕組みはどうなっている?
初心者のためのFXの基礎〜仕組みからリスクまで〜
外国為替証拠金取引
FXは正式名称、外国為替証拠金取引と言い、その名の通り海外通貨を取引する投資です。FXで儲ける仕組みは、以下の通りです。FXは安く買って高く売る、もしくは高く売って安く買うことが原則です。通貨価値の変動により、FXで利益を出したり、反対に損失を出てしまうことがあります。
例)
1ドル100円で買い、1ドル120円の時に売る→20円の利益
or
1ドル120円で売り、1ドル100円の時に買う→20円の利益
レバレッジ
FXには、レバレッジと呼ばれる仕組みがあります。FXの売買に使用する資金は、証拠金と呼ばれます。この証拠金にレバレッジをかけることで、資金以上の取引をすることができます。例えば、1,000円の証拠金に2倍のレバレッジをかけることで、2,000円分の取引をすることが可能です。
強制ロスカット
強制ロスカットとは、強制決済されることです。FXは証拠金を元に取引されますが。この証拠金が底をつきそうになった場合には、強制ロスカットされます。強制ロスカットは、投資家に証拠金以上の投資をさせないための措置であり、強制ロスカットがあることで、FXで借金は原則しないことになります。
ただ、強制ロスカットにより取引を中断されることは、投資家にとっては避けたいことです。その際には追証と呼ばれる制度を利用することができます。追証は証拠金を追加できる仕組みであり、追証により強制ロスカットを回避することもできます。
なぜFXで借金をするのか
FXのレバレッジや追証は、投資家にとってメリットのある制度です。しかし、この制度の使い方次第では、借金を抱えてしまう原因ともなります。
過剰なレバレッジで取引してしまう
レバレッジのかけすぎは、損失を拡大する恐れを招きます。レバレッジは証拠金にかけることで、少額資金でも投資ができる仕組みです。しかし、レバレッジの仕組みはそれだけではありません。実は、資金が大きくなるのと同時に、その損失も大きくなってしまいます。
1,000円の証拠金に2倍のレバレッジをかけることで、2,000円の資金で取引できます。しかし、実際に保有している資金は1,000円に変わりありません。2,000円で利益を出せば2倍の利益になりますが、反対に負けてしまえば2倍の損失を抱えることになります。1,000円しか資産を保有していない方が、2,000円の損失を支払わなければいけないために借金を抱えてしまうのです。
急変動に強制ロスカットが追いつかず追証が払えない
強制ロスカットが借金の原因になることもあります。強制ロスカットは、証拠金以上の取引をしないための措置です。しかし、まれにレートが急変動した場合、強制ロスカットが証拠金以上で約定する場合があります。その際、追証を払うことができない状態になりうるのです。また、強制ロスカットを避けるために何度も追証をする投資家もいますが、これも借金の原因になります。
損切りルールを決めていない
借金の原因は、レバレッジや強制ロスカットに限りません。損切りが出来ない人も借金を抱える人の共通点です。損切りとは、自ら損失を確定することです。特に損失を確定したくない初心者は、なかなか損切りが出来ませんが、これが膨大な損失の原因です。
長年FXで生き残っている投資家は、一度の取引の損失を小さくすることを重要視しています。損失がダメなのではなく、損失を大きくしてしまうことがいけないのです。損切りは損失が小さいうちに確定してしまう手段です。損切りルールを決め、一定以上の損失が出た場合に損切りすることが大切です。
ポジションを持ったまま日をまたぐ
ポジションとは確定してない取引のことです。ポジションを保有したまま、取引から離れた場合、その間にも相場は動き続けています。もし、あなたが目を離したすきに相場が大きく変動すれば、損失を生むことになりかねません。相場の予測が出来ない初心者は、ポジションを保有したまま放置するのは避けましょう。
FX業者のシステム障害
FX業者のシステム障害によって、損失が出てしまうこともあります。取引中にシステム障害が発生し、復旧した際に相場が大きく変動すれば、大きな損失になりかねません。
この場合のトラブルに対処する方法としては、過去にシステム障害の少ないFX業者を選ぶことが挙げられます。また、大手FX会社はシステムやツールがしっかりしているので、できるだけ大手のFX会社を選ぶことをおすすめします。
余剰資金以上の投資
投資の世界では、投資資金は余剰資金を使用することが大前提です。なぜなら、生活費で取引してしまうと、冷静さを欠いてしまうからです。少しの損失でも取り返そうと躍起になってしまい、それが損失を膨らませてしまう原因になりかねません。FXを始める場合は、必ず余剰資金で始めましょう。
また、余剰資金が底をついたときに、生活費を追加することもいけません。それでは結局、生活費で投資していることに変わりありません。余剰資金がなくなったら、潔く取引も中断しましょう。
FXで借金地獄になった人のまとめ
FXで借金を抱えてしまった人たちの体験談やブログなどを読める記事を集めています。FXを始める前に、借金を抱えた人たちの取引内容やその原因を知っておきましょう。
【2018年版】FXのコピペからわかる投資で成功する人・失敗する人の特徴
損切りができなかった人
こちらの記事では、損切りができなかったために、膨大な損失を生み出してしまった人たちのコピペです。もう一度言いますが、損切りは損失を膨らまさないための手段です。損切りなく、ただ感情だけで行う取引はギャンブルと差異ありません。
過剰なレバレッジをかけてしまった人
こちらの記事では、過剰なレバレッジをかけてしまった人のコピペをまとめた記事です。借金を抱えてしまう人たちは、レバレッジのメリットばかりに目がいっていることがほとんどです。レバレッジをかけることによるデメリットやリスクについても把握しましょう。
強制ロスカットされた人
こちらの記事では、強制ロスカットにより借金を抱えてしまった人たちのコピペをまとめています。投資家たちのなかには、夫に内緒でFXを始めた妻がおり、1300万円を損してしまった人がいます。家族がいる方は、借金を背負ってしまった場合、自己責任だけでは済みません。
【人生オワタ】FXの痛々しすぎるコピペまとめ!破産・借金・大損の体験談が辛すぎる
余剰資金以上に手を出してしまった人
こちらの記事では、生活費に手を出してしまった人たちのコピペが掲載されています。コピペでは、投資家たちのリアルな声を見ることができます。失敗談やコピペを読み、「どうして借金を抱えたのか」を考えることが大切です。
実話を書いた書籍
実際にFXで借金を抱えた実話が描かれた書籍もあります。磯貝 清明著書による「突然マルサがやって来た!」には、FXによって六本木ヒルズ生活から一転し、風呂なし2畳の部屋に生活が一変した投資家の人生が描かれています。著者の磯貝氏は、2009年に脱税容疑で国税局に告発されています。
教訓から得るFXで借金をしない方法
FXで借金をしないためには、最低でも以下のルールを守るようにしましょう。
- 損切りルールをつくる
- 過剰なレバレッジをかけない
- ゼロカットシステムを使う
- 余剰資金で行う
- デモトレードで十分な訓練をする
- 正しい知識を身につけてトレードする
1.損切りルールをつくる
トレードを開始する前に、まずは損切りルールを設定しましょう。損切りルールを設定することで、損切りするタイミングが明確になります。また、損切りルールがあることで、感情的な取引を避けることができます。
損切りルールは、投資家によって異なります。例えば、自己資金から1度の取引における損失最高額を定めておき、その額を損切りの目安にする人もいれば、pips数によって設定する人もいます。絶対に正しいものはないため、自分なりの損切りルールを決めて構いません。
2.過剰なレバレッジをかけない
取引をするときは、身の丈にあったレバレッジをかけましょう。レバレッジは少額資金で取引でき、利益も大きくすることができます。その一方で、損失も大きくなるのがレバレッジの特徴です。得たい利益からレバレッジを考えるのではなく、自分が支払える限度額からレバレッジを決めるようにしましょう。
初心者のうちであれば、レバレッジは最大でも2〜3倍に抑えておくことをおすすめします。経験を積み、慣れてきてから少しずつレバレッジを増やすようにしましょう。
3.ゼロカットシステムを使う
ゼロカットシステムとは、資金以上の損失を支払わなくてもいい制度です。例えば、1,000円の取引で2,000円の損失が出た場合、投資家が支払うのは1,000円のみです。残額はFX会社が負担することになります。
ただし、ゼロカットシステムを利用するためには海外FX口座を利用する必要があります。国内のFX会社では、このゼロカットシステムを導入していないために、利用することができません。
4.余剰資金で行う
借金を背負わないためにも、FXは余剰資金で行いましょう。生活費でFXを始めようと考えている方は、FXを始めないでください。FXのための資金を貯めてから始めるようにしましょう。借金をしてまで資金をつくるのは言語道断です。一度借金をしてしまえば、雪だるま式に増えていきます。「FXで勝てばすぐに返せる」と、考えている人ほど借金してしまいます。必ず余剰資金でFXを始めるようにしましょう。
5.デモトレードで十分な訓練をする
実際の取引を開始する前に、まずはデモトレードを試してみましょう。デモトレードとは、リアルに近い取引を体験できる取引練習ツールです。各FX会社にて、無料でデモトレードツールやアプリを利用することができます。いきなり実践に入るのではなく、デモトレードで取引を体験しましょう。
また、知識を深める手段にもなるため、勉強と同時並行でデモトレードをすることをおすすめします。
6.正しい知識を身につけてトレードする
FXで欠かせないのが知識です。正しい知識がないままに、投資を開始するのはギャンブルと同じです。勉強することであなたの自信にも繋がり、取引においても冷静でいられるようになります。FXで勝てるかは、どれぐらい勉強してきたかで決まります。FXに興味を持ったら、まずは知識を身に付けることから始めましょう。
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万が一借金をした場合の対処法
もし、FXで借金を背負ってしまった場合は、速やかに対処しましょう。どれぐらい借金があるかで、対処法は異なります。今回は、以下の段階ごとの対処法について解説します。
- 少額の借金の場合
- 多額の借金の場合
1.少額の借金の場合
少額の借金の場合は、まずはFX会社と交渉することをおすすめします。借金は少額だが、すぐに用意できない場合、その旨をFX会社に伝えることですぐに取り立てられることを避けられる場合もあります。
ただし、交渉する際は返済計画をきちんと伝えなければいけません。借金が発生した場合は、返済の目処を立てるために速やかに対処するようにしましょう。
多額の借金の場合
借金が多額で、個人では手に負えない場合は、債務整理や自己破産をする必要があります。
弁護士に相談する
まずは、弁護士に相談しましょう。自己破産や債務整理の手続きは、弁護士を通じて行われます。司法書士に依頼することも可能ですが、弁護士と司法書士では業務可能範囲が異なります。弁護士の方が投資家自身の手間は少なくなるため、法律や金融の知識がない場合であれば、できるだけ弁護士に依頼することをおすすめします。
自己破産申請
FXの借金は、自己破産申請することができます。自己破産とは、すべての債務の免除を裁判所に認めてもらうことです。つまり、借金を0円にするための申請です。
ただし、すべての場合において自己破産が認められるわけではありません。さらに、多額の借金の場合は、一定の財産以外のすべての財産が差し押さえられることもあります。
個人再生
自己破産申請が認められなかった場合、個人再生手続きを行うこともできます。個人再生とは、借金を最大10分の1までに減らすことができる制度です。自己破産申請では、借金の原因などを詳細まで問われますが、個人再生であれば借金の原因を伝える必要がありません。
借金の踏み倒しは実質不可
一切対処をすることなく、借金を踏み倒しを考えている方もいるかもしれません。しかし、実際に借金を踏み倒すのは不可能に近いことです。
借金を滞納し続け、督促にも応じなかった場合、FX会社より裁判所に訴えられる可能性があるためです。もし、訴えられても返済しない場合は財産のみならず、給与も差し押さえられることとなります。差し押さえは強制執行に該当します。つまり、強制的に返済を強いられることになるのです。
真面目に働いて逆転しましょう
FXの借金は、真面目に働いて返済することが1番の近道です。FXで取り返そうとする方が多くいますが、それでは借金を増やすだけです。FXの知識やスキルがないから借金を作ってしまったのに、そのFXで儲けることなんてできません。FXで逆転をしたいのなら、まずは貯金と自分の弱点から克服することから始めましょう。
無理をしなければFXで借金はしない
今回はFXの借金の原因について解説しました。FXにはハイレバレッジや強制ロスカットなどの仕組みがあります。これらの制度は投資家にとってメリットとなることもあれば、デメリットになることもあります。FXの仕組みや制度についてきちんと理解し、自分の身の丈にあった投資をすることが借金を背負わない方法です。
もし、FXで借金を背負ったのなら、一度潔く諦めることも大切です。FXと距離を置くことで冷静に考えられる時間も取れます。一度、FXについて客観的に捉え、失敗した原因を見つけるようにしましょう。