FXでは、強制ロスカットの措置により、証拠金以上の損失が出ない仕組みになっています。しかし、相場の急変動や過剰なレバレッジにより、借金をするほどの損失を抱えてしまう場合があります。こちらでは、借金ができてしまう原因や借金を抱えないための方法について解説します。また、借金を抱えてしまった際の対処法もご紹介します。
FXでなぜ借金をするのか
FXでは、トレーダーが過剰な損失を抱えないために、措置が講じられています。例えば、強制ロスカットと呼ばれる決済手段は、トレーダーが証拠金以上に損失を抱える可能性がある際に、FX会社がトレーダーの取引を強制決済し、損失の膨大化を防ぎます。(*1)しかし、強制ロスカットの措置があるのにも関わらず、借金を抱えてしまう方がいます。一体なぜなのでしょうか?
(*1:証拠金とは、FXの取引に必要な担保金)
FXで借金をする原因
FXで借金をする原因は、主に以下の6点が挙げられます。
- 急変動に強制ロスカットが追いつかず追証が払えない
- 過剰なレバレッジで取引してしまう
- 損切りルールを決めていない
- ポジションを持ったまま日をまたぐ
- FX会社のシステム障害
- 余剰資金以上の投資
1.急変動に強制ロスカットが追いつかず追証が払えない
追証(おいしょう)とは、証拠金を追加することで強制ロスカットを免れることができる制度です。通常であれば、多額の損失を抱える前に強制ロスカットが行われるか、追証によって借金を防ぐことができます。しかし、自然災害やテロによる異例の事態では、強制ロスカットが追いつかない可能性があります。その際、トレーダーは証拠金以上の多額の損失が支払うことができず、借金を作る原因となります。
2.過剰なレバレッジで取引してしまう
レバレッジとは、資金にかけることで少額資金で取引ができる仕組みです。例えば、10,000円の資金にレバレッジ2倍をかけることで、20,000円分の取引を行うことができます。しかし、レバレッジは資金を大きくできる一方で、損失も大きくなるデメリットも伴います。先ほどの例では、2倍のレバレッジで取引を行なった場合、利益も2倍になりますが損失も2倍になります。過剰なレバレッジは、多額の損失を抱えるリスクを伴います。
3.損切りルールを決めていない
損切りとは、一定の損失が出た場合に損失を確定し、取引を決済する手段です。損切りを行わないと、損失がますます増大し、結果借金を抱えてしまうことになります。FXを始める前に、どれぐらいの損失が出た場合に損切りするのかルールを設けましょう。FXで損切りルールのない取引は、ギャンブルと変わりません。
4.ポジションを持ったまま日をまたぐ
ポジションとは、注文を行なっている状態のことを指します。FXでは、買ったもしくは売ったことをポジションを保有すると言います。ポジションを保有している場合、相場の変動に注意が必要です。なぜなら、相場の変動に伴い保有資産も変動するからです。例えば、相場が上昇すると予想し、買いポジションを保有したまま日をまたいだ場合、翌日に暴落した際には損失を抱える可能性があります。
5.FX会社のシステム障害
稀なケースですが、FX会社のシステム障害により借金を抱える場合があります。システム障害とは、取引量が急増した場合にFX会社のサーバーがダウンしてしまうことです。システム障害により、注文や決済が正常に行われず、予想外の損失を抱える場合があります。しかし、システム障害が起きた場合は、FX会社が損失の対応する可能性があるため、一度確認するようにしましょう。
6.余剰資金以上の投資
FXや株式投資では、投資資金は余剰資金で行うことが前提です。特に知識も経験もない初心者が借金をしてまで、FXを始めることは危険です。一度借金をしてしまうと、「次は勝てるかも」と、際限なく資金をつぎ込んでしまいます。FXを始める場合は、余剰資金で投資し、負けても生活に支障のない範囲の金額で取引しましょう。
FXで失敗して借金をした事例
こちらでは、実際にFXで借金をしたトレーダーの事例をご紹介します。FXを始めようか検討されている方は、きちんとFXのリスクについても理解しましょう。
【2018年版】FXのコピペからわかる投資で成功する人・失敗する人の特徴
強制ロスカットされた人
FXでは、ポジションを保有したまま日をまたぐことはあります。しかし、安易な注文によるポジションの保有は危険です。
以下は、ポジションを保有したことにより、強制ロスカットされたトレーダーです。
さようなら
最初で最後ってこういう事を言うんですね・・。
昨日夜中に114.43で強制ロスカットされてしまいました。
現在残高6万円。一回の取引で半年分の給与が飛びました。
すごくショックでこれからどうやって生きていけばいいか分かりません。-94万円
う・・。
こちらのトレーダーは、100万円の資金を元にFXを開始しましたが、わずか1回の取引で94万円の資金を失いました。
損切りができなかった人
損切りは、損失の膨大化を防ぐ手段です。どの相場においても損切りができるように、機械的に損切りができるように損切りルールを設けるようにしましょう。
以下は、損切りができずに強制ロスカットが行われた事例です。
ロスカット食らったわ・・・
年収400万の俺が6年かけて貯めた500万が全て飛んだ
涙が止まらない
ほんとに馬鹿だ俺はい、今までの人生で貯めた貯金がすべてロスカットでやられました
もう潔く死にます。生まれ変わったらトレーダーには二度となりません
さよなら
引用元:[閲覧注意]株やFXの失敗談コピペが怖すぎる[阿鼻叫喚]
FXでは、損失が出た場合には冷静な判断ができず、なかなか損切りを行うことができません。1回の負けで大損しないためにも、必ず損切りルールを決めましょう。
余剰資金以上に手を出してしまった人
前述しましたが、FXは余剰資金で始める必要があります。生活費でFXを行なってしまうと、冷静な判断を欠いてしまいます。
以下は、生活費に手を出してしまったトレーダーの事例です。
最近調子良かったから
結婚資金300万ぶっ込んだら一気に反対に飛んだ121.23L連休も彼女と出掛けれず
出掛けれない理由も言えず喧嘩と監視の毎日・・助けて
俺の金だけだけどもう予算に組み込んであるから
今無くなると大変な事になる来週は婚約指輪の金要るし
式場の金もそろそろ・・・これはやばいですぞ結婚が駄目にはならないと思うけど
かなりの勢いで怒られて
今後給料全没収間違いなくなるし
相手の家族に駄目男の烙印押されるし
それはまずい
こちらのトレーダーのように、生活費に手を出してしまった場合だけでなく、借金をしてまでFXを行うことも危険です。
実話を書いた書籍
上述した3つの事例は、2chのコピペやまとめサイトから抜粋しましたが、実際にトレーダーの大損経験を読むことができる書籍も発売されています。小学館から発売された「突然マルサがやって来た!〜FXで10億円稼いだ元ヒルズ族社長の絶頂と貧民転落〜」では、磯貝商店の社長である磯貝氏のFXでの繁栄から逮捕までの体験が綴られています。FXのリスクを学ぶことができます。
FXで借金した場合の対処法
では、実際にFXで借金を抱えた場合は、どのように対処すればいいのでしょうか? 借金額ごとによる対処法について解説します。
FXで借金地獄に落ちる人の特徴。億を超える借金をした場合、踏み倒すことは可能か
借金額の大きさによる対応の違い
借金を抱えた場合は、速やかに借金返済の対応をとりましょう。ただし、対応方法は借金の金額ごとで異なります。
少額の借金の場合
借金額が少額であり、自身で対応できる場合、一度FX会社に返済について問い合わせするようにしましょう。返済ができる場合でも、すぐに返済金を準備できないことがあります。その際に、FX会社に返済の意思を伝えることで、借金の返済を待ってもらうことも可能です。ただし、FX会社によって対応が異なるため、必ず問い合わせするようにしましょう。
多額の借金の場合
借金が多額の場合は、弁護士などの専門家に相談しましょう。専門家に相談することで、返済の計画や自己破産手続きを代わりに行なってもらうことができます。個人で手に負えない場合は、専門家に相談することをおすすめします。
自己破産申請
FXでできた借金は、自己破産を申請することが可能です。自己破産の手続きを行うことで、裁判所にて支払い義務を免除してもらうことができます。自己破産は弁護士を介さず、自身で行うことも可能です。しかし、申請書類への記入や裁判所への提出など、時間も手間もかかります。速やかに手続きを負えたい方は、弁護士に相談することをおすすめします。
個人再生
個人再生とは、借金を減額できる制度です。自己破産申請は借金が全額免除ですが、個人再生は借金を10分の1に減額することができます。FXの借金が自己破産と認められなかった場合は、個人再生の手続きを行いましょう。なお、自己破産申請では借金の原因を詳細まで問われますが、個人再生では借金の原因を知られることはありません。
踏み倒しは実質不可能
FXでできた借金を踏み倒すことは実質不可能です。借金を滞納した場合、FX会社より裁判所に訴えられる可能性があり、その際訴えられても滞納した場合は、強制執行である差し押さえが行われるからです。給与も差し押さえの対象であり、家族や勤め先に知られる可能性があります。多額の借金であっても、自己破産申請や個人再生などの対応をするようにしましょう。
そもそも借金をしないために
FXで借金をしないために、リスクを抑えた投資を心がけましょう。具体的な方法としては、以下の4点が挙げられます。
- 正しい知識を身につけてトレードする
- 損切りルールをつくる
- 過剰なレバレッジをかけない
- 余剰資金で行う
1.正しい知識を身につけてトレードする
FXでは知識が必ず必要です。知識のないままにFXを開始すると、必ず失敗します。まずは、FXの仕組みやリスクについてきちんと理解しましょう。また、実際にトレードを始めた後も勉強が必要です。長年生き残っているトレーダーは、自身のトレード内容を振り返り、改善点を洗い出しています。FXは実践と改善の繰り返しです。FXを始めた後も勉強を欠かさないようにしましょう。
2.損切りルールをつくる
FXを開始する前に、損切りルールをつくりましょう。ルールをつくることで、どの相場でも機械的に損切りを行うことができます。どうしても損切りができない場合は、デモトレードを使うことをおすすめします。デモトレードとは、仮想の資金を利用したバーチャル取引です。デモトレードで損切りの練習を繰り返し、機械的に損切りができるように訓練しましょう。
3.過剰なレバレッジをかけない
レバレッジをかける場合は、過剰にかけないようにしましょう。初心者の場合は、まずは1〜3倍のレバレッジがおすすめです。知識や経験がきちんと身についてきたら、徐々にレバレッジを上げても構いませんが、ハイレバレッジにならないように注意してください。
4.余剰資金で行う
FXは余剰資金で行いましょう。生活費や借金を作ってまで、FXを始めることは危険です。もし、FXの資金を用意する余裕がないのであれば、始めるべきではありません。FXに限らず株式投資などの資産運用は、余剰資金で行い、万が一負けても生活に支障のない範囲で取引しましょう。
万が一借金をした場合は適切な対応を
今回はFXの借金の原因と対応方法について解説しました。FXでは、強制ロスカットの措置により証拠金以上の借金をしない仕組みになっています。しかし、相場の急変動や過剰なレバレッジ、システム障害によって損失を抱えてしまい、結果借金ができてしまう可能性があります。FXを始める前に、きちんとリスクについて理解しましょう。
万が一、FXで借金ができてしまった場合は、速やかに対応するようにしましょう。少額の借金であれば、FX会社に返済の意思を伝え、返済計画を立てましょう。多額の借金の場合は、専門家に相談し、今後の返済方針や債務整理、自己破産申請を行うようにしましょう。