AI(人工知能)を活用した株取引の現状を解説します。AIを利用することのメリットとデメリットを説明し、実際におすすめのロボアドバイザーをご紹介します。さらに、ソフト(アプリ)についてもおすすめをお教えします。AIについてきちんと理解して、自身の投資に活用するかどうかを判断する際の参考にしてください。
株式投資におけるAI(人工知能)
株式投資におけるAI(人工知能)の活用について説明します。AIを株式投資の際に活用することでどのようなことができるのでしょうか。また、投資家にどのようなメリット・デメリットがあるのかも解説します。AIについて興味のある方は参考にして自身の投資の際に活用するかどうか判断していきましょう。
ファンドの市場分析
投資信託(ファンド)の市場分析を人間が行う場合と、AI(人工知能)が行う場合それぞれのケースについて解説します。
人間による判断がされるファンド
人間の行うファンドの判断は、投資信託の運用を行うマネージャー(*1)の経験や好き嫌いなどの数字にできない情報を考慮したうえで行なわれます。各企業に関する詳細なデータを全て見るのではなく、将来的な成長を感覚的に捉えて投資ファンドが判断されることとなります。
(*1:ファンドマネージャーという金融資産運用の専門家です。)
クオンツファンド
クオンツとは、高度な数学的、物理学を駆使して市場の動きや企業の将来的な業績を分析・予測して投資戦略などを判断することです。そのため、投資信託における投資対象を、クオンツを使用して判断するものをクオンツファンドと言います。
このクオンツファンドに最近ではAI(人工知能)が活用されています。クオンツファンドは基本的に数字的な資料を基に判断されるため、AI(人工知能)内にデータを事前にインプットしておくことで、条件に該当するファンドを自動的に売買してくれます。
参考:クオンツ(クオンツ) (SMBC日興証券株式会社公式サイト)
AI(人工知能)による株式投資のメリット
ここからは、AI(人工知能)を活用して株式投資を行うメリットを解説します。ロボアドバイザーなどでAI技術が活用され、利用している投資家も少なくありません。では、具体的に投資家にどのようなメリットがあるのでしょうか。
感情に左右されない取捨選択
AI(人工知能)を活用することで、感情に左右されずに自身の保有資産に対してその時に最適な対応を講じることが可能となるメリットがあります。人間である以上、分析結果や過去の経験からある判断がいくら適切であると分かっていても、例えば自身の保有資産の売却を判断するには、覚悟を決めて踏み切る必要があります。しかし、AIを活用することで分析結果や過去の統計データに基づいて、その時点で最適な投資判断を即座に判断して損得のみで投資判断を下すことができます。
自身が投資に割くパワーが少なくて済む
AI(人工知能)による株式投資のメリットの2点目に、AIが投資家自身に代わって投資を行ってくれるため、投資家の株式投資の手間やパワーが省けることがあります。銘柄分析や株価のチャートを見て投資判断を下すなどといった一連の株式投資の手間が、AIを活用することで一切無くなります。日々の株価の変動に大きく影響されることなく、売買の手間が省けるため大きなメリットとなります。
AI(人工知能)による株式投資のデメリット
ここからは、AI(人工知能)による株式投資を行うことのデメリットを解説します。投資家の感情に左右されない投資判断や、投資家の投資の手間が省けるメリットがある一方で、デメリットが少なくありません。メリットだけでなくデメリットもきちんと理解しておきましょう。
短期売買に向かない
AI(人工知能)の株式投資のデメリットの1点目に、短期売買に向かないということがあります。AIは基本的に保有資産を安全に運用するよう仕組まれています。投資家に代わってリスクの少ないポートフォリオを形成し、安全な長期投資を目的に最適な投資銘柄が分析、選択されます。
そのため、投資家自身が自由に資産運用を行う場合には、好きな時期に短期投資を行ってハイリターンを得ることができる可能性がありますが、AIの場合には短期投資には不向きです。保有資産に一時的に損失が出ていても、長期的な視点で利益が出るような運用目的を持ってAIを利用することが大切です。
手数料
次に、投資家自身で銘柄を選択して投資を行う場合に比べてAI(人工知能)を利用することで高い手数料がかかるデメリットがあります。
例えば、投資家自身で銘柄分析から投資までを行うネット証券の場合、5万円以内の1取引で50円の手数料となります。(*1)一方のAIを活用したロボアドバイザーを利用する場合には、年間の資産運用益の1%が手数料として引かれます。つまり、年間で5万円の資産運用益であった場合には5,000円が手数料として引かれます。
年間の資産運用額によって手数料額は異なりますが、基本的には投資家自身で株式投資を行うよりも手数料が高くなります。
(*1:SBI証券株式会社のスタンダードプランの場合です。)
個人投資家はAI(人工知能)に勝てないのか?
AI(人工知能)がいくら有能であるからと言って、個人投資家に勝ち目が無いわけではありません。
投資は機械的な情報のみで結果が決まるものではありません。そのため、銘柄分析や過去の投資データをもとに機械的に株式投資を行うことで投資に勝てる場合であれば、人間の個人投資家に勝ち目はなくなってしまいますが、誰も予測できないような事象の影響を受けて株価が上下する可能性があります。そのため、過去の投資データや銘柄分析を完璧に行ったからといって確実に勝てるものではなく、AIが投資に参入することで個人投資家が勝てなくなることもありません。
時間やある程度のルール上であれば自由の大きな投資では、コンピューターが必ず有利であるとは言えません。
人工知能投資アプリのロボアドバイザー
ここからは、AI(人工知能)を活用した株式投資アプリのロボアドバイザーをご紹介します。メリットとデメリットの両面があるAIを活用した株式投資ですが、賢く活用することで投資家の手間を省いた効率的な運用が可能となります。投資に割ける時間の少ないサラリーマンの方などは、気になるものがあれば利用を開始してみましょう。
ロボアドバイザーとは
ロボアドバイザーとは、資産運用を行う際にアドバイスをくれる場合や、実際に投資家に代わって運用を行ってくれるサービスの総称です。
ロボアドバイザーとは?仕組みとメリット・デメリット、具体的な利回りや実績も比較
おすすめのロボアドバイザー
株式投資の際におすすめなロボアドバイザーをご紹介します。以下の3種類は、投資家に代わって実際に資産運用を行ってくれる投資一任型と言われるロボアドバイザーです。投資の判断をロボアドバイザーが行い、ポートフォリオの調整から実際の投資を全て行ってくれるため、投資判断が難しい初心者に最適なサービスです。
WealthNavi
投資一任型のロボアドバイザーで非常に人気のあるロボアドバイザーです。ロボアドバイザーの中で預かり資産額、運用者数が最も多く、スマートフォンがあれば誰でも簡単に、すぐに資産運用の様子を確認することができます。
アプリの使いやすさにも高い評価があり、多くの投資家に利用されている人気のロボアドバイザーです。
(*1:「クイック入金」に対応している金融機関口座からの入金のみ。大手銀行3社に対応。)
THEO
WealthNaviに次ぐ人気のロボアドバイザーです。ポートフォリオの自動調整を行ってくれるため、投資家が何も行なわなくても自動的に最適な資産バランスを保って資産運用を行うことができます。
スマートフォンアプリから自由に資産運用の様子を確認し、入金から出金などの手続きを簡単に行うことができます。
楽ラップ
楽天証券が提供するロボアドバイザーサービスです。2万人以上の投資家に利用され、ポートフォリオ作成診断については20万人以上の利用者を誇ります。
- 固定報酬型:毎月の資産残高に対して一定の年率の手数料を支払うコース
- 成功報酬併用型:固定報酬に加えて一定期間の運用実績に応じて成功報酬を支払うコース
最大年率:0.702%
最大年率0.594%+運用益の5.4%
選択するコースによっては市場の値動きに応じてポートフォリオ内の債権の割合を増やし、大きな下落を自動で防ぐ機能がある場合があります。
AI(人工知能)を使った株価予測
AI(人工知能)を活用した株価予測のソフトを説明します。過去の膨大な情報を参考に将来的な株価を予測することで、現実に近い予想結果をもとに株式投資を行うことが可能となります。以下より紹介するソフトとアプリを自身の投資の際に活かしていきましょう。
ソフトの選び方
まずはAI(人工知能)を使用して株価を予測するソフトの選び方をお教えします。ソフトとは、「ソフトウェア」の省略表現で、例えば「Word」や「Excel」といったアプリケーションソフトウェアのことです。現在ではアプリと言うとスマートフォンアプリ専用のものという認識がありますが、アプリケーションソフトウェアの中のスマートフォン専用のものをスマートフォンアプリと言います。
以下ではソフトをアプリケーションソフトウェアを意味するものとして解説します。
実績
株価予測の実績をきちんと公開してくれているアプリケーションを選択することが大切です。実績とは、AI(人工知能)の出した株価予測と実際の株価の結果を比較した、株価予測の実績のことです。ソフト提供側で表示する実績は自由にコントロールすることができますが、悪い実績が表示されないと株価予測を参考に投資を行う場合に注意すべき点が分かりません。良い実績に限らず悪い実績もきちんと公開されているものを選択することが大切です。
また、過去の実績が蓄積されているものを選択することで将来的な株価予測に活かすことができますので、そちらも確認しておきましょう。
分析データの種類
次に、AI(人工知能)が株価予測を行う際の参考となる、分析データの種類が多いソフトを選択することが重要です。
株価を予測する際に、分析データが多い方がより幅広い情報をもとに精度の高い予測結果を得ることが可能となります。そのため、より多くの過去データや分析データの種類幅を広くしておくことで株価予測の結果も良くなると言われています。
価格
株価予測ソフト選びのポイントの3点目として、ソフトの価格があります。株式投資によって資産を形成したいにも関わらず、投資コストが高ければ元も子もありません。以下より紹介するソフトを参考にして、適度な価格のソフトを見極めて利用を判断しましょう。
おすすめソフト(アプリ)
ここからはAI(人工知能)を使用した、おすすめの株価予測ソフトを3種類ご紹介します。上述の3点を基準にそれぞれのソフトの特徴を理解して、自身のトレードに活かせそうなものがあれば利用してみましょう。
ケンミレ株式情報
どこで、いくらで、どの銘柄を購入するべきかが利用するだけで分かるソフトです。勝率80%を超えるソフトのみが提供されています。
会員登録が必須ですが、無料と有料の2プランから自由に選択可能です。ただし、無料会員の場合には5種類のソフトしか利用できず、簡単な予測結果しか得ることができません。
日経平均AI予測 GROWN
過去の日経平均のデータをもとに株価予測を行ってくれるソフトです。過去データは30年分、7,000日ものデータをもとに月末の株価が予測され、利益確定タイミングを通知してくれる機能があります。
3ヶ月:月額700円
6ヶ月:月額500円
12ヶ月:月額400円
実績については2018年は当たりがあまりなく、厳しい結果となっていますが、株価予測が根拠に基づいた非常に信頼性の高いものであることから利用する投資家も少なくありません。
FISCO AI
銘柄名・銘柄コードを入力するだけで、チャートや業績を基に買い時・売り時を自動判定するWEBサービスです。主にチャート・ポートフォリオ・ランキングの3種類で銘柄ごとの株価予測を確認でき、ポートフォリオについてはメールにて通知することが可能です。スマートフォンアプリも配信されているため、いつでも情報を確認することもできます。
10日間の無料トライアルプランがあるため、まずはトライアルから始めてみるのがよいでしょう。
AI(人工知能)を使用した株式投資について理解して、賢く活用していきましょう。
AI(人工知能)を使用した株式投資を解説しました。特に投資初心者はロボアドバイザーを利用することで難しい判断をロボアドバイザーが行ってくれるため、投資の際に大きなサポートとなり、さらに投資に割く時間が減るというメリットがあります。しかし一方で、短期投資を行う際に不便なこと、利用手数料がかかるといったデメリットもあります。ロボアドバイザーの利用前には、メリットとデメリットの両面を理解しておくことが大切です。
また、株価予測をAIを使用したソフトで行って自身の投資に活かすことが可能となるケースをお教えしました。株価予測が過去のデータをもとに行なわれることで、今後の投資計画を立てる際に非常に便利ですが、あくまでAIの行った分析結果をもとに算出されたものとして、参考にして投資判断を下すことが大切です。AIの技術を利用して、自身の投資に活かせる場合があれば活かしていきましょう。