株式の取引可能時間と土日祝日等の時間外取引について解説します。また、株式の買付け注文を出すのに良いと言われる時間帯と投資初心者が株式投資を始める際のポイントと初心者におすすめな証券会社もお教えします。取引可能な時間帯をきちんと理解してから株式投資を始めていけるようにしましょう。
株取引ができる時間とは
株式の売買取引は証券取引所で行なわれ、取引所の開場時間内でのみ直接取引することができます。では、株式の売買取引が可能となる時間帯はいつなのでしょうか。株式取引を行うことができる時間帯と売買注文が可能な時間帯、さらに取引を行うことが可能な取引所について解説します。
株初心者にもわかる株式投資の概要を解説。株式投資を始める前に抑えるべき知識とは
日本国内で取引可能な株式市場
株式市場とは各証券会社が開設している株式の売買取引が可能な市場のことです。例えば、東京証券取引所では「東証1部」や「マザーズ」といった種類の市場が開設されています。
日本国内には、東京・名古屋・札幌・福岡の4拠点に証券取引所があり、それぞれが複数の市場を開設しています。
- 東京証券取引所
- 名古屋証券取引所
- 札幌証券取引所
- 福岡証券取引所
一部(東証一部)
二部(東証二部)
マザーズ[新興市場(*1)]
JASDAQスタンドード(新興市場)
グロース(新興市場)
プロ投資家向け:TOKYO PRO Market
第一部(名証一部)
第二部(名証二部)
セントレックス(新興市場)
本則市場(札証)
アンビシャス(新興市場)
本則市場(福証)
Q-Board(新興市場)
(*1:ベンチャー企業等が多く上場している市場のことです。)
参考:市場概要(日本証券取引所グループ公式サイト)
参考:新興市場(しんこうしじょう) (SMBC日興証券株式会社公式サイト)
株式市場の取引可能時間
株式の売買取引は基本的に株式市場にて行われ、市場が開いている時間帯に取引行う必要があります。ここからは株式市場の取引可能時間について説明します。
前場と後場
証券取引所の開場時間は前場と後場に分かれ、後場の時間帯が東京証券取引所とそのほかの証券取引所で異なります。
前場:午前9:00~11:30
後場:12:30~15:00
前場:午前9:00~11:30
後場:午後12:30~15:30
東京証券取引所の後場のみ15時に閉場することとなります。
参考:営業時間・休業日一覧(日本証券取引所グループ公式サイト)
参考:取引の種類と取引時間(名古屋証券取引所公式サイト)
参考:売買立会(取引)時間 札幌証券取引所について (札幌証券取引所公式サイト)
参考:取引時間 福岡証券取引所紹介 (福岡証券取引所公式サイト)
土日祝日は休み
証券取引所は、土日祝日は休みです。また、年末年始の期間も休みとなります。そのほかの平日は全て上述の時間、開場されます。
1年の始めと終わりには催事が行われ、毎年12月の最終取引日は「大納会(だいのうかい)」、1月の初めの取引日は「大発会(だいほっかい)」と言われています。(1)
(1:原則12月30日ですが、土日祝日と重なった場合は前営業日となります。)
参考:大納会(だいのうかい) (SMBC日興証券株式会社公式サイト)
世界の株式市場
株価は日本の経済状況だけでなく、世界の様々なニュースや経済環境の変化によって変動します。では、世界の株式市場の取引時間はどのように設定されているのでしょうか。
国(都市) | 開場時間(現地時間) |
アメリカ(ニューヨーク) | 9:30〜16:00 |
イギリス(ロンドン) | 8:30〜16:30 |
ドイツ(フランクフルト) | 9:30〜17:30 |
中国(香港) | 9:30〜16:00 |
国によって開場時間は異なりますが、基本的にどの国も平日の日中時間帯が開場時間となります。また、基本的に昼休みがなく1日通して開場されているため、日本も今後は昼休みがなくなる可能性があります。
参考:Holidays and Trading Hours (NYSE公式サイト)
参考:TRADING HOURS(London Stock Exchange Group公式サイト)
参考:Trading Hours(Börse Frankfurt公式サイト)
参考:TRADING HOURS(HKEX公式サイト)
時間外取引
株式売買取引は、証券会社によっては株式市場の開場時間帯以外にも取引を行うことができます。これは「時間外取引」と言われ、証券会社が独自に提供しているサービスです。
PTS取引とは
証券会社が私設した市場で、株式市場の開場時間以外に株式売買取引が可能となる取引システムです。市場開場前の朝方や閉場後の夜間時間帯に自由に取引を行うことができます。
日本国内の証券会社では、SBI証券・楽天証券・松井証券の3社で証券口座を保有している場合に利用することができます。しかし、PTS取引サービスのシステム自体はSBI証券のもので、他2社はSBI証券と連携することでPTS取引システムの利用が可能となっています。
PTS取引のメリット
PTS取引は、利用することで株式市場の開場時間帯以外に株式売買取引を行うことができる大きなメリットを享受することができます。また、手数料の安さも大変魅力的です。例えば、同額の株式Aを取引所の日中取引で取引するよりも、PTS取引を利用した方が手数料は安くなります。
PTS取引のデメリット
PTS取引は、証券会社が独自で開設した市場を利用して行なわれ、日本国内では3社にて証券口座を保有する投資家しか参加することができません。そのため、1取引によって株価が左右される可能性が高く、通常の証券取引所ではそこまで影響度の高くない取引であっても大きく値動きする場合があります。
また、現物取引において法令で禁止されている「差金決済」に該当してしまう可能性があります。差金決済とは、取引注文が確定した際にその場で有価証券等の引き渡しを行なわず、全ての取引が終了してから差額を受取る決済方法です。差金決済を行うことで本来利益となっていない差額を得ることが可能となる可能性があるため、株式取引では禁止されています。
例)差金決済に該当してしまうケース
10月1日の夜PTS取引にて100万円の投資資金から株式Aを購入
10月1日(同日)の夜にPTS取引にて株式Aを売却
その後10月2日(翌営業日)に取引所にて株式Aを購入
注文可能時間
ここまで、株式売買取引が可能な時間について解説しました。ここからは、株式売買の注文を出すことができる時間に関してお伝えします。
ネット証券は「ほぼ」24時間注文可能
ネット証券会社では、ほぼ24時間株式売買注文自体を出すことができます。「ほぼ24時間」となっているのは、サイトメンテンス等の際には受付ができない場合があるためです。ちなみに日本国内の大手証券会社では、夜間時間帯に一部注文の受付ができないなど、24時間体制とはなっていません。
株式の売買注文は、株式市場が開場している時間帯であれば即座に注文が約定してその場で取引を行うことができます。しかし、開場時間以外の注文は、注文自体を出すことはできますが、すぐに約定、取引を行うことはできません。時間外取引を行いたい場合には上述のPTS取引を利用する必要があります。
参考:取引時間/注文受付時間 (楽天証券株式会社公式サイト)
指値注文が成立しづらい
指値(さしね)注文とは、投資家自身で価格を指定して売買それぞれの注文を行う方法です。注文方法には指値注文に対して注文を出した時点で既に出されている条件のなかから約定される成行注文があります。基本的に株式取引を行う際には、成行注文が優先的に約定されることとなります。指値注文後、自身の注文銘柄が指値価格と合致した場合でも、同時に成行注文が入った場合にはそちらが優先されてしまい、指値注文はなかなか成立しません。
参考:指値注文(さしねちゅうもん) (野村證券株式会社公式サイト)
株を買うのにおすすめの時間帯は?
株式の売買注文自体は24時間出すことができる一方で、取引が行なわれておらず、適切な価格を判断することが難しくなってしまいます。では、株式購入に適した時間帯は一体いつなのでしょうか。
そもそも値動きの激しい時間帯は?
開場時間のなかで最も市場の動きが活発化するのが、開場してすぐの9:00からのおよそ30分です。前開場日の閉場時間以降に発表されたニュースや、時差によって分からなかった海外の経済状況の変化に応じて株価が一気に下がる場合や上がるケースがあります。価格の上下に関わらず、多くの銘柄が価格変動する時間となります。
また、朝の時間帯の次に値動きが激しくなるのが閉場のおよそ1時間前の14:00〜15:00(*1)の時間帯です。14時を過ぎた辺りから、翌日の価格変動を見据えた動きが多く見られます。さらに、昼休みの間に企業が重要な発表をしたような場合には、後場の開始後すぐに市場が活発化することがあります。
(*1:東京証券取引所の場合。その他の日本国内の取引所は15:30までの開場時間です。)
参考:営業時間・休業日一覧 (日本証券所グループ公式サイト)
会社員は朝か昼休み
会社員で、昼間の時間帯は就業していて取引を行うことができない場合には、朝時間での注文がおすすめです。
株式市場の価格変動は、日本国内のニュースだけでなく海外の経済状況からも影響を受けて変化します。そのため、日本の夜間時間帯に海外で変化した経済状況やニュースによって翌日の株価が変化します。例えば、米国の株式市場の開場時間は、時差の関係で日本の朝6時に閉場することとなります。そのため、朝米国市場の様子を確認してからその日の値動きを予想したうえで注文を出すことができます。
また、午前中の市場の動きを見て、昼休みの間に注文を出すことができます。
注文は早い方が優先
株式売買注文は注文時間が早いものから優先的に約定することとなります。そのため、注文時間帯が早い方が有利に取引を進めることが可能です。
ただし、上述の通り海外からも影響を受けて株価が変化することとなるため、一概に注文時間はできるだけ早いほうが良いとは言えません。
初心者の株式投資のポイント
ここからは、投資初心者が株式投資を行う際のポイントを解説します。投資にリスクは付き物です。きちんと理解して、投資で大きなリスクを背負うことがないようにしておきましょう。
長期投資
投資初心者には、利益を上げる可能性の高い長期投資が良いと言われています。長期投資は、10年から30年といった長期間に渡って行なわれる投資手法のことで、短期投資に比べてリスクが少ないのが特徴です。
長期的な値上がりを見据えて株式を保有することができるため、日々の細かな価格変動を気にする必要がなく、投資に慣れていない初心者向けの手法と言えます。
儲けるより損をしないこと
投資にリスクは付き物で、誰でも損失を被る可能性があります。そのため、投資知識の少ない初心者が儲けようと大金を投資することで、大きな損失を被る場合があります。そのため、まずは損失を出さないように投資を行うことが大切です。
損失を出さないために有効な方法として、「損切り」があります。損失はもちろん生じていない状態がベストですが、保有銘柄によっては購入時よりも既に価格が下がってしまっており、今後も価格上昇が見込めない場合があります。その時点で損失状態の保有資産を売却する損切りを行うことで、現時点以上に損失を拡大する危険を防ぐことができます。
参考:損切り(そんぎり) (SMBC日興証券株式会社公式サイト)
初心者の取引におすすめの証券会社
投資初心者がこれから株式投資を始める際におすすめな証券会社をご紹介します。証券会社によってはPTS取引にて時間外に取引を行うことが可能となる場合や、24時間いつでも注文を出すことが可能となることがあります。それぞれの証券会社の利点を理解して、自身の投資に最適な証券会社にて証券口座を開設しましょう。
SBI証券
日本国内のネット証券会社最大手です。ネット証券会社のなかで最も口座開設数が多く、非常に多くの投資家に利用されています。PTS取引によって時間に左右されず株式売買取引を行うことが可能で、さらに初心者向けの新規上場株式、IPO株式(*1)も購入することができます。
スタンダードプラン:1注文の約定代金によって手数料が決定
1注文の約定代金が5万円以内の手数料が54円(税込)
10万円超え20万円以下:105円(税抜)
20万円超え50万円以下:250円(税抜)
アクティブプラン:1日の約定代金の合計より手数料が決定
1日の約定代金合計が10万円以内の手数料は無料
10万円超え20万円以下:191円(税抜)
20万円超え50万円以下:429円(税抜)
手数料の安さに加えて、サポート体制がしっかりしているメリットがあります。
楽天証券
楽天グループのネット証券会社です。投資によって得られたポイントを、そのまま楽天グループの他サービスで活用することができます。
超割コース(1注文の約定代金によって手数料が決定):1注文の約定代金が5万円以内の手数料が54円(税込)
10万円超え20万円以下:105円(税抜)
20万円超え50万円以下:250円(税抜)
いちにち定額コース:1日の約定代金合計が10万円以内場合、手数料が無料
10万円超え20万円以下:100円(税抜)
20万円超え50万円以下:238円(税抜)
楽天証券もSBI証券同様に業界最高水準の手数料を誇ります。また、取引ツールである「マーケットスピード」が高い評価を受けています。PTS取引を利用する際には、SBI証券のシステムを利用することとなります。
松井証券
老舗のネット証券会社です。松井証券では手数料システムが1日定額プランとなっています。
1日の約定代金合計が10万円以内場合、手数料が無料
10万円超え30万円以下:300円(税抜)
手数料については、インターネット経由での注文の場合の価格で、電話注文を行った際には別途手数料が発生します。
マネックス証券
米国株式に強いネット証券会社です。
取引毎手数料コース:1注文の約定代金によって手数料が決定
1注文の約定代金が10万円以下の場合は100円(税抜)
10万円超え20万円以下:180円(税抜)
20万円超え30万円以下:250円(税抜)
一日定額手数料コース:1日の約定代金の合計より手数料が決定
300万円以内:2,500円
600万円以内:5,000円
マネックス証券の1日定額プランでは、取引金額300万円ごとに手数料2,500円が追加される仕組みとなっています。
取引時間にとらわれない長期投資が大切
株式投資の売買取引を行うことができる取引可能時間と、注文可能な時間を解説しました。PTS取引を利用してほとんどの時間に取引を行うことができまうが、デメリットもあり、特に投資初心者によってはハードルが高い投資方法となります。投資初心者は、まず投資によって損失を発生させないことを目標に株式売買取引を行うことが大切です。
また、株式市場の開場時間のなかで株式購入を行うのに最適な時間帯と市場の値動きが激しい時間帯についてもお教えしました。1日のなかで市場の活発度が異なり、日本国内だけでなく海外の経済状況の影響を受けて株価は日々変動します。投資初心者は、株価に左右されない長期投資から始めていきましょう。