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NISA 投資

NISA(ニーサ)・積立NISAの損失リスクと対策。損益通算と繰越控除についても解説

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NISA(ニーサ)を利用した投資の損失リスクとその対策について説明します。投資にリスクは付き物で、これはNISA口座から行った投資についても同様です。一度読んで損失が発生する可能性があるパターンやリスクを抑えた投資方法やテクニックを理解した上で、NISAの利用を判断していきましょう。

NISA(ニーサ)の損失リスクについて書かれた新聞の画像

NISA(ニーサ)・積立NISAで注意すべき非課税期間終了に時損失が出たケース

NISA(ニーサ)や積立NISAを利用した投資の損失リスクについて説明します。運用益が非課税となる非常に魅力的な制度であるNISAと積立NISAですが、非課税期間終了時に保有資産が含み損(*1)となっている場合には注意が必要になります。利用開始前にきちんと理解して、不測の事態に備えておきましょう。

(*1:売却前の資産が損失となっている状態のことです。)

参考:含み損益(ふくみそんえき) (野村證券公式サイト)

NISA(ニーサ)・積立NISAの最大のメリット

税制優遇制度であるNISA(ニーサ)や積立NISAは、運用益(*1)が非課税となる最大のメリットがあります。基本的に、投資の利益に対しては20.315%(*2)の税金がかかりますが、NISA口座から行った投資による利益は上限なく一切税金がかかりません。(*3)

(*1:配当金も非課税対象になります。)
(*2:所得税15.315%、住民税5%です。所得税には「復興特別所得税」として0.315%が含まれています。)
(*3:非課税適用を受けることができる投資額可能額を非課税枠と言い、一般NISAは年間120万円、積立NISAでは年間40万円となっています。)

参考:NISAのメリット[金融庁公式サイト]

NISA(ニーサ)・積立NISA口座で非課税期間終了時に損失が出た場合に注意

NISA(ニーサ)もしくは積立NISA口座で資産運用を行い、5年の非課税期間(*1)終了時に保有資産に損失が出ている場合の注意点を説明します。保有資産が含み損である状態で非課税期間終了を迎え、その時点での資産額で課税口座へ移管されることで、マイナスに加えてさらに税金が課されてしまう可能性があります。このようなリスクに加えて、NISA制度での投資は非課税期間内の損失も投資家の大きなデメリットとなるため、NISA制度を使わない投資家も少なくありません。

以下ではNISA口座での投資で損失が出た際に投資家にリスクが発生する要因を解説します。

(*1:運用益が非課税の適用を受けることができる期間です。一般NISAでは5年、積立NISAでは20年です。)

損益通算ができない

NISA(ニーサ)と積立NISAはどちらも他の証券口座との利益・損失を合算して損失を相殺できる「損益通算」を行うことができません。NISAもしくは積立NISA口座にて行った投資による損失は全て投資家の赤字として負担しなければなりません。

参考:NISAのデメリット[金融庁公式サイト]

損失繰越ができない

NISA(ニーサ)と積立NISA口座では「損失繰越」を行うことができません。通常の証券口座では、その年に行った投資から生じた損失を翌年に繰り越すことで、翌年の利益を使って支払うことができます。つまり、損失が発生した年には損失分の支払いが控除されることになります。この仕組みを「損失繰越」と言いますが、NISA・積立NISA口座の場合は行うことができません。

先程の損益通算も合わせると、NISA口座での投資からある一年に生じた損失は全てその年にそのまま投資家が負担することになります。NISA制度を利用して運用を行っていく際に、この2点が損失が発生した際の大きなデメリットとなる可能性があります。

参考:NISAのデメリット[金融庁公式サイト]

損失を小さくするために

損失リスクを抑えたNISA(ニーサ)口座での投資に有効な方法を2種類ご紹介します。損失発生時の投資家のリスクが非常に大きいNISAでは、できるだけ損失を出さないことが大切になります。では、損失が生じるリスクを最大限抑えて投資を行うには、どのようにすればよいのでしょうか。

ロールオーバー

投資家は、非課税期間終了時に「ロールオーバー」を行うことで非課税期間の延長措置をとることができます。非課税期間の終了に伴って新しいNISA(ニーサ)口座を開設し、そちらに保有資産を移管するという仕組みです。ロールオーバーする資産額には上限がなく、保有資産は全て移管することができます。

ロールオーバーすることで、期間終了時に課税口座へ移管、もしくは資産を売却することで生じ得る損失を抑えることが可能になります。また、その後の値上がりした時点で、新しいNISA口座から売却することも可能になり、非常に便利な方法です。(*1)

しかし、ロールオーバーは積立NISAでは使うことができず、ロールオーバーする資産額分、翌年の新しいNISA口座の非課税枠を消費してしまうというデメリットもあります。
メリット・デメリットの両面をきちんと理解して、最大限損失を少なくできるように上手に活用していきましょう。

(*1:新しいNISA口座での売却なので、売却益は非課税です。)

参考:ロールオーバー (ロールオーバー) (SMBC日興証券株式会社公式サイト)

損切りタイミングを決めておく

NISA口座にて金融商品を購入した際や購入前に損切り(*1)タイミングを決めておくことで、運用を始めて損失が出たときにも迷わず売却に踏み切ることができます。損切りとは、損失の状態にある資産を売却することで、さらなる損失の拡大を防ぐことができる手法です。

保有資産の売却は、投資初心者とって非常に悩ましく、特に損失状態にあるときの資産を売却する決断は難しいです。特に積立NISAでは非課税期間が20年と長く、現時点での損失を一般NISAよりもさらに拡大させてしまう可能性があるので有効な対策です。

損切りタイミングは、基準を超えたときにすぐ売却判断ができるよう、具体的に定めておくことが大切です。(*1)

(*1:例えば、「購入時の金額から20%マイナスとなった時点で売却する。」などです。損失額を具体的に「◯◯円」として設定する方法もあります。)

参考:損切り (そんぎり) (SMBC日興証券株式会社公式サイト)

NISA(ニーサ)でおすすめの銘柄

NISA(ニーサ)の損失リスクとその対策を見てきました。ここからは実際にNISAや積立NISA口座から運用を行う際におすすめの投資先、銘柄をご紹介します。NISAでの運用の際は、配当利回りを大きなポイントとして、非課税メリットを効果的に活用していくことが重要です。

積水ハウス(1928)

住宅業界大手の積水ハウスは、安定的に業績が伸びている企業です。NISA口座から運用を行う際のポイントとなる、大幅な損失を被る可能性も低く、投資額に対する配当金の割合である配当利回りも4.67%(*1)と高水準です。さらに株主優待の利回りも4.72%と非常に高く、NISA口座から安心して運用を行うことが可能です。(*2)

(*1:約2%を基準として利回りが高い、低いと判断されます。2018年9月時点の東京証券取引所の第一部の単純平均利回りは1.67%でした。)
(*2:2018年10月30日時点の数値です。)

参考:平成30年1月決算ハイライト[積水ハウス公式サイト]
参照:株式平均利回り(2018年9月)[日本取引所グループ公式サイト]

オリックス(8591)

ローンや保険など、多岐に渡って金融サービスを提供する企業です。配当利回りは3.55%、優待利回りも3.65%と比較的高くバランスのある銘柄となっています。1株あたりの株主還元率がここ5年で2倍近くまで上昇しており、安定した銘柄であることも分かります。(*1)

(*1:2018年10月30日時点の数値です。)

参照:2019年3月期第2四半期 決算説明会資料[オリックス株式会社]

大和証券G本社(8601)

証券や投資信託に関するサービス提供などを行う企業です。配当利回りは4.40と積水ハウスに引けを取らない高水準を誇ります。運用益が非課税となるNISAにとって、配当利回りの高さは大きなメリットです。加えて優待利回りも4.30%とかなりの高水準で、非常にお得な銘柄と言えます。

株主優待は、通常証券口座でも税金がかかりません。そのため、NISA口座を利用して非課税の恩恵を受けにくくなります。優待利回りが高い銘柄は配当利回りが低い傾向が強く、配当利回りと優待利回りのどちらも高い銘柄は少ないです。今回ご紹介した3銘柄については安定的に業績を伸ばしている優良銘柄と言えるでしょう。(*1)

(*1:2018年10月30日時点の数値です。)

参照:2019年年3月期 第2四半期決算短信〔日本基準〕(連結)[株式会社大和証券グループ本社]

JT(2914)

たばこ事業で有名なJTです。15倍を基準として銘柄の割安度を表す「PER」(*1)の数値が12.59倍となっており、比較的割安な銘柄であることが分かります。また、およそ1.5倍が平均値と言われる配当利回りが5.08%とこちらも高い数値を誇ります。(*2)

(*1:企業の純資産と1株当たりの株価を比較して、株価が資産額に対して割安か割高かを示す数値です。業種ごとに平均は異なります。)
(*2:2019年1月25日時点の数値です。)

ソフトバンクグループ(9984)

情報・通信サービスを提供するソフトバンクグループです。PERは8.98倍と、基準とされる15倍を大きく下回っています。

多くの人が利用する携帯電話サービスを手がけることから、今後も安定した業績が見込まれること、ここ3年の株価が上下変動はあるものの結果的に高騰を続けており、NISA口座にて保有しておくことで安定的に資産形成が行えるメリットがあると言えます。(*1)

(*1:2019年1月25日時点の数値です。)

みずほ(8411)

銀行業やその他様々な金融業を営むみずほFGです。みずほの特徴として最低投資額の安さが挙げられます。みずほの株価は2019年1月25日時点で177円となっており、1単元を17,700円で購入することができます。2万円以下から投資を始めることができ、年間の投資可能額が設定されているNISA制度を利用する際に大きなメリットとなります。

また、銀行業であることから株価が比較的安定していることも、中長期的な投資を目的としたNISA制度とマッチするポイントと言えます。

三菱商事(8058)

卸売業を営む総合商社、三菱商事です。PERが8.85倍と平均を下回り、配当利回りも3.52%と非常に高くなっています。安定した業績を誇り、ここ3年の株価が継続的に上がっている点も魅力的なポイントです。(*1)

(*1:2019年1月25日時点の数値です。)

花王(4452)

化粧品や衛生用品メーカー大手の花王です。株価の割安度を示すPERが25.17倍と非常に高くなっています。

長年に渡って業績を伸ばし増配を続けていることから、長期的に保有することで安定して利益を上げることができる可能性のある銘柄と言えます。(*1)

(*1:2019年1月25日時点の数値です。)

リクルート(6098)

企業向けサービスを様々に提供するリクルートです。

PERは30.82倍とこちらも非常に高く、現時点の株価がかなり割安と評価されていることが分かります。ここ3年での株価高騰率が非常に大きく、今後の伸びに期待できる銘柄です。(*1)

(*1:2019年1月25日時点の数値です。)

ヤクルト(2267)

飲料メーカー大手のヤクルトです。こちらも割安度を表すPERが34.44倍と非常に高く、長期的視点で見て値上がりが期待できる銘柄です。

安定した業績を誇り、大きな株価変動の見込みが少ないことから、損失発生時の投資家保護対策が少ないNISA制度を利用した投資におすすめです。(*1)

(*1:2019年1月25日時点の数値です。)

ソニー(6758)

日本の大手電気機器メーカーのソニーです。配当利回りはあまり高くありませんが、NISAの非課税期間である5年前からの株価変動を見ると、上下があるものの、結果的に大きく値上がりを見せていることが分かります。(*1)

(*1:2019年1月25日時点の数値です。)

NISA(ニーサ)で損失を出すリスクを考えて、対策まで理解して運用していきましょう

NISA(ニーサ)口座で資産運用を行う際の、損失リスクとリスク対策を説明しました。NISA制度は利益が発生した際には利益を非課税にて受け取ることができるという大きなメリットがある一方で、損益通算ができないことや損失繰越ができないことでNISA口座から行った投資の損失は投資家自身で負担することとなり、投資家の負担が大きくなる可能性があります。

損失リスクはあるものの、上手に利用することで通常証券口座よりも効率的に資産形成を行うことができる可能性があります。NISA口座の損失リスクと対策を知った上で、NISA制度の利用を判断することが大切です。NISA口座を賢く使用して自身の資産形成に活用していきましょう。

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