NISA口座で運用を行った場合に確定申告は必要なのでしょうか。
個人事業主や主婦の場合や医療費控除はどのようになるのかなど、NISA制度における確定申告に関する様々な情報をまとめました。
NISA口座を保有し、これから確定申告を行うひと、NISA口座を開設していなくても確定申告について知りたいひと、どちらにも役立つ情報をお伝えします。
NISA口座での運用で、確定申告は必要なのか
NISA口座から株式や投資信託を購入し、運用した際に発生した利益について、確定申告は必要なのでしょうか。
NISA口座での確定申告は原則不要
NISAは運用益が全て非課税になる仕組みです。
そのためNISAでは、払いすぎた税金を取り戻すための仕組みである確定申告は必要ありません。
個人事業主であっても原則不要です。
そもそもNISAでの利益は非課税
NISAは、一定の期間内に定められた金額以内の投資から得られた利益については、非課税となる制度です。
つまり、その範囲内で行われた投資については一切税金がかかりません。
では、このNISA口座からの投資によって、どのような場合に利益がでて、非課税の対象になるのでしょうか。
投資信託や株の売却益
株式や投資信託を、購入時よりも値上がりした時点で売却することで利益がでます。
この売却益についても税金はかかりません。
配当金
株式の配当金についても非課税の対象になります。
しかし、この配当金の受取方法によっては税金がかかってしまうため、注意が必要です。
積立NISAと確定申告
一般NISAに対して、積立NISAについても、同様に税金がかからない制度なため、確定申告は必要ありません。
NISA口座で、確定申告が必要になるケースは?
では、NISA口座で確定申告が必要になるパターンはあるのでしょうか。
ここからは具体的に税金がかかってしまうケースを見て行きます。
配当金へ課税される場合
では、NISA口座から購入した株にも関わらず、配当金に税金がかかってしまう場合とはどのようなケースなのでしょうか。
現金受取or銀行口座振込は課税される
配当金の受取方法にはいくつかありますが、現金を郵便局で直接受け取る、もしくは銀行口座への振込を指定している場合は、課税の対象になってしまいます。
また、この配当金については、1度引かれてしまうと確定申告を行っても戻ってきません。
証券口座振込は非課税
配当金をNISA口座のある証券口座に振り込んでもらう方法です。
これは、保有している株式の数に応じて入金されるます。
配当金をNISAを活用して非課税で受け取る唯一の方法になるため、NISA口座を既に保有している場合にはすぐに受取方法の変更をおすすめします。
NISA口座で外国株を購入している場合
NISA口座から、外国株に投資することも可能ですが、海外の税制に対応している外国株の場合には税金がかかるのでしょうか。
外国株の配当金
外国株は、海外で税金がとられてしまいます。
しかし、この税金は売却による利益についてはかからず、配当金に関してのみ課税されます。
為替差益がある場合
為替差益または為替差損は、確定申告の対象になります。
為替差益とは、株式を売却した際に得られた外貨を日本円に交換する際に、為替によって発生する利益もしくは損失のことです。
この差益・差損は、配当金についても外貨で受け取ることになるため、同様の自体が起こる可能性があり、確定申告が必要になります。
NISA口座での運用時の注意点
ここからは、NISA口座から株式や投資信託を購入して運用を行う際の注意点をお伝えします。
特定口座と一般口座
証券口座を開設する際に、口座の種類を選ぶ必要がでてきます。
証券口座には、特定口座(源泉徴収あり)、特定口座(源泉徴収なし)、一般口座の3種類があり、どの口座で開設するかによって、税金の払い方に差がでてきます。
1)特定口座(源泉徴収あり)
証券会社が確定申告を代わりに行ってくれるため、確定申告の必要はありません。
2)特定口座(源泉徴収なし)
証券会社が書類を用意してくれますが、確定申告自体は投資家が自ら行う必要があります。
3一般口座
書類の作成から確定申告までの一連を投資家自身が行う必要があります。
NISA口座開設時は、「特定口座の源泉なし」がおすすめ
先ほど出てきた「源泉徴収」とは、給料や報酬などを受け取る前に、事前に支払い側が金額に応じて税金の全般を差し引いておく仕組みです。
確定申告の手間がなく、投資家にとって非常に大きなメリットがあるため、NISA口座をこれから作る場合には、特定口座(源泉徴収あり)での開設がおすすめです。
NISA口座以外での利益が20万円以下の場合は確定申告不要
NISA口座以外の証券口座で運用を行っているひとでも、年間での運用益が20万円を超えない場合は、確定申告の必要はありません。
NISA口座の損益通算
税金のかからないNISAでは、他の証券口座での運用益と損失を相殺する損益通算は行うことができません。
そのため、NISA口座で投資を行い、マイナスがでた場合には、そのまま赤字となってしまうリスクがあります。
専業主婦のNISA口座以外での運用益
専業主婦や学生など、扶養に入っている場合でも、NISA口座の運用益から儲けがあっても非課税となるため扶養が外れることはありません。
しかし、NISA口座以外での運用益については、課税の対象になるため、税金がかかってしまいます。
株式や投資信託の運用によって、38万円以上の利益がでた場合、確定申告を行う必要がでてきます。
ちなみに、特定口座(源泉徴収あり)で証券口座を開設している場合、既に源泉徴収されているため、確定申告の必要はありません。
医療費控除は有
医療費控除とは、1年間の医療費を合計して、一定の基準額を超えた分だけ所得からマイナスでき、その分税金が安くなる仕組みです。NISA口座で運用を行っていてもいなくても、この医療控除などのメリットは対象者であれば誰でも受けることができます。
つまり、NISA口座で行った運用については確定申告が不要ですが、「確定申告」自体が必要なくなるわけではないので注意が必要です。
非課税期間終了後の対応
NISAによる運用益が非課税の対象になるのは、5年という限られた期間のみです。
この5年が終了した場合、NISA口座で保有されている資産の全てを非課税期間内に売却するか、特定口座のいずれか・一般口座へ移管、ロールオーバーによって非課税期間を延長するという選択肢があります。
NISAのロールオーバーについては、こちらの記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
特定口座に払い出しをすると確定申告が必要
3つの選択肢のなかで、特定口座へ払出し(移管)を行うと、課税対象になるため、確定申告が必要になります。
期間内に売却orロールオーバーは、確定申告不要
非課税期間内に全ての資産を売却した場合、売却によって利益があってもNISAの非課税の対象になります。
ロールオーバーの場合も、非課税期間が延長されるため、税金はかかりません。
NISA口座が開けるおすすめの証券会社
ここからは、NISA口座を開設することのできる証券会社のなかから、おすすめのNISA口座を紹介します。
SBI証券
まずおすすめするのは、口座開設数でNo1を誇る、ネット証券の最大手「SBI証券」です。
日本の国内株の売買手数料と、外国ETFという外国の上場株の買付手数料についても無料になっています。
IPOという、抽選によって上場前の新規株の事前購入が可能なシステムにも対応しており、非常に便利です。
投資信託の取扱いが2500本を超え、幅広い投資家から高い評価を受けています。
楽天証券
SBI証券と同様に、日本国内株式の売買手数料、外国ETFの買付手数料が無料の楽天証券です。
投資信託の取扱いも2500本を超え、半分の販売手数料が無料となっています。
しかし、IPO株には対応していないため、注意が必要です。
トレードのスピードについて定評があり、上級者にも人気です。
マネックス証券
日本国内の売買手数料に加えて、外国株の購入時の手数料が全額キャッシュバックによって実質無料になります。
投資信託の取扱いは1100本以上と少なめですが、IPOにも対応しており、さらに国内外の株売買手数料が無料になる唯一のNISA口座です。
松井証券
日本の国内株式の売買手数料が無料の老舗の松井証券です。
外国株の取扱いがなく、投資信託も500本以上と少ないですが、取扱い商品のほとんどの販売手数料が無料になります。
国内株式に特化しているため、情報の充実度やツールの質が高いです。
NISA口座と確定申告の仕組みを理解し、お得に運用していきましょう
NISA口座と確定申告にまつわる様々なテーマを取り上げました。
税金の計算は、手続きを間違えると脱税となってしまう恐れもあるため、きちんと理解することが大切です。