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iDeCo(イデコ)の加入で住民税が安くなる?節税の計算方法と手続きについて

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iDeCo(イデコ)とは、個人で拠出と運用を行う個人型確定拠出年金です。iDeCoに加入すると、翌年の住民税の節税や保育料のコスト削減などのメリットを受けることができます。今回は、iDeCoによる住民税節税の仕組みについて解説します。なお、iDeCoで住民税を節約するためには年末調整や確定申告の手続きが必要です。仕組みだけでなく、手続き方法についてもきちんと把握しましょう。

イデコと住民税の関係性について検索しているパソコン

iDeCo(イデコ)による住民税節税とは

iDeCoを利用することで住民税を節税することができます。では、どのように節税できるのか、その仕組みと学びましょう。

住民税の仕組み

住民税は支払い義務のある税金です。iDeCoによる住民税節税の仕組みの前に、まずは住民税とは何かをおさえましょう。

2種類の住民税

住民税とは、居住地域から徴収される税金です。住民税には、都道府県に支払う都道府県民税金と市町村に支払う市町村民税きんの2種類あります。私たちは、これら両方の住民税を支払う義務があります。

所得割と均等割

住民税は、所得割と均等割で税額が決定します。所得割は所得に応じた税額であるのに対し、均等割は同じ地域の居住者共通の税額です。住民税は、この所得割と均等割を併せて算出されます。

所得割の計算方法

住民税の所得割は、以下の手順で算出します。住民税の支払いは翌年です。つまり、支払いする際は前年の年収で計算する必要があります。

  1. 年収-控除=所得
  2. 所得×税率(都道府県民税金:4%、市区町村民税金:6%)=住民税

納める地域

住民税の納付先は、その年の1月1日から居住している地域です。納付方法としては、特別徴収と普通徴収の2種類あります。特別徴収とは、企業に務める会社員や公務員が勤め先から給与天引きで支払う方法です。一方の普通徴収とは、確定申告で支払う方法です。自営業者やフリーランスの場合、確定申告で住民税を支払わなければいけません。

iDeCo(イデコ)で住民税が節税される仕組み

iDeCoの加入者は、掛金の金額に応じて住民税を節税することができます。なぜなら、iDeCoは掛金が全額所得控除の対象となるためです。

掛金が全額所得控除

iDeCoに拠出した掛金は、全額を所得控除として適用することができ、その結果住民税の減額に繋がります。もう少し、詳しく節税の仕組みを見ていきましょう。

前述したように、住民税は所得と税率を掛け合わせたものです。この所得は年収から控除を差し引いて算出されます。つまり、控除額が大きければ大きいほど、所得は小さくなり、税金を安く抑えることができます。iDeCoの掛金は控除として年収から差し引くことができるため、節税となるのです。

  1. 年収-控除=所得
  2. 所得×税率(都道府県民税金:4%、市区町村民税金:6%)=住民税

職業によって異なる掛金の上限

iDeCoの掛金は、職業ごとに以下のように上限(月額)が定められています。つまり、掛金の上限額に応じて、住民税の最大控除額も異なります。

上限の範囲内であれば、掛金を変更することもできます。ただし、掛金の変更手続きは年に1度に限られます。

職業 上限額 最低額
自営業 68,000円 5,000円
会社員(*1) 23,000円 5,000円
会社員(*2) 20,000円 5,000円
会社員(*3) 12,000円 5,000円
専業主婦・専業主夫 23,000円 5,000円
公務員 12,000円 5,000円

(*1:企業型確定拠出年金や確定給付企業年金に加入していない方)
(*2:企業型確定拠出年金のみ加入している方)
(*3:確定給付企業年金のみ、または企業型確定拠出年金と確定給付企業年金を併用している方)

iDeCo(イデコ)による住民税節税の計算

iDeCoによる住民税の年間節税額は、以下の計算式で算出できます。

掛金×12ヶ月×10%(都道府県民税金:4%、市区町村民税金:6%)

例えば、Aさんの場合なら16,800円、Bさんの場合なら66,000円、Cさんの場合なら9,600円の節約になります。

主婦 Aさん
掛金 14,000円

自営業 Bさん
掛金 55,000円

会社員 Cさん
掛金 8,000円

掛金を変えてシミュレーション

iDeCoによる住民税の節税額は、シミュレーションツールを使うことでもっと簡単に計算することができます。iDeCo公式サイトや各金融機関では、iDeCoの節約できる税金や将来の受け取り額を計算できるシミュレーションツールを無料で公開しています。シミュレーションツールでは、住民税だけでなく所得税の節税額も確認できます。ぜひ、一度利用してみてはいかがでしょうか。

iDeCo公式サイト

住民税と保育料

ここで、余談ではありますが、住民税と保育料の関係性についても解説しておきます。公立の保育園の保育料は、住民税の金額によって決定します。住民税が高い方は年収が多いため、その分保育料も高くなります。

しかし、iDeCoを活用することで保育料を安くすることができます。前述したように、iDeCoの掛金は所得控除の対象となり、住民税が安くなるためです。iDeCoに加入すると、住民税だけでなく保育料も安くなるメリットがあるのです。

iDeCo(イデコ)による住民税節税のための手続き

iDeCoに加入すると、自動的に住民税が安くなるわけではありません。住民税を節税するためには、手続きが必要です。この手続きは、職業によって種類や方法が異なるため、必ず確認しましょう。

住民税節税に必要な手続きは、年末調整もしくは確定申告です。

年末調整

iDeCoで住民税を節約する場合は、年末調整の手続きが必要です。年末調整とは、所得にかかる税金を清算する手続きで、毎年年末に行われます。

iDeCo(イデコ)の年末調整の書き方は?年末調整を忘れた場合はどうする?

対象者

年末調整の対象者は、会社員もしくは公務員で個人払込を利用している方です。個人払込とは、掛金の支払い方法の1種であり、個人の口座から口座振替で支払う方法です。会社員や公務員の方で、事業主払込(*1)を利用している方は年末調整は不要で、特に手続きをする必要なく掛金額が所得控除に反映されます。

(*1:iDeCoの掛金を給与天引きで支払う方法です)

必要な手続き・書類

年末調整の手続きは、以下の手順で行います。「小規模企業共済等掛金払込証明書」とは、iDeCoの掛金を支払った場合に郵送される証明書です。10月以降に届くため、必ず保管しましょう。

  1. 年末調整の書類に年間の掛金額を記入
  2. 小規模企業共済等掛金払込証明書を添付して、勤め先に提出

確定申告

確定申告も年末調整と同様に、所得にかかる税金を清算する手続きです。ただし、年末調整は年末〜1月31日が締め切りで、確定申告は2月16日〜3月15日が締め切りとなっています。

iDeCo(イデコ)は確定申告が必要です。手続きの際は証明書の確認を

対象者

確定申告の対象者は、主に給与の支払いのない自営業者やフリーランスの方です。さらに、会社員や公務員の方であっても、年末調整の手続きを忘れた場合は、確定申告が必要です。

必要な手続き・書類

確定申告の手続きは、以下の手順で行います。確定申告の際にも「小規模企業共済等掛金払込証明書」が必要です。万が一、証明書を紛失した場合は、小規模企業共済で再発行手続きを行なってください。

  1. 確定申告の書類に年間の掛金額を記入
  2. 小規模企業共済等掛金払込証明書を添付して、税務署に提出

小規模企業共済「掛金払込証明書」の再発行

iDeCo(イデコ)利用によるそのほかのメリット

iDeCoを利用することで、住民税や所得税、さらには保育料を節約することができます。しかし、iDeCoのメリットはそれだけではありません。iDeCoは、資産の運用時や受け取り時においても節税することができます。

運用益が非課税

iDeCoを運用した際、発生した運用益には税金が課されません。運用益とは、投資信託や株式投資などで発生した利益のことを指します。

iDeCoは投資信託を利用して年金を増やす制度です。通常であれば、投資信託で発生した運用益には20.315%の税金が発生します。しかし、iDeCoで発生した運用益に関しては、全額が非課税対象です。利益が多ければ多いほど、節税メリットも大きくなります。

受け取り時に税制優遇

iDeCoの資産を受け取る際にも、税制優遇を受けることができます。ただし、受け取り方に注意が必要です。

2種類の受け取り方

iDeCoで運用した資産は一括もしくは分割で受け取ることができます。一括で受け取る場合は、退職金扱いとなり、退職所得控除が適用されます。一方で、分割で受け取る場合は年金扱いとなり、公的年金等控除が適用されます。

一括で受け取る場合も分割で受け取る場合も、控除が適用されるため、税金を安く抑えることができます。

受け取り方次第で節税にならないので注意

iDeCoの資産を一括で受け取る場合には注意が必要です。iDeCoの退職所得控除は、以下のように加入年数で算出されます。つまり、iDeCoの加入期間が15年であれば、控除額は600万円になります。

加入期間が20年以内 40万円×加入期間
加入期間が20年以上 800万円+70万円×(加入期間-20年)

ただし、企業に勤めており、企業の退職金を受け取る場合は控除額が減ってしまうのです。なぜなら、企業の退職金も退職所得控除が適用されるためです。iDeCoの資産を一括で受け取る場合、退職金を受け取ってから15年経過すると、上記の控除額を受けることができるので、受け取りのタイミングには注意しましょう。

住民税・節税に関する正しい知識でiDeCo(イデコ)を運用

今回はiDeCoと住民税の関係性について解説しました。住民税は居住している地域から徴収される税金であり、支払い義務があります。しかし、iDeCoに加入することで、所得控除が適用され、住民税を安く抑えることができます。さらに、iDeCoには保育料の減額、運用益の非課税、退職所得控除や公的年金等控除を活用できるメリットもあります。

iDeCoで減額できる住民税は、職業ごとによって異なります。さらに、住民税を節税するためには、年末調整もしくは確定申告の手続きが必要です。住民税の節税方法や仕組みを理解してから、iDeCoを効率的に運用しましょう。

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