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iDeCo(イデコ)の運用指図者のメリットとは。手続き方法や手数料について解説

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iDeCo(イデコ)に加入したいが拠出する余裕がない場合に、運用指図者としてiDeCoに加入することができます。運用指図者とは、掛金の拠出は行わず運用のみ行う人のことを指します。ただし、運用指図者になるには変更手続きが必要です。さらに、掛金を拠出しない場合でも手数料は発生します。運用指図者を検討している方は、変更手続きや手数料についてもきちんと理解しましょう。

運用指図者としてイデコを運用している

iDeCo(イデコ)の運用指図者と加入者

iDeCoを利用している方は、運用指図者と加入者に分けられます。この両者の違いは掛金の拠出の有無です。さらに、運用指図者か加入者かによって、iDeCoの節税メリットを受けられるかも変わります。両者の違いについて、きちんと知っておきましょう。

運用指図者と加入者の違い

運用指図者と加入者の違いは、掛金を拠出しているかどうかです。通常、iDeCoに加入した場合、毎月拠出する掛金をもとに運用を行います。掛金を拠出し、運用を行なっている人は加入者に該当します。一方、掛金を拠出せず、運用のみ行なっている人は運用指図者に該当します。

iDeCoの加入者と運用指図者の割合は、2018年8月時点でiDeCoの加入者が101万人、運用指図者は54万人に及び、運用指図者は年々増加傾向にあります。

参考:みずほ総合研究所 iDeCo加入者が100万人超え

運用指図者となる人

iDeCoでは、以下の条件を満たした場合、運用指図者に該当します。

  1. 60歳〜70歳でiDeCo加入者だった場合
  2. iDeCoの加入者資格を喪失した場合
  3. 加入者から運用指図者になることを選んだ場合

1.60歳〜70歳でiDeCo加入者だった場合

iDeCo加入者であっても、60歳以降は運用指図者に変更されます。iDeCoは掛金を拠出し、年金を増やす制度ですが、拠出できるのは60歳までと定められています。これまで加入者として拠出していた方も、60歳以降は運用指図者として資産運用のみ行います。

2.iDeCoの加入者資格を喪失した場合

iDeCoでは、以下の場合に加入者資格を喪失します。加入者資格を喪失した場合、運用指図者に変更もしくは脱退手続きをする必要があります。

  • 海外居住者
  • 国民年金保険料の免除者
  • 農業者年金の被保険者
  • 3.加入者から運用指図者になることを選んだ場合

    経済的な問題により、拠出が困難になった場合には、運用指図者に変更することができます。その際は、加入者資格喪失届を提出する必要があります。なお、運用指図者になった場合でも、のちに加入者に戻ることは可能です。

    運用指図者のメリット

    iDeCoの運用指図者には、以下のメリットが挙げられます。

    1. 経済的に拠出が厳しくなった時の一時処置となれる
    2. 受け取りのタイミングをずらすことができる

    1.経済的に拠出が厳しくなった時の一時処置となれる

    iDeCo公式サイトでは以下のように明記されています。

    iDeCoは、老後の資産形成を目的とした年金制度であることを理由に税制優遇措置が講じられており、一般の貯蓄等とは異なります。加入後は、原則、60歳以降の受給年齢に到達するまで、資産を引き出すことができません。

    引用元:iDeCo公式サイト

    つまり、iDeCoは将来の年金を増やすために設立された制度であり、拠出が困難になった場合でも原則60歳まで解約できません。その救済処置として、希望者は運用指図者の制度を利用することができます。

    2.受け取りのタイミングをずらすことができる

    iDeCoの受給開始年齢は60歳です。しかし、運用状況によっては、受け取りのタイミングを伸ばす方が、資産を増やせる場合もあります。その際、70歳までなら運用指図者として運用を継続し、自分のタイミングで資産を引き出すことができます。

    運用指図者のデメリット

    運用指図者にはメリットがある一方で、デメリットもあります。それは、手数料がかかることと控除額が減額されてしまうことです。

    加入者に戻る際の手続き

    運用指図者が加入者に戻る際は、手続きが必要です。その際、被保険者階級の変更手続きも必要です。会社員や公務員の方は、加入手続きの際、申込書に勤め先の押印が必要です。勤め先の記入がなければ加入者になることはできないので、必ず不備のないように加入手続きを行いましょう。

    所得控除ができない

    運用指図者は、iDeCoのメリットである所得控除を利用することができません。なぜなら、所得控除ができるのは掛金を拠出している場合であり、運用指図者は掛金を拠出していないからです。iDeCoのメリットである掛金全額を所得控除は、加入者だけのメリットとなります。

    退職所得控除額の勤続年数に含まれない

    運用指図者である期間中は、退職所得控除額の勤続年数に含まれません。退職金を受け取る際、退職金の金額に応じて税金が発生します。その税金を安く抑えるために、退職所得控除を受けることができます。

    退職所得控除額は以下のように計算しますが、運用指図者である場合は勤続年数に含まれません。つまり、退職所得控除額が減ってしまうことになります。

  • 勤続年数が20年以内 40万円×勤続年数
  • 勤続年数が20年以上 800万円+70万円×(勤続年数-20年)
  • iDeCo(イデコ)の運用指図者の手数料

    運用指図者になった場合、以下の手数料が発生します。

    1. 口座管理手数料
    2. 信託報酬
    3. 加入時・移換時手数料(初回のみ)

    1.口座管理手数料

    口座管理手数料は、iDeCoを利用している金融機関などに支払う手数料です。拠出を行っていない場合でも、口座管理手数料は毎月発生します。

    2.信託報酬

    信託報酬は、投資信託を運用する手数料です。運用指図者も運用は継続しているため、信託報酬を支払う必要があります。

    3.加入時・移換時手数料(初回のみ)

    iDeCoの運用指図者になる際、加入手数料が必要です。ただし、支払う必要があるのは新たにiDeCoに加入する方です。これまでiDeCoに加入しており、加入者から運用指図者に変更する場合は必要ありません。企業型確定拠出年金に加入していた方が、iDeCoに運用指図者として加入する場合は手数料が発生します。

    運用指図者におすすめの商品の選び方

    運用指図者の商品選びは、それぞれの運用方針によって異なります。数ある商品の中から選ぶ場合、資産を大きく増やしたいのかを基準に判断しましょう。

    資産を増やしたい場合

    資産を増やしたい方は、投資信託を中心とした運用がおすすめです。iDeCoには、元本変動型商品と元本確保型商品の2種類あり、投資信託は元本変動型に該当します。投資信託は、掛金以上に資産を増やすことができるのが特徴です。しかし、価格変動により、資産を減らしてしまう可能性もあるため、元本変動型と元本確保型をバランス良く組み合わせましょう。

    資産が減ることが嫌な場合

    資産を減らす可能性を少しでも抑えたい場合は、元本確保型商品を中心とした運用がおすすめです。元本確保型は、定期預金や保険が該当します。ただし、元本確保型は大きく減らすことがなければ、大きく増やすこともできません。元本確保型のみだと、利率よりも手数料が上回り、結果マイナス成績になることもあります。

    運用指図者から加入者への変更

    iDeCoの運用指図者から加入者へ変更する場合、申込書を取り寄せ、各金融機関に提出します。申込書の種類は職業ごとに異なり、特に会社員や公務員の方は勤め先の押印が必要です。変更手続きには、2ヶ月前後かかるため、余裕を持って申し込みましょう。

    職業 必要書類
    自営業 個人型年金加入申出書
    会社員 個人型年金加入申出書 事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書
    専業主婦 個人型年金加入申出書
    公務員 個人型年金加入申出書 第2号加入者に係る事業主の証明書(共済組合員用)

    運用指図者のメリット・デメリットを理解して進めましょう

    今回はiDeCoの運用指図者について解説しました。iDeCoの利用者は、加入者と運用指図者に分けられ、拠出を行わず運用のみを行う方は運用指図者に該当します。

    運用指図者は、拠出が困難になった場合の救済処置として活用できます。しかし、運用指図者の期間は退職所得控除の勤続年数の対象外、口座管理手数料の発生などのデメリットもあります。さらに、加入者から運用指図者になる場合、またはその逆の場合の両方とも手続きが必要であり、最低でも1ヶ月必要です。

    iDeCoの運用指図者に変更する場合は、デメリットもきちんと把握し、余裕を持って手続きを行いましょう。

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