株式取引を行う場である、証券取引所の概要を解説します。日本の証券取引所はもちろん、世界の証券取引所を紹介し、東京証券取引所の市場の種類についてもお教えします。証券取引所は株式売買取引を行う場所として、株式投資を行ううえで避けて通れないポイントです。これから株式投資を行おうと考えている方はきちんと理解して、自身の投資に役立てていきましょう。
株の取引所の概要
株式を売買取引する取引所について説明します。株式投資を行ううえで、売買取引は欠かせません。そのため、株式取引を行う証券取引所に関する知識は、株式投資を始める前に知っておくことが大切です。きちんと理解して自身の株式投資に役立てていきましょう。
株の取引が行われる場所とは
株式の売買取引が行なわれる証券取引所の概要と、日本と世界の証券取引所の違いを解説します。株式投資を行う際に必須の知識となりますので、きちんと理解して投資の仕組みをきちんと理解しておきましょう。
証券取引所
証券取引所とは証券が取引される場所のことで、株式投資においては株式市場とも言われます。証券取引所は、世界中にいる投資家と非常に多くの株式会社のそれぞれの売買注文をスムーズにするために設立され、投資家と株式会社それぞれの売買注文がルールに基づいて約定(*1)されます。
(*1:売買注文が成立することです。)
参考:約定(やくじょう) (SMBC日興証券株式会社公式サイト)
参考:証券取引所(しょうけんとりひきじょ) (日本証券業協会公式サイト)
日本の証券取引所
日本には、全国で4ヶ所に証券取引所があります。
東京証券取引所には4種類の市場があり、企業の規模に応じてそれぞれの市場に登録されることとなります。
(*1:2013年に大阪証券取引所と合併し、日本取引所グループが誕生しました。)
世界の主要証券取引所
東京証券取引所は世界的にも非常に大きな市場ですが、世界にも多くの証券取引所が存在します。
- ニューヨーク証券取引所
- NASDAQ(ナスダック)証券取引所
- 上海証券取引所
ニューヨークにある、世界最大の証券取引所です。現在2,400を超える世界中の企業が上場企業として登録されています。
こちらもニューヨークにある市場で、東証のマザーズと同様に新興企業などが登録されている市場になります。現在3,429の企業が登録され、日本企業ではキリンや任天堂などが登録されています。
中国最大、世界では東京証券取引所に次ぐ世界4位の規模を誇ります。1,492の企業が市場に登録され、香港証券取引所と連携を深めています。
従来は上述のニューヨーク、東京、ロンドンの3市場が世界三代証券取引所と言われていましたが、金融都市として香港が台頭してきたことで、現在は三代証券取引所の定義が曖昧となっています。
参考:List at the NYSE(NYSE公式サイト)
参考:Company List(NASDAQ, NYSE, & AMEX) (NASDAQ公式サイト)
参考:Company List(SHANGHAI STOCK EXCHANGE公式サイト)
東証における市場の種類
ここからは、東京証券取引所の市場を解説します。東京証券取引所には以下4種類の市場があります。
上から順に市場に登録できる条件が厳しくなっており、東証一部上場が最難関となっています。
東証一部
現在、東京証券取引所には約3,600社が登録されており、そのうち2,131の企業が上場企業(*1)として名を連ねています。国内外問わず世界的な大企業が多く登録され、売買取引も世界的に見て非常に活発な市場です。投資家は、証券取引所にて上場企業の株式のみを取引することができます。
(*1:一部に登録されている企業のことです。)
参考:上場会社数・上場株式数(日本取引所グループ公式サイト)
東証二部
一部よりも登録基準が緩い市場です。東証二部には現在、496の企業が登録されています。一部上場企業よりも中堅で老舗の企業が多く登録されている印象です。
参考:上場会社数・上場株式数(日本取引所グループ公式サイト)
マザーズ
一部や二部に登録することができないような新興企業が登録されている市場です。将来的に一部上場を目指す企業として登録され、現在では274の企業が登録されています。
参考:上場会社数・上場株式数(日本取引所グループ公式サイト)
JASDAQ(ジャスダック)
マザーズ同様に新興企業が登録されている市場で、特にIT企業が多いのが特徴的です。過去には楽天がJASDAQ(ジャスダック)から東証一部上場を果たしましたが、基本的には規模の小さい銘柄がほとんどです。
参考:上場会社数・上場株式数(日本取引所グループ公式サイト)
証券取引所の見学
証券取引所の見学ツアーを説明します。実際の証券取引所を見て、株式投資の現場を覗いてみましょう。
東京証券取引所
東京証券取引所では、見学施設「東証Arrows」をツアーもしくは自由に見学することができます。東証Arrowsとは、投資家に対してリアルタイムな株価を配信し、上場企業に対しては情報開示をサポートする役割を担っています。株式売買を監理するマーケットセンターを見学することができます。
大阪証券取引所
大阪証券取引所では、自由見学もしくは団体それぞれで見学ツアーを申し込むことができます。株式や先物・オプション取引について学ぶことができる施設を見学することができ、証券取引について学ぶことができます。
名古屋証券取引所
名古屋証券取引所では、売買監理室を見学することができます。個人・団体どちらでも見学可能ですが、団体の場合には事前予約が必要です。
札幌証券取引所
札幌証券取引所では、札幌証券取引所の上場会社に関する資料を閲覧することができます。しかし、売買立会会が廃止されてしまったため、システム売買等の見学はできません。
参考:札幌証券取引所の見学について(札幌証券取引所公式サイト)
福岡証券取引所
福岡証券取引所では、証券取引所の見学を行うことはできませんが、証券取引所が主催する上場企業説明会に参加することができます。これは、「福証IRフェア」と言われ、福証上場企業が個人投資家向けに企業業績、将来展望などを話す会社説明会です。
証券取引所における売買の仕組み
ここからは、証券取引所における株式売買取引の仕組みを解説します。株価決定の仕組みから、売買注文の約定の際の原則、証券取引所にて株式売買取引ができる時間帯を説明します。これから株式投資を行う方にとって非常に重要な情報ですので、きちんと理解して自身の投資に役立てていきましょう。
オークション形式
東京証券取引所における株価の決定方式で、競争売買によって売買契約が締結される形式です。売買注文それぞれが一箇所に出され、最も有利な条件から約定されます。オークション形式を採用する市場は、「オーダー・ドリブン」と言われ、価格優先と時間優先の原則に則って売買取引が行なわれます。
参考:オークション方式(おーくしょんほうしき) (大和証券株式会社公式サイト)
価格優先の原則
オークション形式では、発注時に市場に出ている注文のなかから注文者にとって最も不利な価格の注文から約定されます。(*1)この取引ルールを価格優先の原則と言い、買い注文の際には最も高値の買い注文から、反対に売り注文の際には最安値の注文から約定することとなります。
(*1:値段優先とも言います。)
参考:価格優先の原則(かかくゆうせんのげんそく) (SMBC日興証券株式会社公式サイト)
時間優先の原則
さらに、オークション形式では取引所に出ている売買注文は、価格が同じであれば先に出された注文から約定されるという原則があります。そのため、オークション形式は上述の価格優先原則と合わせて2原則に則って、注文者にとって不利な最も先に出された注文から約定していくこととなります。
参考:時間優先の原則(じかんゆうせんのげんそく) (日本証券業協会公式サイト)
株取引ができる時間帯
証券取引所での株式売買取引は、証券取引所が開いている開場時間内に行う必要があります。東京証券取引所では以下の時間帯に売買取引を行うことができます。
東京証券取引所の取引可能時間は、昼休憩を挟んで前場(ぜんば)と後場(ごば)の二時間帯に分かれています。証券取引所は平日のみ開場するため、平日の日中のみ、証券取引所で株式売買取引を行うことが可能となっています。
参考:立会時間(日本取引所グループ公式サイト)
株の取引可能時間はいつ?土日祝日も取引できる?時間外取引と注文可能時間も解説
証券取引所と証券会社の違い
証券会社は投資家と株式会社を仲介し、株式の売買注文を証券取引所に出す役割を果たしています。証券会社という仲介者を通じて、証券取引所という注文を扱うお店に自身の注文を出してもらうこととなります。
証券取引所の役割を理解してトレード
証券取引所の概要を説明しました。株式投資の売買取引を行う場として、証券取引所については誰しもが知っておくべき知識です。特に、投資家が売買取引を行うことができる立会時間については、知らないと取引を行うことができないため、重要な情報です。また、株価決定の背景を理解しておくことで、自身が投資対象を選ぶ際の参考とすることができます。証券取引所についてきちんと理解して、世界第三位の規模を誇る東京証券取引所で株式売買取引を行っていきましょう。