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iDeCo(イデコ)と厚生年金は併用すると受給額が減る?両者の違いや関係性とは

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こちらでは、iDeCo(イデコ)と厚生年金の違いについて解説します。iDeCoとは、個人で加入することができる私的年金で、厚生年金とは会社員や公務員のみが加入できる公的年金です。両方の年金制度を併用し、老後の生活に備えましょう。ただし、限度額や移換方法など注意点もあるので、違いについてもきちんと理解しましょう。

イデコと厚生年金の違いを調べる会社員

iDeCo(イデコ)と厚生年金

iDeCoと厚生年金は、どのような関係にあるのでしょうか? まずは、日本の年金制度から見てみましょう。

日本の年金制度

日本の年金制度は、3階建て構造と言われています。職業によって3階建て構造は異なりますが、会社員の場合、1階部分は国民年金、2階部分は厚生年金、そして3階部分は企業年金となっています。

では、それぞれの階の年金制度について、もう少し掘り下げていきましょう。

職種問わず共通の国民年金

まず、1階部分の国民年金です。国民年金は、20歳以上60歳未満の日本国民は加入が義務付けられている公的年金です。加入者は保険料支払いも義務となっており、65歳を迎えると年金の支給が開始します。

20歳以上の日本国民には加入が義務付けられていますが、大学生などは学生納付特例制度を利用することで、納付猶予を受けることができます。納付猶予期間の保険料は、大学卒業後に追納することが可能です。

会社員のための厚生年金

次の2階部分の厚生年金は、会社員もしくは公務員のみが加入することができる年金です。これまで公務員は、厚生年金ではなく、共済年金に加入が義務付けられていました。しかし、2015年の被用者年金制度一元化により、共済年金は廃止され、厚生年金へ統合されました。

厚生年金は、会社員や公務員として勤めると自動で加入することになります。保険料と年金支給額は給与によって変動します。支給は原則65歳から開始ですが、繰り上げ受給もしくは繰り下げ受給で、65歳前後から受け取ることも可能です。

企業が独自に導入する企業年金

企業年金とは、各企業が独自に導入する年金の総称です。企業年金の代表例として、以下のような年金が挙げられます。

  • 確定給付企業年金
  • 確定拠出年金
  • 厚生年金基金
  • 確定給付企業年金と確定拠出年金の違いは、給付額の決定のタイミングです。確定給付企業年金は、あらかじめ給付額が決まっており、運用の成績で給付額が減額されることがありません。一方の確定拠出年金は、運用成績で給付金額が決定します。さらに、確定拠出年金は会社員自身が運用を行います。

    厚生年金基金は、厚生年金と名称が類似していますが、別物です。厚生年金は全ての企業に加入が義務付けられていますが、厚生年金基金は企業ごとに導入の有無が異なります。また、厚生年金基金は、厚生年金とは別に支給の請求を行う必要があります。

    老後資金をつくるiDeCo(イデコ)

    会社員が加入できる年金として、国民年金、厚生年金、企業年金をご紹介しました。しかし、それ以外にも加入できる年金があります。その1つが個人で加入できるiDeCoです。「私的年金に加入する必要があるの?」と、感じるかもしれませんが、老後の備えとして国や運用機関から推奨されています。

    家計の金融行動に関する世論調査(*1)において、老後の必要資金の目安として月額27万円程度が必要だと判明しました。国民年金の平均支給額は月額55,464円、厚生年金の平均支給額は月額147,927円です。もし、勤め先が企業年金を導入していない場合、国民年金と厚生年金だけでは必要資金を賄うことができません。

    その不足分を賄うことができるのが、私的年金であるiDeCoです。

    (*1:金融広報中央委員会による世論調査)
    参照:家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 平成29年調査結果

    iDeCo(イデコ)とは

    iDeCoとは、個人で加入できる私的年金制度です。加入者自身で、金融機関の選定、掛金の拠出、運用のすべてを行い、運用で得た利益を年金として受け取ります。そのようなiDeCoは、メリットとして以下の3点が挙げられます。

    1. 掛金が全額所得控除
    2. 運用益が非課税
    3. 受け取り時に控除

    1.掛金が全額所得控除

    iDeCoのメリット1点めは、掛金が全額所得控除であることです。所得控除とは、所得にかかる税金を減額することができる制度です。

    通常、所得税や住民税は年収に税率をかけて算出されます。しかし、iDeCoに加入すると、年収から掛金額を差し引いてから税金を算出します。そのため、iDeCoの掛金が多ければ多いほど、支払う税金を節約することができます。

    2.運用益が非課税

    iDeCoの投資信託は、発生した運用益には税金が課されません。

    通常の株式投資や投資信託では、運用で発生した利益に20.315%の税金が課されます。例えば、株式投資で40,000円の利益が出た場合、実際の受け取り額は31,874円(40,000円-8,126円)です。しかし、iDeCoであれば、40,000円の利益全額を年金として受け取ることができます。

    3.受け取り時に控除

    iDeCoで運用した資産を受け取る際、控除が適用されます。

    iDeCoの資産は、60歳以降に一括もしくは分割で受け取ります。一括で受け取る場合は退職所得控除、分割で受け取る場合は公的年金等控除が適用されます。上述したように、控除は支払う税金を節約することができる制度です。一括もしくは分割のどちらの方法を選んでも、受け取った際に税金が軽減されます。

    iDeCo(イデコ)の上限額

    iDeCoは原則20歳以上60歳未満であれば、誰でも加入することができます。ただし、掛金の金額に関しては、職業ごとに上限が定められています。さらに、会社員の場合は加入している企業年金で上限額が異なります。

    なお、拠出できる最低額に関しては、全職業共通で5,000円と決まっています。

    厚生年金基金等の確定給付型の年金を実施している場合

    確定給付企業年金に加入している、もしくは確定給付企業年金と企業型確定拠出年金の両方に加入している場合、上限額は12,000円です。

    企業型確定拠出年金のみ実施している場合

    企業型確定拠出年金のみ加入している場合は、上限額は20,000円です。

    企業型確定拠出年金や厚生年金基金等の確定給付型の年金を実施していない場合

    企業型確定拠出年金や厚生年金基金等の確定給付企業年金の年金に加入していない場合は、上限額は23,000円です。企業年金に加入している数が少ないほど、iDeCoの掛金は引き上げられる仕組みになっています。

    iDeCo(イデコ)のよくある質問

    こちらでは、iDeCoでよくある質問についてまとめました。今回は以下の3つの質問にお答えします。

    厚生年金未加入の人はiDeCo(イデコ)に加入できる?

    厚生年金に加入していない方も、iDeCoに加入することはできます。iDeCoの加入条件は以下の3点です。

  • 20歳以上60歳未満であること
  • 国民年金保険料を納付していること
  • 国内在住者であること
  • つまり、iDeCoに加入できないのは、60歳以上の方、国民年金保険料が未納の方、海外在住者となります。

    iDeCo(イデコ)への移換方法は?

    企業年金で運用していた資産をiDeCoに移換することができます。

    まず、企業型確定拠出年金に加入していた方は、iDeCoを利用する金融機関に「個人別管理資産移換依頼書」と「個人型年金加入申出書」を提出すれば、移換手続き完了です。

    厚生年金基金、もしくは確定給付企業年金に加入していた方は、iDeCoを利用する金融機関に「厚生年金基金・確定給付企業年金移換申出書」と「個人型年金加入申出書」を提出します。各申出書や依頼書に関しては、金融機関に資料請求もしくはiDeCo公式サイトからダウンロードしてください。

    iDeCo(イデコ)で厚生年金の受給が減る?

    iDeCoに加入したからといって、厚生年金の受給額が減ることはありません。厚生年金に影響するのは、選択制確定拠出年金です。

    選択制確定拠出年金とは、企業が企業型確定拠出年金を導入しているが、加入は本人の意思に任せる制度です。加入者は、掛金を給与から差し引かれます。つまり、選択制確定拠出年金の加入者は未加入者と比べて、給与が減ることになります。

    厚生年金の受給額は、給与額が影響すると上述しました。選択制企業型確定拠出年金を利用すると、給与が下がり、結果厚生年金の受給も減るということです。

    iDeCo(イデコ)と厚生年金の併用で老後の資産を構築

    今回はiDeCoと厚生年金の関係性について解説しました。

    日本の年金制度は3階建て構造と言われており、会社員の場合は、国民年金、厚生年金、そして企業年金に加入することができます。さらに、2001年からはこれらの年金に加えて、iDeCoにも加入できるようになりました。

    iDeCoは、個人で加入できる私的年金で、掛金の所得控除、運用益の非課税、受け取りの控除などメリットがあり、企業年金で運用していた資産を引き継ぐこともできます。ただし、iDeCoに加入する場合は、企業で加入している年金の有無で掛金の上限額が異なります。

    iDeCoと厚生年金の違いを理解し、ご自身の状況に合わせて活用しましょう。

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