iDeCo(イデコ)の加入者が転職した場合、iDeCoを引き続き継続することはできます。しかし、登録事業所の証明書の提出が求められます。さらに、自営業・専業主婦(夫)の方が会社員や公務員になる場合は、被保険者種別の変更手続きも必要です。必要な手続きを行わなかった場合、自動移換や掛金の還付措置が行われるので注意しましょう。
iDeCo(イデコ)加入者が転職したら?
iDeCoの加入者が転職した場合、勤め先が整備している年金に応じて、iDeCoの手続きをする必要があります。転職を検討されている方は、勤め先の年金も確認しておきましょう。
対応方法は転職先次第
iDeCo加入者が転職した場合の対応方法は、主に以下の2つです。
- そのままiDeCoを継続する
- 転職先の企業型確定拠出年金に移換する
- iDeCoから脱退し脱退一時金を受け取る
1.そのままiDeCo(イデコ)を継続する
勤め先に企業型確定拠出年金などの企業年金が整備されていない場合、そのままiDeCoの運用を継続することになります。会社員の方が他の企業に転職するのであれば事業所の変更手続きを行いますが、自営業や専業主婦(夫)の方が会社員になった場合は、被保険者種別の変更もしなければいけません。逆に会社員の方が自営業やフリーランスになった場合も、被保険者種別の変更手続きが必要です。
2.転職先の企業型確定拠出年金に移換する
勤め先に、企業型確定拠出年金が整備されている場合は移換手続きが必要です。iDeCoの加入者資格喪失の手続きを行い、iDeCoの資産を企業型確定拠出年金に移換します。
なお、企業型確定拠出年金がある場合でも、企業年金規約でiDeCoとの併用が認められている場合は、iDeCoの運用を継続することができます。ただし、前述したように職種が変更される場合であれば被保険者種別変更の手続きが必要です。
3.iDeCoから脱退し脱退一時金を受け取る
iDeCoは原則途中解約できません。ただし、以下の条件をすべて満たした場合は脱退が認められ、脱退一時金を受け取ることができます。ただし、脱退条件は厳しいため、脱退が認められるのは稀なケースだと言えます。
転職先に確認すべきこと
企業に就職する場合は、以下の2点を確認するようにしましょう。特に、2点めのiDeCoとの併用は必ず確認してください。勤め先の企業年金規約でiDeCoの併用が認められていない場合やマッチング拠出が採用されている場合は、iDeCoを併用することはできません。
転職先で企業型確定拠出年金に加入する場合
転職先の企業型確定拠出年金に加入する場合は、運営管理機関(金融機関)と勤め先のそれぞれ手続きする必要があります。手続きをしなければ、iDeCoの資産を移換することができないため、必ず行いましょう。
転職先の企業型確定拠出年金に移換
転職の際は、iDeCoの資産を移換する手続きを行います。手続きは運営管理機関(金融機関)と勤め先の両方で行います。
手続き方法
手続き方法は、以下の順で行います。まずは、運営管理機関(金融機関)に「加入者資格喪失届」を取り寄せ、必要事項に記入したら提出します。この際、資格喪失の理由と喪失を証明する書類の提出も求められます。企業型確定拠出年金への加入は、勤め先の人事部もしくは担当部署の指示に従ってください。
- 運営管理機関に加入者資格喪失届を提出
- 勤め先の企業型確定拠出年金の加入手続きを行う
注意点
企業型確定拠出年金に移換する際、いくつか注意することがあります。まず1点は、移管手続きは加入資格喪失後6ヶ月以内に行わなければいけません。資格喪失日は、「加入者資格喪失手続き完了通知書」に記載されています。
2点めは、移換中は運用指図が行えないことです。企業型確定拠出年金に加入する場合は、企業が扱っている金融商品から選ぶ必要があるため、手続きのほかに金融商品選びの手間もかかります。
iDeCo(イデコ)と企業型確定拠出年金の併用が認められている場合
前述しましたが、以下の条件を満たした場合にiDeCoと企業型確定拠出年金の併用が認められます。もし併用する場合は、職業ごとに手続き内容が異なります。
自営業・専業主婦(夫)から企業への転職の場合
自営業・専業主婦(夫)の方が、iDeCoの併用が認められている企業へ転職した場合、被保険者種別の変更と企業型確定拠出年金の加入手続きが必要です。
すでにiDeCoに加入している方が運用を継続する場合は、特に手続きは必要ありません。しかし、自営業・専業主婦(夫)の方が会社員になる場合は被保険者種別が変更されるため、「加入者被保険者種別変更届」と「事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書」を運営管理機関(金融機関)に提出します。
なお、企業型確定拠出年金の加入手続きに関しては、勤め先の人事部もしくは担当部署にお問い合わせください。
企業から企業への転職の場合
会社員の方が、iDeCoの併用が認められている企業へ転職する場合は、企業型確定拠出年金の加入手続きと登録事業所の変更手続きを行います。
企業型確定拠出年金への加入手続きは勤め先の指示に従ってください。iDeCoに加入している方は、「加入者登録事業所変更届」と「事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書」を運営管理機関(金融機関)に提出してください。
転職先で企業型確定拠出年金がない(加入しない)場合
転職先に企業型確定拠出年金がない場合、もしくはあっても加入しない場合は、iDeCoへ引き続き加入することができます。ただし、職種が変更される場合は被保険者種別の変更手続きが必要です。
企業への転職の場合
企業へ転職する場合、会社員と公務員の方以外の方は被保険者種別の変更手続きが必要です。また、会社員の方で、前職で企業型確定拠出年金を運用していた場合は、移換手続きをしなければいけません。
自営業・専業主婦(夫)から企業への転職
iDeCoに加入している自営業・専業主婦(夫)の方が、企業型確定拠出年金のない企業へ転職した場合、iDeCoの手続きのみ必要です。被保険者種別が変更されるため、運用管理機関(金融機関)へ「加入者被保険者種別変更届」と「事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書」を提出しましょう。
企業から企業への転職
会社員の方が企業型確定拠出年金のない企業へ転職した場合、iDeCoの運用を継続することができます。ただし、前職にて企業型確定拠出年金に加入していた場合は、加入者資格の喪失手続きと資産を移換する必要があります。運営管理機関(金融機関)に「個人別管理資産移換依頼書」を提出してください。
なお、前職でも企業型確定拠出年金に加入していなかった会社員の方は、「加入者登録事業所変更届」と「事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書」を提出します。
公務員から企業への転職
公務員の方が企業へ転職した場合は、運営管理機関(金融機関)に「加入者登録事業所」と「事業所登録申請書兼第2号監修者に係る事業主の証明書」を提出してくだい。
公務員への転職の場合
公務員へ転職した場合、公務員専用の証明書を提出する必要があります。同じ被保険者種別の会社員とも異なる証明書であるため、注意が必要です。
自営業・専業主婦(夫)から公務員への転職
自営業・専業主婦(夫)から公務員へ転職した場合、被保険者種別の変更と証明書の提出を求められます。運営管理機関(金融機関)に「加入者被保険者種別変更届」と「事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書(共済組合員用)」を提出してください。証明書は民間企業とは異なるため、注意してください。
企業から公務員への転職
会社員の方が公務員へ転職した場合、登録事業所の変更手続きを行います。運営管理機関(金融機関)へ「事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書(共済組員用)」を提出してください。
公務員から公務員への転職
公務員の方が公務員へ転職した場合、登録事業所が変更されるのであれば手続きが必要です。「事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書(共済組員用)」に勤め先の承認を得てから提出してください。
自営業・専業主婦(夫)になる場合
すでにiDeCoに加入している方が、転職後に自営業もしくは専業主婦(夫)になった場合は被保険者種別の変更手続きを行います。自営業者になる場合は「加入者被保険者種別変更届(第1号被保険者用)」を、専業主婦(夫)になる場合は「加入者被保険者種別変更届(第3号被保険者用)」を運営管理機関(金融機関)に提出しましょう。
手続き詳細は各運営管理機関や勤め先で確認を
今回はiDeCo加入者の転職の際の必要手続きについて解説しました。転職した場合、加入者は勤め先の企業型確定拠出年金の有無とiDeCoとの併用を確認しましょう。もし、iDeCoの資産を企業型確定拠出年金に移換するのであれば、勤め先の指示に従って手続きを行なってください。
また、運営管理機関(金融機関)へ被保険者種別の変更や登録事業所の証明書を手続きをする必要があります。加入者は楽天証券やマネックス証券など、各運営管理機関にて詳細な手続き方法をお問い合わせください。