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iDeCo(イデコ)の控除を最大限に利用するには?計算から年末調整の手続きまで解説

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iDeCoの所得控除を利用すると、支払い過ぎた税金が還付されます。ただし、この控除は自動的に適用されるのではなく、年末調整や確定申告の手続きが必要です。今回は、控除の概要から計算方法、年末調整や確定申告の手続きについて解説します。iDeCoの控除を最大限に活用するためにも、しっかりと仕組みから理解しましょう。

イデコの控除額を計算している紙

iDeCo(イデコ)による「控除」

iDeCoで利用できる控除は、所得控除、退職所得控除、そして公的年金等控除の3種類です。これらの控除はいつのタイミングで利用できるのでしょうか? また、控除の仕組みはどうなっているのでしょうか?

給与に係る税控除とは

私たちが支払う税金の中に所得税というものがあります。この所得税は、所得に税率をかけて算出されます。つまり、所得が小さければ小さいほど、支払う税金も少なくなります。この所得を小さくさせるための仕組みが控除です。控除には、給与所得控除と所得控除の2種類あります。

給与所得控除

給与所得控除とは、給与に応じて自動的に控除されるものです。給与所得控除額は、以下の通りです。例えば、年収300万円の方の場合は、給与所得控除は108万円となります。

給与年収 給与所得控除額
1500万円〜 245万円
1000〜1500万円 年収×5%+170万円
660〜1000万円 年収×10%+120万円
360〜660万円 年収×20%+54万円
180〜360万円 年収×30%+18万円
65〜180万円 年収×40%
65万円未満 65万円

所得控除

所得控除とは、申告した場合に差し引かれる控除です。給与所得控除とは違い、自動的に適用されることはありません。自動的な控除ではないため、所得控除を適用できるのに、申請していないために税金を多く支払っている場合もあります。所得控除には、以下のような種類があります。

  • 基礎控除
  • 配偶者控除
  • 配偶者特別控除
  • 扶養控除
  • 医療費控除
  • 社会保険料控除
  • 生命保険料控除
  • 地震保険料控除
  • 損害保険料控除
  • 雑損控除
  • 寡婦・寡夫控除
  • 勤労学生控除
  • 障害者控除
  • 小規模企業共済等掛金控除
  • 寄附金控除
  • iDeCo(イデコ)の控除の概要

    iDeCoの加入者は、拠出と受け取りの際に控除を受けることができます。拠出の際は小規模企業共済等掛金控除が、受け取りの際は退職所得控除、もしくは公的年金等控除が適用されます。

    掛金が全額所得控除

    iDeCoの掛金は、所得控除のうちの小規模企業共済等掛金控除に該当します。小規模企業共済等掛金控除の特徴は、支払いした年間の掛金全額が控除の対象となることです。つまり、iDeCoの掛金は全額が控除されます。例えば、年間で12万円をiDeCoに支払った方は、給与から12万円分の控除を適用することができます。

    ただし、前述したように所得控除は自動的には適用されないので、必ず年末調整や確定申告などの申請手続きが必要です。

    受け取り時の控除

    iDeCoの資産を受け取る際には、退職所得控除もしくは公的年金等控除を受けることができます。どちらが適用されるかは、受け取り方法で決定します。一括で受け取る場合は退職所得控除、分割で受け取る場合は公的年金等控除が適用されます。

    退職金を受け取る際に税金が課されます。しかし、退職金にも控除制度があり、それが退職所得控除です。iDeCoを一括で受け取る場合は、受け取り資産は退職金とみなされるため、退職所得控除を利用することができます。

    年金を受け取る際にも税金が課されます。年金を受け取る場合は、公的年金等控除を利用することができます。iDeCoを分割で受け取る場合は、受け取り資産は年金とみなされるため、公的年金等控除を利用することができます。

    職業別の控除額上限

    iDeCoは職業ごとで受けられる控除額が異なります。なぜなら、iDeCoの掛金が職業別に上限が定められているためです。つまり、掛金全額が控除額のため、掛金上限額=控除額上限となります。職業別の掛金の上限額(月額)は以下の通りです。

    なお、もっと簡単に節税額を知りたい方は、シミュレーションツールを利用しましょう。iDeCoを取り扱う金融機関の公式サイトでは、iDeCoの節税額や将来の受け取り金額を無料でシミュレーションすることができます。

    職業 上限額 最低額
    自営業 68,000円 5,000円
    会社員(*1) 23,000円 5,000円
    会社員(*2) 20,000円 5,000円
    会社員(*3) 12,000円 5,000円
    専業主婦・専業主夫 23,000円 5,000円
    公務員 12,000円 5,000円

    (*1:企業型確定拠出年金や確定給付企業年金に加入していない方)
    (*2:企業型確定拠出年金のみ加入している方)
    (*3:確定給付企業年金のみ、または企業型確定拠出年金と確定給付企業年金を併用している方)

    iDeCo公式サイト
    ろうきん

    専業主婦(夫)の税控除

    専業主婦(夫)にとっても、iDeCoの税控除は大きなメリットとなります。所得税は年収が103万円以下の場合には課せられません。税金を安くするために、年収を103万円以内に抑えていた専業主婦(夫)の方も多かったのではないでしょうか?万が一、103万円を超えると、専業主婦(夫)の年収に課税がされ、さらに配偶者控除も適用外となるために、配偶者の税金も高くなってしまいます。

    しかし、iDeCoを利用すれば、130万円まで非課税にすることができます。iDeCoの掛金は全額が所得控除となると解説しました。つまり、専業主婦(夫)は月額23,000円分多く働いても、全額をiDeCoに拠出すれば税金がかからないことになります。iDeCoを利用すれば、将来にも備えられ、なおかつ税金対策にもなります。

    ふるさと納税との併用に注意

    ふるさと納税を利用している方は、iDeCoの加入には注意が必要です。ふるさと納税は、住民税を前払いする制度でもあります。この住民税の金額は前年の所得から算出されますが、iDeCoの控除を考慮しないと、余分に税金を支払ってしまうことになります。iDeCoとふるさと納税を併用する場合は、前もって支払う税金を把握するようにしましょう。

    iDeCo(イデコ)による控除を受けるための手続き

    iDeCoに加入すると控除を受けられますが、この控除を受けるためには手続きが必要です。手続きは主に年末調整と確定申告に分かれます。

    iDeCo公式サイト|イデコをはじめよう

    個人払込をしている会社員・公務員

    個人払込とは、iDeCoの掛金の支払い方法の1つです。指定した口座より口座振替で支払います。個人払込のほかに、事業主払込があります。こちらは、事業主口座から口座振替をする、いわゆる給与天引きで支払う方法です。

    個人払込を利用している会社員、公務員の方は年末調整の手続きで控除を受けられますが、事業主払込を利用している会社員、公務員の方はそもそも手続きは不要です。

    年末調整

    年末調整とは、所得にかかる税金を清算する手続きです。そもそも、所得税は毎月の給与から引き落としされています。しかし、これは所得控除を考慮しておらず概算での所得税です。会社員や公務員の方は、年末調整で税金を確定し、多く支払ってしまった場合は、12月もしくは1月の給与で取り戻すことができます。

    手続きの方法

    年末調整は、以下の手順で行います。

    1. 小規模企業共済等掛金払込証明書を受け取る
    2. 必要書類に記入
    3. 勤め先に提出

    iDeCoの掛金を支払うと、10月以降に国民年金基金連合会より小規模企業共済等掛金払込証明書が郵送されます。年末調整の際には、書類に年間の掛金額を記入し、書類と一緒に小規模企業共済等掛金払込証明書を勤め先に提出します。

    しかし、事業主払込を利用している方は、そもそも小規模企業共済等掛金払込証明書が発行されません。そのため、年末調整の手続きをする必要なく、自動的に控除が適用されています。

    自営業者など

    そもそも企業に勤めていない自営業者は年末調整がありません。自営業の方は確定申告でiDeCoの控除を利用しましょう。また、個人振込を利用している会社員や公務員でも、年末調整の手続きを忘れた場合は、確定申告で調整する必要があります。

    確定申告

    確定申告も年末調整と同じく、所得にかかる税金を清算する手続きです。ただし、年末調整の時期は11月からですが、確定申告は2月16日から3月15日と時期が異なります。会社員や公務員の方は、万が一年末調整の手続きができなかった場合でも、確定申告で手続きすることができます。年末調整の最終締め切りは、1月31日です。

    手続きの方法

    確定申告は、以下の手順で行います。

    1. 小規模企業共済等掛金払込証明書を受け取る
    2. 必要書類に記入
    3. 税務署に提出

    基本的には年末調整と同じ流れです。ただし、自営業者の場合は確定申告書Bに、会社員や公務員の場合は確定申告書Aに記入します。掛金の金額を記入する欄は「小規模企業共済等掛金控除」です。

    控除の仕組みを理解して正しく節税しましょう

    今回はiDeCoの控除について解説しました。

    iDeCoは掛金の全額が控除対象となります。そのため、毎年の所得税などの税金を節約することができます。ただし、控除を受けるためには年末調整や確定申告などの手続きが必要です。個人払込を利用している会社員、公務員の方は年末調整を、前者で年末調整を忘れた方や自営業の方は確定申告で控除の手続きを行いましょう。

    控除の仕組みや手続きをきちんと理解し、iDeCoで1円でも多く税金を節約しましょう。

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