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証券と證券の違いとは?証券(證券)の概要と証券会社の役割を解説

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現在、日本国内にはおよそ260もの証券会社がありますが、会社名を見ていると、「◯◯証券会社」という場合と「◯◯證券会社」という2つのパターンがあることが分かります。
多くは「証券」を用いていますが、これにはどういった違いや意味があるのか、わかりやすく解説していきます。

証券会社と證券会社の違いを調べる人の画像

證券と証券の違いとは

「証券」と「證券」、この2つは全く同じ意味を表しており、どちらも同じ「しょうけん」という読み方をしますが、実質的に違いはありません。
何故同じ意味で読み方も同じなのに、異なる漢字が使われるようになったのでしょうか。

"歴史的違い"

「證券」の「證」の漢字は、現在日常使われる当用漢字ではなく、それ以前に使用されていた旧字体と言われるものです。
当用漢字は1946年に告示されたものであるため、それ以前に設立されたような歴史ある証券会社が「◯◯證券」と旧字体で商標に登録されています。
一方、当用漢字が制定されて以降に設立された証券会社は、旧字体の「證券」を用いることができず「証券」の漢字を使っている、ということになります。

そのため、どちらの漢字が使われていても会社に機能的な違いはなく、単に社名が違うだけに過ぎません。

"「證券」を使う証券会社"

2018年8月現在、今もなお「證券」が使われている会社は、野村證券、藍澤證券、明和證券、長野證券、山形證券などがあります。

野村證券は1925年設立、現在日本国内最大手の5大証券と言われるうちの1つです。
藍澤證券は、特に外国株の取引に注力している中堅の証券会社で、1933年設立のこちらも歴史ある会社です。
明和證券は関東圏の投資家を対象とする独立系証券会社、長野證券・山形證券はそれぞれ長野と山形エリアで個人投資家を対象に活動する地場証券会社で、いずれも戦前から続く会社です。

"証券を使う証券会社"

次に、一方の「証券」を使う会社も5つ見ていきます。
現在、日本証券業協会に登録される会員(証券会社)のなかのほとんどがこの「証券」の文字を使っています。

例えば、日本の大手証券会社と言われる5大証券会社のうち、先ほどの野村證券以外の4社は、日興証券・大和証券は過去に「證券」を用いていた時もありましたが、様々な吸収・合併を経て現在「証券」の漢字が用いられています。
他にも。大手証券会社に次ぐ、準大手証券会社で三重、大阪、東京に支店の多い岡三証券なども当用漢字が用いられています。

日本証券業協会 会員一覧

証券(證券)の概要

「証券」と「證券」の違いと様々な証券会社を見てきましたが、そもそも「証券(證券)」とは何なのでしょうか。

"証券(證券)とは

「証券」とは、金融の世界では財産上の権利や義務など、価値を証明する証明書のことです。
この文書は、権利や義務の法律的な効力を持っており、この効力によって法律上で証券は2つに分類されます。

1つ目の分類は、有価証券(ゆうかしょうけん)です。
金融の世界では、財産権を表すもので、それ自体に財産的な価値がある証券のことです。
権利の状態を表す文書である証券に、実際の権利である財産権も融合しているものが有価証券になります。
有価証券は保有しているだけで、証券内に記載されている範囲内であれば権利を行使することができます。

つまり、この有価証券には権利が融合しているため、有価証券を移転・譲渡することで、権利の自体の移転・譲渡ができるということになります。
具体的な金融商品で言えば、株式や国や地方公共団体、企業などが一般の投資家から資金を調達するために発行される債券(代表的な債券では国の債券である国債があります。)などがこれに当てはまります。

2つ目は、証拠証券(しょうこしょうけん)と言われるものです。
有価証券が権利の存在を示し、さらに権利を保有する文書であるのに対し、証拠証券は何らかの権利があることの証拠となるもの、単に一定の権利の存在を表したものです。
証拠証券のなかに財産上の権利が記載されている場合でも、この証拠証券がなくても権利者は権利を証明し、行使や譲渡を行うことができます。

証券会社の役割とは

現在、金融商品取引法では、株式を売買する際には証券会社に売買を委託する必要があり、投資家が直接株式を売買することはできないとされています。
証券会社とは、簡単に言うと投資家と企業を結ぶ仲介役です。

証券会社の主な業務は、既に発行されている株式などが「証券取引所」という場所で実際に売買される、流通市場で、投資家同士の価格交渉の仲介を行います。
投資家が自分の保有する株式を売りに出したいときに、証券会社を通じて別の投資家に売ることができます。
この流通市場は、上場済み企業の株の売買が行われる市場、というイメージです。

このほかにも、まだ上場していない会社が資金を調達する際に新しく株式を売り出す、発行市場においても仲介役を果たします。
例えば、証券取引所に上場しようとしている会社は、投資家に株式を買ってもらうために、自社の魅力をアピールする必要があります。
会社は投資家に対してアピールできないと、資金の調達が出来ませんが、全ての会社が投資家に対してのアピール方法を知っているわけではありません。
一方の投資家も、そういった会社について毎回自ら細かく調査し、直接会社と価格交渉することは時間も手間もかかってしまいます。
そこで、証券会社が双方のこのような悩みに対応するために存在しています。
この、上場しようとしている会社に対して情報開示戦略などをアドバイスし、全面的にサポートしたり、会社に代わって投資家に株式を販売する役割があります。

このような仲介業だけでなく、証券会社で口座を開設することで「証券会社の4大業務」と言われる、他の様々なサービスを受けることが可能です。

證券と証券には大きな違いはない

証券や証券会社について簡単に見てきました。

「證券」と「証券」には、会社名以外に違いはありません。
どちらの漢字が使われていても、証券会社として機能として異なる点もありません。

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