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仮想通貨取引の税金計算について。計算ツールと利益金額の計算方法

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仮想通貨取引の利益に対する税金の計算や利益の計算方法について実例とともに簡単に解説していきます。
また、税金計算を支援するアプリやツール、サービスも幾つか紹介していきます。
個人投資家の場合、自身で確定申告を行い税金を収める必要があるため、きちんと理解して年末の確定申告に役立てていきましょう。

仮想通貨取引における税金の画像

仮想通貨で得た利益に対する税金の計算は?

仮想通貨取引の利益に対する税金はどのように計算されるのでしょうか。

仮想通貨取引による利益が出るパターンと計算方法例

仮想通貨の数量が同じ場合、仮想通貨を買ったときの金額よりも、売ったときの金額が高かったとき「仮想通貨取引によって利益がでた」ということになります。
利益は[(売却・商品購入などを行った金額)—(仮想通貨購入時の金額)]という計算式で求めることができます。

「30万円で仮想通貨Aを3コイン買った」という例に当てはめて、利益が発生する様々なパターンにおける利益の計算方法を見ていきましょう。

仮想通貨を売って法定通貨を得る時

(例)仮想通貨Aがその後値上がりによって1コイン40万円となったとき
[全額を売却]
売ったときの金額は、値上がりによって1コインが40万円となったことで[40万円×3コイン=120万円]となり、3コイン合計で120万円ということになります。
購入時の値段は、30万円です。
そこから、3コイン全部を売却した際の利益は、売却時の金額から購入時の金額を引いて[120万円—30万円=90万円]となり、この90万円が課税の対象となります。

[一部を売却]
3コインのうち、1.5コインのみを売った場合では、売却金額は60万円となります。
また、元々30万円で3コインを購入しているので、1コインの金額は10万円、そこに売却したコインの枚数を掛けて購入時の1.5コインの値段を出して行きます。
[10万円×1.5コイン=15万円]が購入時の1.5コインの金額となります。
売却額が60万円、購入時の金額が15万円なので、[60万円—15万円=45万円]から、1.5コインのみを売却した際の所得金額は45万円となります。

仮想通貨で商品を購入する時

仮想通貨Aを0.4コイン使って、20万円のテレビを買ったとします。
仮想通貨の購入時の1コインの値段は[30万円÷3コイン=10万円]です。
そのコインを0.4使って買い物をしたので、仮想通貨購入時での0.4コインの値段は[10万円×0.4コイン=4万円]となります。
実際にテレビを買ったときの商品購入金額の20万円から、仮想通貨購入時の0.4コインの金額を引いて利益を出します。
つまり、[20万円—4万円=16万円]となり、利益金額の16万円が課税の対象となります。

仮想通貨で他の仮想通貨を買う時

仮想通貨同士の交換では、仮想通貨を売却したときではなく、交換した時点での金額で判断されます。

今回のケースでは、仮想通貨Aの購入時、1コインの金額は10万円です。これを[1A=10万円]と表すとします。
値上がりによって[1A=40万円]となったときに、1コインが8万円の仮想通貨Bを10コイン買おうと思うと、
この仮想通貨Bは[1B=8万円]、[10B=80万円]となり、10Bを買うために80万円分のAが必要になることがわかります。
80万円分のAとは[80万円(10Bの金額)÷40万円(1Aの金額)=2A]で、2Aで10B(80万円)の仮想通貨を購入できることがわかります。
一方の購入時での2Aの価値は[10万円×2コイン=20万円]となります。

10Bと仮想通貨Aの交換金額である80万円から、仮想通貨Aの購入時の2Aの金額を引いた[80万円—20万円=60万円]が利益となり、課税の対象となります。

仮想通貨の価値の計算

仮想通貨取引は、1年の間で売買や交換などで、複数の取引を行うことができます。
例えば、同じ仮想通貨を違うタイミングで追加購入した場合に、価格が前回の購入時から一定をキープしていることは値動きが激しい仮想通貨において考えにくく、その時点の仮想通貨の価格を計算する必要が出てきます。
他にも、複数回に渡って売買を繰り返した場合などでも計算の必要がでてきます。

移動平均法

まずは、「移動平均法」です。
新たに仮想通貨を買い直すたびに仮想通貨の購入価格を算出する方法で、[(既に保有していた通貨の購入金額)+(新たに追加で購入した通貨の金額)]÷[(保有していた通貨量)+(新たに購入した通貨の数量)]という式で求められます。
もうすこし簡単に言うと、
(現在保有してる仮想通貨の購入金額の合計)÷(保有仮想通貨の全数量)
によって仮想通貨の購入金額が分かります。

総平均法

対して「総平均法」は、1年間の仮想通貨の単価の購入金額を全体の平均を出して計算する方法です。
(1年間の仮想通貨購入金額合計)÷(1年間の仮想通貨購入数量)という式で求めることができます。

移動平均法に比べて大まかな数字での算出方法となります。

仮想通貨取引による所得は雑所得

2017年の国税庁の発表によって、仮想通貨取引によって発生した利益は、原則として「雑所得」に該当するとされました。
仮想通貨の利益が雑所得となることで、どういった点に注意する必要があるのでしょうか。

雑所得のデメリット

雑所得は、国税庁の発表している「損益通算の対象となる所得」に当てはまらず、その年の仮想通貨取引によって出た利益と損失の相殺を行うことが認められていません。
そのため、仮想通貨取引の利益を得るために、膨大な費用をかけ、損失を被った場合でも、その損失を他の所得から引くことは不可能です。
毎年、仮想通貨取引で儲けた利益に対する税金から逃れることはできません。

累進課税率

雑所得は、給与所得などの他の所得と合計した、総所得金額として出た金額について税率が決まります。
累進課税制度が適用されるため、総所得金額が上がるにつれてその総額に対する税率も上がっていくことになります。
所得税の累進課税率は、5%から最高で45%となっており、所得金額によっては半分近くが税金として持っていかれてしまいます。
また、それに加えてさらに10%の住民税も納める必要があります。
税率が上がるに伴って控除額も上がって行きますが、税金に多くのお金を取られてしまう形になります。

サラリーマンは給与所得とは別に確定申告が必要

会社勤めのサラリーマンの場合は、給与に関する税金の手続きや確定申告は全て会社側が行ってくれています。
しかし、会社は基本的に給与に対して発生する様々な手続きのみを行っています。
そのため、給与以外での所得となる仮想通貨取引の儲けは、自分自身で全ての手続きを行う必要があるので注意が必要です。

確定申告を行わないと、延滞税としてかなり高額な納税額となってしまうため、きちんと行うことが重要です。

面倒な仮想通貨の税金計算を簡単にしてくれるアプリ、ソフト、ツール

仮想通貨にかかる税金についての計算はややこしく、プロである税理士も悩ませるほど非常に難しいものとなっています。
特に、取引を頻繁に、複数の取引所で行っている場合には、税金をいくら収めなければいけないのか、が分からなくなってしまいます。
そこで、複雑な税金計算や確定申告を目の前にして、「仮想通貨の税金計算なんてできない」という悩みを解決してくれる、様々なツールやサービスを紹介します。

無料ツール

はじめに無料で利用できるツールを紹介します。

Cryptact(クリプタクト)

Cryptact(クリプタクト)」は、国内外問わず数多くの取引所に対応し、およそ1700種類の仮想通貨における損益通算を簡単に行うことができます。
仮想通貨取引の記録をCSVからアップロードし、取引記録からの利益計算に加えて、仮想通貨の管理をサポートするマイニングによって得られた報酬にも対応してくれています。
β版
法人向けに計算することも可能で、完全無料で使うことができることから、利便性、高い操作性から日本国内の無料ツールにおいて高い評価を受けています。

G-tax

G-tax」は、税理士紹介などの仮想通貨取引の様々な支援を行う「Guardian」というサービスで利用されていた計算システムを公開した管理ツールです。
取引記録をCSVからアップロードし、利益金額を計算してくれます。
国内主要取引所を網羅しており、海外取引所での取引も日本円に換算して計算してくれますが、マイニング報酬については未対応です。

BitTax

BitTax」は、ユーザー登録不要の損益通算ツールです。
国内の主要取引所に対応しており、国内取引所を中心に取引を行っている投資家に特化したサービスです。

Keiry(β版時無料)

β版での提供時のみ無料で利用できる「Keiry」という損益通算サービスです。
有料版は未配信のため、全ての機能を使うことができます。
国内2社、海外1社の3つの取引所にのみの対応となっていますが、月別の損益レポートや、残高に関するレポートも出してくれます。

今後の有料版の料金プランはまだ発表されていません。

有料ツール

続いて有料のツールを3つ紹介します。

Coin Tool

1つ目は、「Coin Tool」です。
プロである税理士の監修のもと、国内主要4取引所に対応して確定申告用に計算してくれるツールです。
1年度4,500円(税込)で利用することができます。

仮想通貨の分岐によるややこしい金額計算にも対応し、担当税理士にメールでの相談サポートが利用可能です。

CryptoLinc

CryptoLinc」も取引記録をアップロードし、税理士の監修のもと、仮想通貨取引の損益通算が簡単にできるサービスです。
個人での利用は無料ですが、法人での会計は月額1,980円(税込)で利用することができます。
対応取引所が国内収容6箇所、海外1箇所となっているため、国内での仮想通貨取引を行っているひと向けです。

freee for 仮想通貨

3つ目は「freee for 仮想通貨」です。
クラウド会計サービスで有名な「freee」が提供する確定申告サポートのサービスです。
取引記録をアップロードするだけで、自動で計算してくれますが、この自動計算に対応している取引所は限られています。

無料で30日間利用することができますが、利用可能なサービスにかなり制限があります。
有料プランが2種類あり、月額980円もしくは1年で9,800円のスタータープランと、月額1,980円もしくは1年で19,800円のスタンダードプランから、自身の状況に合わせて選ぶことができます。

エクセルでの計算は?

仮想通貨取引所からダウンロードする、取引記録のデータはCSVファイルです。
つまり、投資家がエクセルなどのソフトに数式を入れ、自身で損益通算を行うことも可能です。
しかし、この場合投資家自身がエクセルなどに詳しいこと、さらに仮想通貨の購入時の単価や購入した商品の金額、海外取引所を利用している場合などは為替レートに関してまで網羅した上で全てを入れて計算を行う必要があり、非常に手間です。

特に、仮想通貨は値動きが激しく、不測の事態が起こりえます。
様々な種類の仮想通貨や複数の仮想通貨取引所での取引は、計算が非常に複雑になり、自身で行った計算結果から申告しても不安が残る懸念もあります。

操作と計算に関してよほどの自信がない場合には、無料で使うこともできるツールの利用をおすすめします。

仮想通貨取引における税金の計算方法概要を理解し、ツールを用いて正しく税金計算をして納税しましょう

仮想通貨では予想だにしない利益が発生することがあります。
基本的に自身で確定申告、納税を行う必要があるため、税金の計算の仕組みをきちんと理解しておきましょう。

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