FXのスプレッドとは、売値と買値の差を表します。スプレッドの幅がトレーダーの手数料となるため、取引の際には注意する必要があります。さらに、スプレッドは固定ではなく、レートなどで変動する場合があります。スプレッドの仕組みや計算方法を理解し、FX会社のスプレッドを比較した上で口座開設しましょう。
FX取引で重要なスプレッド
スプレットは、FXの取引の際に必ず発生します。取引金額からスプレッドを差し引いたものがトレーダーの利益になるため、スプレッドは非常に重要です。取引を始める前に、まずはスプレッドの役割を学びましょう。
スプレッドとは
スプレッドとは、通貨ペアの売値と買値の差を指します。FXで取引をする際、通貨ペアの売値と買値が表示されます。トレーダーは、取引を行うと売値と買値の差額であるスプレッドを取引コストとして支払わなければいけません。つまり、スプレッドの値が小さければ小さいほど、取引コストを安くすることができます。
なぜスプレッドは発生するのか
スプレッドが発生する理由は、FX会社が手数料として徴収するためと言われています。FXの取引の売値や買値は、FX会社へ支払う手数料が上乗せされて表示されています。FX会社はトレーダーより徴収する手数料を利益としています。そのため、スプレッドはFX会社によって値が異なります。
手数料との違い
FX会社が徴収する手数料の1つがスプレッドです。FX会社によっては、口座開設費や維持費として手数料を徴収するところもありますが、国内FX会社はほとんどがスプレッド以外の手数料を無料としています。
スプレッド○銭とは
取引ツールを利用している際、売値と買値に○銭と表示されます。この○銭がスプレッドの値を表しています。1円は100銭のため、0.3銭の場合は0.003円となります。
また、pipsと表示されることもありますが、それは日本円以外の通貨ペアで取引した際に表示されます。例えば、米ドル/円やユーロ/円の場合は銭、米ドル/ユーロやユーロ/ポンドはpipsでスプレッドを表します。
スプレッドが変動する理由
スプレッドは常に一定とは限りません。さまざまな要因によって、スプレッドが変化することがあります。スプレッドが変動する主な理由として、以下の3点が挙げられます。
- 流動性の変動
- レートの急激な変化
- カバー先が少ない
1.流動性の変動
FXでの流動性とは、売りや買いの注文するトレーダーの多さを表しています。流動性が高いとは、通貨ペアに対して注文が多い状態であり、反対に流動性が低いとは、注文が少ない状態です。この流動性の変化に伴って、スプレッドも変動します。
2.レートの急激な変化
レードの動きもスプレッドに影響を与えます。特に、レートが大きく変動した場合は、その分スプレッドも変動する傾向にあります。レートは、経済指標のほかに自然災害やテロなどの要因によっても変動します。
3.カバー先が少ない
FXでのカバー先とは、FX会社に代わって注文を担う金融機関です。トレーダーはFX会社を通じて取引を行いますが、実際の注文を行うのはカバー先である金融機関です。カバー先の少ないFX会社は、スプレッドが広くなると言われています。
原則固定スプレッド
各FX会社では、スプレッドを公表していますが、これは完全に固定されているわけではありません。上述したように、注文やレートによってスプレッドは変動します。そのため、スプレッドは原則固定ではありますが、完全固定ではないことに注意しましょう。
スプレッドの計算
スプレッドはFX会社ごとに異なり、トレーダーの手数料ともなるため、取引する上で重要視しなければいけません。では、実際に取引においてどのようにスプレッドを計算するのかを確認しましょう。
スプレッドの計算方法
スプレッドの計算方法は以下の通りです。スプレッドは1通貨単位あたりの値のため、取引数量分に応じてスプレッドも発生します。例えば、米ドル/円のスプレッドが0.3銭の時に1000通貨取引した場合は、手数料は3円です。
スプレッド×取引数量
例)
0.3銭×1,000通貨=3円(300銭)
スプレッドは狭いほうが有利
FXでは、スプレッドの値が小さいことを狭い、大きいことを広いと言います。スプレッドはトレーダーの手数料となるため、スプレッドの分だけ手数料も増えます。つまり、スプレッドが狭いほうが、トレーダーの利益が増えることになります。
スプレッドが狭いFX会社比較
スプレッドは狭ければ狭いほど、取引にかかるコストを安く抑えることができます。そのため、FX会社を選ぶ際は、スプレッドの狭い会社を選ぶことが大切です。
こちらでは、おすすめFX会社をスプレッドが狭い順にご紹介します。なお、スプレッドは2019年1月18日時点の数値を公開しています。
FX会社 | スプレッド |
SBI FXトレード | 0.27銭 |
DMMFX | 0.3銭 |
GMOクリック証券 FXネオ | 0.3銭 |
外為ドットコム | 0.3銭 |
ヒロセ通商 LIONFX | 0.3銭 |
マネーパートナーズ パートナーズFX | 0.3銭 |
YJFX! | 0.3銭 |
JFX | 0.3銭 |
インヴァスト証券 | 0.3銭 |
楽天証券 | 0.3銭 |
楽天銀行 | 0.3銭 |
外為ジャパンFX | 0.3銭 |
セントラル短資FX | 0.3銭 |
トレイダーズ証券 | 0.3銭 |
FXブロードネット | 0.3銭 |
FXトレード・ファイナンシャル | 0.3銭 |
マネックス証券 | 0.3銭 |
OANDA Japan(500k) | 0.3銭 |
IG証券 | 0.3銭 |
SBI FXトレード
SBI FXトレードは、業界トップクラスの低スプレッドを誇るFX会社です。米ドル/円のスプレッドは、業界最狭水準の0.3銭を下回る0.27銭であり、ユーロ/円は0.39銭、ポンド/円は0.89銭です。
さらに、1通貨単位から取引が可能なため、少額資金から投資ができます。少額投資かつ、取引にかかるコストを抑えたいという方には使いやすい業者です。
DMMFX
DMMFXは、合同会社DMM.comが提供するFXサービスです。スプレッドは、SBI FXトレードより広い0.3銭ですが、それでも業界最狭水準です。
また、DMMFXは取引コストの安さに加えて、スマホの取引ツールの使いやすさに定評があります。取引画面の見やすさやデザイン性、初心者でも操作がしやすいことから、国内口座数1位を誇る人気業者です。
GMOクリック証券 FXネオ
GMOクリック証券も、SBI FXトレードとDMMFXに並んで業界最狭水準のスプレッドです。米ドル/円のスプレッドは0.3銭であり、ユーロ/円も0.5銭となっています。
また、GMOクリック証券はスワップポイントが高いことでも知られています。高金利通貨ペアのトルコリラ/円や南アフリカランド/円を決済することなく、スワップポイントのみ受け取ることができます。
GMOクリック証券は、スプレッドだけでなく、スワップポイントにも力を入れている業者です。
外為どっとコム
外為どっとコムのスプレッドもスプレッドが狭く、米ドル/円は0.3銭の原則固定で取引できます。
また、手数料だけでなく、顧客へのマーケット情報の提供にも力を入れています。投資家のプロ向けに提供されるロイターニュースをどこよりも速く配信し、さらには、シンクタンクを設立し、マーケット分析のプロが在籍します。
マーケット情報を素早く入手したいという方には、外為どっとコムがおすすめです。
ヒロセ通商 LIONFX
ヒロセ通商は、2016年に上場を果たしたFX業者です。最近上場した業者であるものの、米ドル/円のスプレッドが0.3銭と狭く、取引ツールも使いやすいことから、2019年オリコン顧客満足度調査のFX取引・FX専門業者部門にて第1位を獲得しています。
さらにヒロセ通商は、国内FXでは珍しく、キャンペーンが充実しています。ライナップは豊富で、過去にはギフト券や高級黒木和牛、Apple Watchなどのキャンペーンが開催されていました。キャンペーン目的で口座開設するトレーダーも多くいます。
マネーパートナーズ パートナーズFX
マネーパートナーズのパートナーズFXは、米ドル/円のスプレッドが0.3銭です。さらに、ディーラーやシステムを介さない自動約定のため、注文から確定するまでにズレが生じません。
また、マネーパートナーズでは、パートナーズFX nanoと呼ばれる少額取引サービスもあります。パートナーズFX nanoでは、100通貨単位からの取引が可能で、米ドル/円の場合、必要証拠金は460円です。少額投資で始められるため、公式サイトでは初心者におすすめしているサービスです。なお、パートナーズFX nanoのスプレッドは、米ドル/円で0.4銭です。
YJFX!
Yahooグループが提供するFXサービスで、米ドル/円のスプレッドは業界最狭水準の0.3銭です。さらに、人民元などのコアな通貨を含む、22種類の豊富な通貨ペアを取り揃えています。
YJFX!の特徴は、取引ツールの使いやすさです。使いやすさを徹底追及したYJFX!の取引ツール「Cymo」は、スマホやタブレットから操作でき、顧客からの高い評価を得ています。スマホでの取引が多いトレーダーにおすすめの業者です。
JFX
JFXはヒロセ通商の子会社であり、米ドル/円のスプレッドはヒロセ通商と同じく0.3銭です。ほとんどの通貨ペアのスプレッドが、ヒロセ通商と同じ数値で設定されています。
JFXの最大の目玉は、JFXの代表取締役の小林芳彦氏自らマーケット情報を配信していることです。小林芳彦氏による、インターバンクや海外銀行での勤務経験を活かした分析方法は、プロトレーダーも注目する内容となっています。
インヴァスト証券
インヴァスト証券では、スプレッドと自動売買に力を入れています。スプレッドでは、米ドル/円が0.3銭、ユーロ/円が0.5銭など、業界最狭水準の数値を設定している通貨ペアが数多くあります。
また、自動売買では、シストレ24やトライオートFX、トライオートETFなど、豊富な自動売買サービスを提供しています。特にシストレ24は、取引画面の見やすく、簡単にオートを設定できるため、初心者から高い評価を得ています。
楽天証券
楽天証券は、FX、株式投資、投資信託などを取り扱う楽天グループのネット証券です。米ドル/円のスプレッドは0.3銭と、DMMFXやGMOクリック証券と変わらない高水準のスプレッドの狭さです。
楽天証券の特徴として、取引ツールの使いやすさと見やすさが挙げられます。楽天証券の取引ツール「MARKETSPEED FX」は、グッドデザイン賞にも輝くほど、チャートの見やすさに定評のあるツールです。スプレッドだけでなく、取引ツールにもこだわりたいという方と相性の良い業者です。
楽天銀行
楽天銀行では、新・楽天銀行FXの名前でサービスを提供しています。楽天銀行でも、楽天証券と同じように米ドル/円のスプレッドを0.3銭で取引することができます。
楽天銀行と楽天証券の違いは、サービスを提供している会社のみ異なります。つまり、両社のサービス内容や取引通貨ペア、取引通貨単位においては違いはありません。なお、ポイントの特典が多いのは楽天証券のため、ポイントを貯めたい方には楽天証券がおすすめです。
外為ジャパンFX
外為ジャパンは株式会社DMM.com証券が提供するFXサービスです。なお、株式会社DMM.com証券では、外為ジャパンの他にDMMFXも取り扱っています。スプレッドは、米ドル/円では0.3銭、ユーロ/円では0.5銭、豪ドル/円では0.7銭と狭く、取引コストを安く抑えることができます。
さらに、外為ジャパンは、少額取引ができる業者としても知られています。取引数量を1万通貨単位から設定している業者が多い中、外為ジャパンでは1,000通貨単位から取引できます。
セントラル短資FX
外為ジャパンと同様に、セントラル短資FXにおいても1,000通貨単位から取引できます。また、スプレッドも米ドル/円が0.3銭と、業界最狭水準の数値となっています。
通貨単位やスプレッドも高い評価を得ていますが、それ以上に、セントラル短資FXの通貨ペアのラインナップが優れています。人民元を含む全25通貨ペアを取り扱っており、幅広い通貨ペアを取引したい方におすすめです。
トレイダーズ証券
トレイダーズ証券は、みんなのFX、みんなのシストレ、みんなのオプション、LIGHT FXを提供している業者です。その中でもみんなのFXは、イメージキャラクターは鈴木奈々さんがつとめ、2019年1月時点で32万口座を突破しています。
みんなのFXのスプレッドの人気の理由の1つに、スプレッドの狭さが挙げられます。米ドル/円が0.3銭、ユーロ/円が0.4銭、豪ドル/円が0.6銭と、低スプレッドを誇っています。
さらに、利用者の声をもとに作られた取引ツールは、操作性と見やすさ共に高水準です。随時、新機能も追加されているため、取引ツールにこだわる方におすすめです。
FXブロードネット
FXブロードネットのスプレッドは、米ドル/円が0.3銭、ユーロ/円が0.5銭と狭く、2018年のゼネラルリサーチによるFXサービス取引コスト満足度において第1位を獲得しました。
また、FXブロードネットが選ばれる理由の1つに、トラッキングトレードが挙げられます。トラッキングトレードとは、トレンドに合わせて自動で売買する注文方法のため、初心者でもFXを始めやすいサービスとして注目を集めています。
FXトレード・ファイナンシャル
FXトレード・ファイナンシャル、通称FXTFの米ドル/円のスプレッドは、1,000通貨コースでは0.3銭、1万通貨コースでは0.8銭に設定されています。手数料も発生しないため、取引にかかるコストを安く抑えることができます。
さらに、FXTFではMT4(メタトレーダー4)を利用できることでも知られています。MT4とは、ロシアのメタクオーツソフトウェア社が開発した取引ツールであり、利便性の高さから世界中で利用されるほど高い人気を誇ります。
マネックス証券
マネックス証券では、FX PLUSというFXサービスを提供しています。FX PLUSのスプレッドは、2018年11月に、取り扱っている全ての通貨ペアのスプレッドを縮小し、米ドル/円では業界最狭水準の0.3銭となりました。
マネックス証券では、デモトレードを利用することができます。デモトレードとは、仮想の資産を使用し、実際の為替レートで取引できる仮想トレードです。デモトレードでは、実際の取引画面と同じ画面やツールで取引ができるため、取引や注文の練習に活用することができます。
OANDA Japan(500k)
OANDA Japanでは、4種類の口座から取引可能であり、もっともスタンダードな口座のスプレッドは、米ドル/円で0.3銭〜0.4銭、ユーロ/円で0.4銭〜0.9銭となっています。
OANDA Japanの特徴は、MT4が利用できることです。上述したように、MT4はロシアのMetaQuotes社が開発したもっとも人気のある取引ツールであり、OANDA Japanでは4種類の口座すべてで利用することが可能です。世界各国で人気のあるツールを活用したい方に、OANDA Japanはおすすめです。
IG証券
IG証券を展開するIGグループは、イギリスのロンドンに本拠地を構え、世界で19万人以上の顧客を抱える大手証券会社です。日本でも2002年にIG証券の日本拠点が設立されており、FXだけでなく株式投資など10,000銘柄以上の金融商品が利用できます。
IG証券の特徴は、狭いスプレッドとマーケット情報配信です。スプレッドは米ドル/円で0.3銭であり、国内FX業者に引けを取らないスプレッドです。また、世界各国に拠点を設けている強みを活かし、海外の為替市場のマーケット情報をいち早く入手し、公式サイトにて無料配信しています。
そのほかのFX会社のスプレッド
1銭以下のスプレッドで取引できるFX会社は、以下の通りです。なお、表記しているスプレッドは、すべて米ドル/円です。
FX会社 | スプレッド |
上田ハーロー | 0.8銭 |
ひまわり証券 | 1.0銭 |
アイネット証券 | 0.7〜1.0銭 |
ゲインキャピタル・ジャパン | 0.9銭(*1) |
外為ファイネスト[MT4] | 0.4〜1.2銭 |
外為ファイネスト[PRO] | 0.3〜0.8銭 |
デューカスコピー | 0.2〜0.6銭 |
新生銀行 | 0.5銭 |
住信SBIネット銀行 | 0.5銭 |
岡三オンライン証券 | 0.4銭 |
カブドットコム証券 | 0.6銭 |
ライブスター証券 |
0.9銭 |
(*1:19〜23時は0.3銭)
混同しやすいスワップ
FXではスワップと呼ばれるものがあります。初心者の方はスプレッドとスワップを混同しがちですが、両者はまったくの別物のため、注意しましょう。
スワップとは
スワップポイント、通称スワップとは金利から得られる利益です。FXでは通貨の売買差益のほかにスワップポイントによっても、利益を出すことができます。例えば、金利2%の日本円と金利4%の米ドルがあった場合、日本円を売って米ドルを買った場合2%の金利を利益として受け取ることができます。
利益にもコストにもなる
スワップは利益にもなりますが、一方でコストになる場合もあります。先ほどの例でいうと、米ドルを売って日本円を購入した場合は-2%のスワップポイントとなります。トレーダーは、このマイナス分のスワップを支払う必要があるため、コストになります。スワップは、利益にもコストにもなるため注意しましょう。
スワップは毎日変動
スプレッドと同じく、スワップも変動します。特にスワップは毎日変動するため、日々スワップを確認する必要があります。各FX会社では、スワップポイントカレンダーが毎日更新されているため、確認するようにしましょう。
FXネオ スワップポイントカレンダー(GMOクリック証券)
スワップカレンダー(YJFX!)
FX会社で異なるスワップ
スワップはFX会社が決定するため、それぞれ異なります。また、FX会社ごとにスワップの高い通貨ペアが異なるため、FX会社のスワップを確認するようにしましょう。GMOクリック証券や外為どっとコムはスワップが高いと言われており、特に米ドルやトルコリラに強い傾向にあります。
スプレッド以外の指標も考慮してトレード
今回はFXのスプレッドについて解説しました。スプレッドとは、売値と買値の差であり、取引コストとなります。口座を開設する際は、各FX会社のスプレッドに注目しましょう。また、スプレッドはさまざまな要因によって変動します。原則固定でないことを頭に置いて取引をしましょう。
FXを始める場合は、スプレッドに加えてスワップなどの指標も考慮する必要があります。これらの指標がトレーダーの利益に大きく影響するため、必ず確認するようにしましょう。